衣替えを早める もふもふを梳る
※前回=真説 賽の河原の鬼は、実は猫だった!
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前回、うちの仔が毛玉をパージしていることで、飲み込んだ毛を吐いてしまうことが頻発した。
原因は分かっている。暖かくなったことで、ウチの猫が私の近くにあまり居ないので毛に櫛を入れることが無くなったからだ。
しかし、私に近付いて来る。それは毎日だ。
コントラフリーローディング効果という認知バイアスがある。
脳は労せずに手に入れた(フリーローディング)ものよりも、何らかの対価を払って入手したものを好むそうです。コントラ(contra)は「逆」という意味。
人間も幼い頃にはこれが通用するという。しかし大人になると合理的になり効果が少なくなるらしい。
そして動物で1種類だけ、この効果が働かないものがいると言います。それが猫だそうです。
ですが、とてもそうだとは思えません。
たぶんこんなことを言う研究者は猫を可愛がっているかもしれなくとも、芸を仕込んだりは出来ない人たちなんでしょう。
毎日やって来るウチの猫は、餌が残っていても、私に餌場までついて来いと訴えてきます。
ある時、面倒臭くて初めの一歩だけで動きを止めたら、そのまま走っていきました。
しかし繰り返すと学習し、私が先に行くように待って振り返ります。
時たま、行かない、というような抵抗をしましたが、結果、根負けしました。
そもそも餌がないならば分かりますが、あっても私を一緒に連れていこうとする行為は意味がありません。合理的だと研究者は猫を言いますが、たぶんやり方が悪かったんでしょう。
意味が合ってもなくても、ウチの猫は私を餌を食べる時に連れていく。時に甘えて、時に猫パンチで、時間が掛かっても連れていく。これは合理的ではない。明らかにこのコントラフリーローディング効果でしょう。
だから私は反省して、確実に接近してくる時に、実行に移した。
その時にちゃんと猫の毛に櫛を入れ、梳かし、梳き、梳る。
毛並みに沿って、時に逆らって、撫でる様に、縦横無尽に、毛玉にならぬように。
順に梳くとそこまで引っかかりはない。早期に滑らかになる。しかしそれは表面だけ。毛並みに逆らって梳くと毛の芯の方に櫛が絡まって動きを止めるものがある。毛玉の元だ。それを繰り返し梳り、ブラッシングして滑らかにする。櫛に毛がくっ付き、もこもこになる。
毎日、半月ほどでなんとかあまり毛を吐かなくなったし、猫がダイエットした。
冬毛から夏毛へと衣替えが完了した。
それでも毎日、櫛には毛がもこもことくっ付いている。