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ロストしたら俺のモノ-酒飲み自由人のダメ男生活-  作者: タヌキ汁
第二章 ドリル令嬢と酒切れ編
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村の罪は彼が・・


 青年は日が昇ると同時に、村唯一の農耕馬を走らせ街に向かった。

 懐には修二が書いた病名やそれを治せる薬の名前が書かれた紙と、村中駆けずり回って集めた金が入っていた。

 修二が支払った金で足りるだろうとは言っていたが、もしも足りなければ薬が買えないと思い、不安を覚え無断で家々に入り集めてきたのだ。

 後で怒られるだろうが、怒られると言うことは皆生きていると言うことだ。

 だから、後で何度でも怒られてやると青年は思っていた。


 そして、青年は街に着く。

 馬を酷使したおかげで昼になる前に着くことが出来た。

 帰りはこの馬を売り、その元手で新たな安い馬を買い今日中に戻るつもりだ。

 うまくすれば陽が落ちる前に薬を届けることが出来る。

 そう思い青年は薬師ギルドの扉を開いた。


「何するんですか! 放してください!!」


 薬師ギルドの受付で修二に言われた通り薬を購入する前に、村で何が起こったのか話した。

 病気の症状を話、紙に書かれた病名と薬の名前を伝えた。

 そして、その紙を見せて欲しいとお願いされた為、その紙を見せると、数人の人達に拘束されることとなった。

 行き成り拘束される意味が分からず、青年は騒ぐが拘束が解かれることは無い。


「もう一度だけお聞きします。先程のお話は本当ですか?」

「先程の話? 何を言って「口答えせずに話せ!」ぐぅっ!! いたい! 痛いですぅ!!

「再度問います。先程話した病気の症状は本当ですか?」

「ひぐっ、は、はい、そうです! そうです!!」

「そうですか・・・・」


 青年の言葉に受付嬢は眉間にしわを寄せ、苦虫を嚙み潰したような表情になる。


「この者を隔離棟へ。接触した私達も消毒後、一時隔離棟へ移動します。ギルド長には魔物による第一種伝染病の可能性ありと伝えなさい」

「第一種伝染病? ど、どういうことですか! 薬を飲めば助かる病じゃないんですか!」

「ひと月以上も寝込み続ける者達が薬を飲むだけで良くなる訳無いでしょ。そもそも、人体が餓死寸前になり、一部が腫れ上がるなどただの病であるはずもありません。何故もっと早く薬師に相談しなかったのか」

「薬師には相談した! 二カ月前に俺の幼馴染が発症した時に相談した! なのにあのババアは治してくれなかったんだ!」

「ならば、その薬師に原因がありますね。何故すぐに手紙を寄越さなかったのか。まあいいでしょう。その薬師は今も村にいるのですか?」

「それは・・・ババアはひと月ほど前に行き成り死んで。それからは国に新たな薬師の要請中だって村長が言ってました」

「国に要請する前に薬師ギルドに死亡届を提出するはずです。仮に死亡届がされいなくとも、国からの要請申請書が送られてくるはずですが、そんなものはここひと月存在しません」

「それは国が悪いんだろ! どうせ俺達が村のもんだからって要請を後回しにしたんだ!」


 街と違い村に住む奴等など最下層に位置する者達。

 そう考えて俺達を蔑ろにしたんだと青年は声を荒げる。


「それはありません。村であろうと街であろうと、薬師ギルドに所属している者が魔物などの被害で無くなった場合を除き、国はすぐに動きます。一つの村で疫病が発生しただけでも、国が潰れる可能性があるのですから」


 国は思いのほか病を軽んじてはいない。

 罪のない民衆が多く死ぬとか、そういうことを心配している訳ではなく、民衆が多く死ねばそれだけ徴収できる税が減り、他国と戦うための兵力を失うと思っているだけだ。

 ただ、そんな考えであっても、病に対して迅速に対応すべきと考えている為、青年の言葉と国の対応に辻褄が合わない。


「それに変なんですよね。二カ月前に発生した病を治せない時点で、その薬師は何をしていたのでしょうか? 己の知識だけで対応できない場合。または知恵はあっても腕が無かった場合はすぐにギルドに協力要請する決まりがあり、速達で送れる手紙も渡しています」

