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ロクでもないチェイス

走る、走る。



「ハア、ハア!まてえ!!」



小さな影を追いかけて。



前を走るのは、おそらく子供。


猫缶を買うところを見られていたんだろう。スキを伺ってのひったくりだ。


「オイコラ!!ガキ!!!!」


相手は子供だ、だからスピードでは俺の方が早い。

大人が子供に離されるわけがない。足の長さが違いすぎる。


だが、


「グ、オエェ」



こっちはベロベロに酔っ払っていた。そして腹はいまだアルコールでチャポチャポである。


吐き気を抑えながら、あいや、ちょっと出てるけど、こらえながら走る俺。


立ち止まって吐いてたら見失う。まだ吐けない。金を取り返すまでは。



「止まれ!!!!返せ!!!」



一時、2馬身差まで縮まった距離だったが、今は再び、ギリ見失わない距離にまで離されていた。



スピードは俺のほうが早い、だがそれは最高速の話。


問題は、体力は盗人ガキのほうがあるということ。



俺の体力は徐々に削られ、徐々に速度が落ちている。このままでは逃げ切られると理解していた。


ガキも、それに気づいているのか、諦める様子はない。



「ハァ……っハア……まて…」


なにか手は…。なにか…。


俺は、もうどこを走っているのか理解していなかった。

だいぶ縦横無尽に裏路地を走りまわった。おそらく、スラムとの境あたりだろう。


スラムのガキ。最終的にはスラムに逃げ込みたいと見える。


このあたりには来たことがない。地の利がなさ過ぎる。


きっと子供しか通れない抜け道もあるだろう。


いつ振り切られてもおかしくなかった。



くそ、俺の稼いだ金が…!俺の…!金…!!金だけは取り返したい…!!!



半ば諦めつつも、執念が俺を走らせた。金…金…!金!!!俺の金…!!


走りながら、俺は金のことだけを考えた。金に思いを馳せた。




そして、俺の脳裏に、天啓が舞い降りた。



あ!!!そうか…!!そういうえば…!!!



それは、一つのアイデア。


俺が今日、ここに至るまでのすべてが、ここにつながっていた。



あのカバンには、あるはずだ!最初に買った、アレが…!






『ちょうどお預かりね。はい、まいどあり~』





「はぁ……たのむ……!!!《にんじんを大根に変えるスキル》ッッ!!!!!!



俺は前方を走る子どもへ、子どもの持つバッグへ手を伸ばし、声の限り叫んだ。


スキルコール。


指先から魔力の本流が、バッグへとほとばしる。



そしてバッグはぼんやりと青い光に包まれ、膨張し始めた。



そう、今日最初に買った3本のニンジン。それがまだ、そのままバッグに入っている。



ニンジンは3本の立派な大根に姿を変えた。


だがそのバッグは、3本の大根には狭すぎた。


その身の丈にあった空間を求め、バッグを内側から押し広げた。そして、


「う、うわああ!」


突如膨張し始めたバッグに、スリの子どもは驚きの叫びを上げた。



そして耐久値の限界に達したバッグはパーンとでかい音を立てて、炸裂。



風の強い路地に、爆裂音が反響した。



バッグの布地が、風に舞う。



大根自身も、粉々に砕け、何メートルも空高く散った。



そして


「う、うわああああ!金が!!」



金も飛び散った。



封筒に入っていたすべての金が、きれいに飛び出し、紙幣は風に舞った。



クタクタによれた八百屋で巻き上げた札が、こんどは上昇気流に巻き上げられ、鳥のように飛び立っていった。



「おい!降りてこい!戻ってこい!!!!」


手を伸ばせども、空。


暮れかけた青空に、点となって消えた。




「そ、そんな…そんなことって…」



路地には、膝から崩れ落ちる俺と、砕けた大根、散らばった硬貨だけが残されたのだった。


スリの子どもは、知らぬ間にいなくなっていた。

ということで5話です。


今更ですが、にんじんを大根に変えるスキル!って植○の法則感ありますね。世代のバレてしまいそうなコメントですが笑


酔っ払って走るのは危険なので、良い子は真似しちゃダメですよ。

良い子はかわりにブックマークと☆5評価の方をお願いします。

瀬文のモチベになりますからね。お願いしますね。


次話も明日13時投稿です。

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