ロクでもない結末
「は~ 結局残ったのは940ルピア…まだ3万以上あったのに…」
俺はトボトボと街を歩いていた。
結局、残ったのは飛ばされなかった硬貨だけだった。
アレだけ走って、結局まるまる盗られたのと大して変わらない結果。
バッグも弾けとぶし、走りすぎて気持ち悪くなって、飲み食いしたもん全部吐いたし。最悪だ、あのガキ。見つけたら容赦せん。
こんなバッドな気持ちで今日という日を終わらせたくない。
こういうときは、カレー食って元気出すのが一番だ。
俺は帰るまえに、行きつけの店、「カレーショップ ダル」に足を向けた。
思い入れがある店だ。
俺の転生してきたこの異世界のスタンダードなカレーは、地球で言うインドカレーみたいなやつだ。
スパイシーで辛いルーを、ナンに付けて食べるやつ。
だがこの店「ダル」はちがう。
日本の家庭のものにそっくりなカレーが出てくる。ゴロっとした具材の入ったトロみのあるルーに、ライス!
ライスが肝心だ。
白米でカレーを食わせる店を、俺はここ以外に知らない。
懐かしい味。我が母の味、バーモン◯カレーに、本当にそっくりなんだ。
ちょっぴりホームシックになるような、そんなお気に入りのお店さ。
一日の締めくくりにはふさわしい、俺を泥沼から天国へとすくい上げてくれる味。
どんな事があったって、最後にここのカレーを食えれば、俺はゴキゲンになれるんだ。
カランコローン。
「アラ~カイト、イラッシャイ!マタキタネ~」
迎えてくれたのは、店主のダルさん。
頭にターバンを巻いて、インド人にしか見えないが、この世界にインドはない。
「ダルさん!いつものカレー、お願いね!」
俺が注文すると、ダルさんは申し訳無さそうな顔をした。
「ア~ゴメンナサイ~。イツモノ、ダセナイ」
「えっ!な、なんで?売り切れ?」
「ダッテ…」
ガタイの良いターバン男は、腕をくんで不思議そうな顔をしながらこう言った。
「今日、ニンジン、ドコニモ売ッテナクテ。ダカラ今日ハ、アノカレー、作テナイ」
「あ、あーー!!」
「アレ作ルナラ、ニンジント、ジャガイモ、絶対イル」
ニンジンが売ってない理由。
どう考えても、俺のせいだった。
俺が全部買い占めて大根にしちゃったから…。
そ……そんなことって……。
俺はガックシと肩をおとした。
落ち込む俺の方を、ダルさんはやさしくポンポンとたたいた。
こうして俺の一日は暮れていった。
な?
だから最初に言っただろ?
日替わりスキルなんて、ロクなことにならないってさ。
ということでニンジン編完結です。
今後もこのくらいの長さで1スキルずつ書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。
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そうしてもらえると瀬文はとっても嬉しいです。
どのくらい嬉しいかというと、美味しいバー○ントカレーを食べたときくらいです!幸せですよね。ではまた!