可笑しい令嬢
ズンズンズンズンと令嬢は歩く。
街へ向かえと令嬢は歩く。
街に着けば綺麗なおべべに、美味しいご飯。あったかお風呂にふわふわベッドがワタクシを待っている。
だからズンズンズンズン令嬢は歩く。
休まず必死に街道を歩く。
歩いて歩いて歩き続けて、
「・・・・・・・・・・」
足を痛めた令嬢はただいま絶賛お座り中です。
「だから言ったろ。休憩しながら歩けって」
「・・・・・・・・・・」
令嬢の靴というかヒールには疲労回復と歩行補助の魔法が施されているが、所詮はヒールである。
旅に適した靴ではない為、無理をすれば足を痛めるのは当たり前だ。
普段は修二が令嬢に負担をかけない程度の速度を維持し、まめに休憩を入れていたのだが、今回は安全な街道だと言うことで令嬢が先頭を歩きたがり、更に修二の忠告を聞き入れなかった為、こんなことになったのだ。
修二が足手纏いと言う意味がなんとなく分かった瞬間である。
「たく、少し考えりゃこうなるってわかるだろ」
「・・・・・・・・・・」
全く持ってその通りなのか、令嬢は反論せず俯く。
子供を叱っているようだと呆れながら、小さくため息を吐き、ハンモッガに視線を向けた。
「仕方ねぇ。ハンモッガ、コイツを乗せてやってくれ」
「シュシュ~「イヤッ!」ン・・・・・・シュ~?」
ハンモッガもこうなっては仕方ないと思ったのか、快く頷くも令嬢はなぜか首を横に振る。
「何でだよ。楽できるんだぞ」
「ワタクシは貴族で令嬢ですわよ! 白馬でなくては格好がつきませんわ!」
「別に馬じゃなくともハンモッガでも十分じゃね?」
「ダメですわ! フモンショエル(ハンモッガ)はとても可愛くてモフモフですが、カッコ良くありませんわ! 初めての街にこのワタクシが顔を出して差し上げるのですわよ! 貴族の威厳を見せなければなりませんわ!!」
だから先頭を歩いているのだと、理解できないことを発する。
威厳も何も、今のお前の姿を見ても誰も貴族とは思わないぞ。
どう見ても貴族令嬢に憧れたイタイ子にしか見えない。
なんかツインドリルも手入れしてないせいかドリルを維持する力が無くなって、伸びてるし。
「・・・・うむ、メンドクセェ。おいハンモッガ、気にせずコイツを運べ。「イヤッ!」こ「イヤッ!」っちは今日「イヤッ!」中に街に着「イヤッ!」きてぇん「イィィヤァァァアァァァァッ!!」だ。ってうせぇな! 限度ってもんを考えろタレドリル!」
「イヤッたらイヤァァァッ! 下民の指図なんて絶対受けませんわ!!」
「なんだコイツ。マジでメンドクセェな。ホントマジで!」
「面倒なのはこちらのセリフですわ! ワタクシの言う事を聞かない下民を扱う身になってくださいまし!」
「いや~、すがすがしいくらいクソ貴族理論だわ。ホントウゼェ・・・・おい、行くぞ」
駄々をこねる令嬢に構っていられなくなった修二は首根っこを掴むとそのまま力任せに引っ張り出した。
「ひひゃぁぁっ!? 何しますの! お尻が痛いですわ!!」
「しるかボケナス。乗るのが嫌なら引きずられろこのクソガキが。馬で引きずらねぇだけありがたく思え」
「にひゃあああぁぁぁぁ! 痛いですわーー!! 痛いですわーー!! 痛い、痛いって言ってるですわよ! この下民!」
「うべっ!? テメェ土ぶん投げてくんじゃねぇ! マジでなんだんだコイツ!」
「離せですわ! この! このっ!」
「ぶえっ! ペッペッ!! テメェいい加減にしろっての!」
「うるさいですわ!! えいっ! えいっ!!」
それから修二と道端で令嬢に土をかけられ続けた。
ホントコイツ今日は何なの。
「・・・・・まあなんだ。このバカがアホガキになったので今日はここで野営をする」
「うみぃ~~い~~」
「しゅ~~う~~い~」
まあ、結局駄々をこねる令嬢の相手をするのが疲れた修二は、街に向かうのをやめ、今日はその場で野営することにした。
というか、今日はマジでコイツ何なんでしょうね。
駄々こねるだけ駄々こねて疲れて眠っちまったよ。
できれば寝ているうちに連れて行きたいところだが、連れて行ったら連れて行ったで騒ぎそうだからそれも出来ねぇ。
はぁぁぁぁぁ、マジで何なんだろうなコイツ。




