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ロストしたら俺のモノ-酒飲み自由人のダメ男生活-  作者: タヌキ汁
第二章 ドリル令嬢と酒切れ編
85/232

静かなる村で


 ドスンと砂埃を舞いあげながらハンモッガは村の入り口に着地し、そのまま修二達を乗せて村へと入った。


「手入れが行き届いていない雑な畑だな」


 所々に子猫の背丈ほどの雑草があちこち生えている。

 土を休ませるためにワザと手入れをしていないのであれば、百歩譲って納得はできるが、野菜が植えられている時点で、その考えは間違いであるだろう。

 おおかた欲にかられて畑を広げたはいいものの、管理しきれていないのだろうと思いつつ、ハンモッガに宿の場所へと向かわせた。





「お、ここだここだ」


 カボン宿と書かれた小さな看板が立てかけられているのを見つけた修二は、ハンモッガから降りる。


「馬小屋は一応ありそうだが・・・・・まあ、拒否するわな」


 看板の下に馬は裏へと書かれているが、流石にハンモッガも夜風が当たらぬ暖かな部屋で休みたいのか、首を横に振っている。

 確かに馬小屋は匂うし、好んで寝床にする場所でもないわな。


「仕方ねぇな。なら交渉してみるか。ダメなら諦めろよ」


 などと言っているが、見た所修二達以外客はいない。

 これならば、金を積めば少しの我儘が通りそうだななどと考えながら宿屋に入っていった。




 宿の中へと入ったが、受付には人の姿はなく、呼び鈴を鳴らすも店員は現れない。


「あんだ? 誰もいねぇのか?」


 のんびりした田舎では店に人がいないことはよくあることであり、別に可笑しなことではない。

 しばらくすれば帰ってくるだろかと思っていると、急に二階が騒がしくなった。

 バタバタと駆ける足音。

 足音と共に僅かにホコリが舞う。


「お、おまませしました!」


 駆け降りてきたのは、色白で線の細い青年だった。

 緑の髪はくせっ毛で、顔にはそばかすが付いている。

 服は汚れが目立たない暗めの色で頭を三角巾縛っている。

 どうやら先程まで掃除をしていたのだろう。


「おのま、お泊りですか? おほ、お食事ですか?」


 緊張でもしているのか滑舌が悪いな。

 まあ、今まであった中でなかなか礼儀正しそうな奴だ。

 どこぞの宿屋の看板娘よりも教養がありそうだしな。


「泊まりだが、お前がここの店主か?」

「い、いえ、僕ではなく父が店主です」

「なら呼んでくれ。少し相談したいことがある」


 獣用の部屋を用意させるにはその宿の主と話を付けないといかんしな。


「す、すみません。いま父は村の会合に行ってまして、恐らく数日帰らないと思います」

「なら、母親でもいいぞ」

「すみましゃん。母もその会合に行っていまして、その・・今は村人全員が会合に出ていて、僕以外集会場に集まっているんです」

「あん? なら店がどこも開いてねぇのはその会合のせいってことか?」

「は、はい! そうです!・・・すみません」

「いや、別に怒っちゃいねぇけど、なんでお前だけ・・・・・・まあいいか。なら部屋を貸してくれ泊りは俺とガキの二人と獣二匹だ」

「二匹? ああなるほどです。馬を連れているのですね。でしたら裏に馬小屋があるのでそちらをどうぞ。料金を小銀貨7枚となります」

「違う違う、馬じゃなくて子猫と魔獣だ」

「ま、魔獣ですか・・・」

「安心しろ。ちゃんと調教されている魔獣だ。人に害は与えねぇよ。まっ、お前が襲い掛かったり、毒を盛ろうとした場合は反撃するだろうがな」

「し、しませんよ!」


 そうだろうなと思いつつ、修二は懐から財布を取り出す。


「まあ、ウチの連れてるのは魔獣なんでな。馬が過ごす小屋だと不機嫌になっちまう。だからそいつ専用の部屋を貸してくれ。抜け毛とかで部屋が汚れるかもしれねぇが、その分金は払う」


 そういうと、カウンターに金貨を4枚置いた。

 高級宿屋に泊まれるくらいの金である。


「こ、こんなにですか!?」

「勿論飯代込みだがな。つか、飯付きだよな?」

「あ、はい、一応簡単なのが用意できます」

「そうか、なら頼むわ」

「はい!・・・え? いえ、魔獣の部屋を用意するとは言っていないのですが・・・」

「返事した時点で契約成立してんだよ。ほらとっとと用意しろ」

「で、ですが、物を壊されたりすると・・」

「調教済みって言っただろ。モノなんざ壊さねぇよ。つか、壊されるようなもの片付ければいいだけだろ。ほらさっさといったいった! それと飯の準備もしておけよ。あんまり遅いと腹をすかせた獣がテメェを食うかも知れねぇ」

「ひぃぃぃっ!?」


 交渉もへったくれもなく、最後は脅しで無理やり部屋を確保する。

 当初金で解決するとか言っていたはずにもかかわらず、やっていることは恐喝であるとは救えない男だ。







「他の村人達からいじめられてるって訳でもなさそうなんだがなぁ・・・まあいいか。テメェ等部屋取れたぞ! さっさと入ってこい!」

「シュイッ!」

「みぃっ!」

「こらこら、 巻きグソ乗せたまま入ろうとするな。身体をすぼめられるとは言え流石にそいつ引っ付かせたままじゃドアが壊れちまうだろうが、つかお前もいつまで乗ってんだよ。いい加減降りろよ」

「できる事ならしておりますわよ! それができないから困っているのですわ!!」

「何が困ってるだ。いいからさっさと飛び降りろよ。それともそれくらいの高さでビビってんのか?」

「ビビっていませんわ! これくらいなんてことありませんわよ・・・ ただ」

「ただ、なんだよ」

「こし・ぬけ・・・・・・ですわ」

「あ? 誰が腰抜けだ? 行き成り喧嘩売ってのか?」

「違いますわ! そうではなくて・・こ・・こ・・・腰が抜けて動けないのですわ」

「あっそう・・・・・・・・・・・・・・で?」

「で? ではありませんわ! こういう時は紳士なら優しく抱き上げたり、支えたりするものですわよ!」

「へ~、そうなんすか~。勉強になるわ~・・・・・・・・で?」

「で? ではないと言っていますわよね! いいから早く手を貸しなさいか!」

「あ~すまん。淑女にしか手を貸しちゃいけねぇって昨日食ったハチトウミミズ達と約束しちまったんだ」

「嘘をつくにしてももう少し考えて嘘をついて欲しいですわ! それとワタクシは淑女ですから手を貸せますわよ!」

「大体2時間後くらいに飯ができあがるだろうよ。時間になっても来なかったらくいっぱぐれると思え」

「無視するなですわ!!」




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