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ロストしたら俺のモノ-酒飲み自由人のダメ男生活-  作者: タヌキ汁
第二章 ドリル令嬢と酒切れ編
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薬師の屋敷にて


 青年の話を聞き対策を話した後、修二達は床に就いた。

 寝るには早い時刻だが、皆慣れない旅の疲れがでたのか、すぐに眠りについた。

 そんな夜に青年は一人集会場へと駆けて行った。

 修二から聞いた話を長老達に話し相談するためだ。

 明日日の出とともに薬を買いに出かけるつもりであり、この村唯一の農耕馬を借りようとしているのだろう。

 そんな青年を見送った修二は、静かに宿から離れ、ある場所へと向かった。


 訪れたのは壁に植物が張り付いている大きな屋敷。

 屋敷の周りには小さな畑とガラス張りの植物園が建てられており、中を覗いてみれば、多種多様の薬草が青々と生い茂っていた。

 ここは半年前に死んだ薬師の屋敷。

 誰も住んでいない屋敷に赴いた修二は、門を飛び越え、その屋敷の玄関前に腰を降ろし、酒を煽る。


「目の前の屋敷に住んでいた薬師の全てを寄越せ」


 そう言葉を発し、能力を発動する修二。

 膨大な量の情報が流れ込んでくるも、苦痛を漏らすことは無く、修二は流れ込んでくる全ての情報を記憶していった。


「・・・・・・・・・」


 言葉を発することは無く、ただ静かに情報を受け入れる。

 そして、全てを読み取った後、静かに黙祷を捧げ始めた。

 黙祷は10分程続き、その間修二は微動だにすることは無かった。


「・・・・・生きている間に対話してみたかったぞ。変人すぎて話が全く理解できなかっただろうが、退屈はしなかっただろうからな」


 静かに瞳を開けると、修二は静かに立ち上がる。


「己の生涯をかけ思考し続けたその激動の人生は、俺の脳に刻んでおく。夫以外に理解されず、夫以外に認められず、最後まで受け入れられなかった不幸な者よ。お前の存在は俺が死ぬまで失われることはない。俺の中で欠片となりて緩やかに死後の世界を見るといい」


 最後に礼をすると、修二はその場を後にした。

 幽霊など存在しないのは百も承知であるが、修二の能力でははっきりとここで過ごしていた薬師の姿が見えていた。

 長年この村の為に、この村を愛した夫の為に、己を受け入れぬ村人を守ろうとした一人の薬師の姿を。




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