「手紙なんて送れるわけないじゃないか! ウチの村には商人だってあんまり来ないんだぞ!」

「渡していた手紙は魔術が施されている手紙です。文字を書いた後、手順通りに紙を折り陽の光を浴びれば鳥の様に羽ばたきギルドに届きます。それが使用されていないと言うことがどうしても腑に落ちないのですよね」

「そ、そんなのしりませんよ」


 薬師を日の入らない部屋に閉じ込め、無理やり病を治す薬を作らせ続けた。

 それを知っている為青年は一瞬言いよどみながら白を切る。

 その変化に周りの男達も受付嬢も気が付いていたが、あえて追及することはせず、


「まあいいでしょう。それより早く隔離棟にいきましょう。これ以上病が広がるのを押さえなければなりません」

「ちょっと、ちょっと待ってください! 薬を持って帰らないと!」

「残念ですがもう手遅れでしょう。確かに紙に書かれていた薬を服用すれば治ったでしょうが、それは発症して10日以内の話です。ひと月以上たっている時点で助けることはできません」

「そんな・・・うそだ! 嘘だっ!!」

「こんなことで嘘など申しませんよ。さあ連れて行ってください」

「うそだ! うそだーーー!!」


 叫びながら引きずられていく青年であったが、病に犯されている可能性もあり、すぐに頭にズタ袋を被せられ、病原菌が蔓延しないようにされた。

 少々荒っぽい対応だが、暴れ叫ぶ者の対応としてはこれが最善の方法であった。

 そして、受付嬢も隔離棟へ赴くために歩み出したのだが、不意に青年から渡された紙に視線を落とす。


「可能性のある病名を全て記載し、薬の種類を言い当てるのは誰でもできますが、薬師ギルドが秘密裏に実験している薬まで言い当てるとは何者でしょうね。この方は病よりも恐ろしく、場合によっては排除対象ですね」


 そう手紙を書いた者を危険視した受付嬢は、その紙が誰にも見られないように魔法で燃やすのだった。






「おいお前等これ食っとけよ」

「みぃ?」「しゅ?」

 修二は青々とした葉っぱを取り出した。

 大葉のような見た目というか、まんま大葉だ。


「これは世界樹の葉モドキだ。人によっては食用養命樹しょくようようめいじゅと呼ばれてる」

「「・・・・・」」

「・・・・そんな目で見るな。俺だって色々不味いのはお前ら以上に知ってる」


 修二は大葉のような葉物野菜を一枚ずつ子猫とハンモッガに渡した。


「これは大抵の毒や病気を撃退する効果がある。さっきの村は病人がヤベェほどいたからな。接触してねぇとはいえ予防しておくに越したことはねぇ」


 身体を心配されて差し出されたのであれば、仕方ないと思い子猫もハンモッガも差し出された葉っぱを食べ始めた。


「みぃ・・・・・ヴヴェェェ!?」

「しゅ・・・・・ウヴヴッッ!?」


 良薬は口に苦しということわざ通りの酷い味で、二匹とも今まで見せたことのないほど顔面崩壊した。


「クカカッ、苦いだろ。その分効果があるんだから吐き出すんじゃねぇぞ。つか、気合が足らねぇだよ雑魚共「ヴビィッ!」ヴウゥゥゥッ!?」


 毎度のことながら小馬鹿にする修二であったが、言葉の途中隙を付いた子猫が、無理やり修二の口に食用養命樹を突っ込み、案の定修二の顔面も崩壊することとなった。

 それからいつもの如く喧嘩が始まる


「すーすー」

「「「・・・・・・・・・・」」」


 と思ったが、約一名仲間外れにされていることに気が付き、修二達は顔を見合わせた後、幸せそうに眠る令嬢に近づいていった。

 その後甲高い獣の悲痛な叫びのような声が森の中に響いたとか。




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