空飛ぶはハンモッガ
「体力は十分回復したな」
「シュ!」
「安全ベルトはしっかりしまっているな」
「みぃ!」
「方角も風向きも問題ないな」
「知りませんわよそんなの。それより飛ぶのは止めましょう。危ないですわ」
「ノリわりぃ・・・」
「みにゃ~・・・」
「シュシ~・・・」
ハンモッガの滑空で一気に距離を稼ごうと背にまたがり、なんとなくパイロットごっこで楽しんでいたのだが、なんともノリの悪い奴のおかげで興が削がれてしまった。
「あ~、やだやだ。こういう所でのってこない奴ってホントやだ。ぜってぇコイツ友達少ねぇよな。パーティー開いても誰も来ないのが目に浮かぶぜ」
「みぃな~」
「シシュ~」
「友達ならいますわよ! パーティーだってワタクシが開けば軽く千人は集まりますわ」
「いや、それは見え張りすぎだろ」
「「コクコクッ」」
「嘘ではありませんわよ!! それと空を飛ぶのはやっぱり反対ですわ! また落ちたらどうするつもりですの!」
「いや大丈夫だろ。滑空のプロ、ハンモッガなんだからよ」
「シュンシュンッ!!」
いったい何を心配しているのかまるで理解できん。
人が作った鉄くずならばいつ壊れるか心配するのは理解できるが、今回は進化の過程で滑空を身に着けたハンモッガに乗るだけだぞ。
確かに食費がかかるし速度も出ないが、安全性は魔導船よりは高いだろう。
「さてと、孤独の単品ドリルの話はどうでもいいとして、「ちょっと!」ハンモッガ。方角はあっちだ。間違えるなよ」
「シュシュッ!」
「少しでも身体に違和感を覚えたり疲れたと思ったら遠慮なく休め。こっちはただ楽したいだけだからな」
「・・・シュシュ~」
「クカカッ、テメェだけ働かされて不満か? 安心しろって。働いた分の報酬に何かうまいもんでも食わせてやるからよ」
「シュシュッ!!」
「よし、なら行くぞ!」
「シュッ!!」
「みぃ!!」
「だから飛ぶのをお止めなさいと、ひひゃゃゃゃぁぁぁぁ!!」
騒がしい令嬢など気にせずハンモッガは助走をつけて飛んだ。
滑空とは言っていたが、動物ではなく魔獣である為か僅かに風魔法を使い、飛距離を伸ばしているので、もはや空を飛んでいるのと変わらなかった。
あれだなハンググライダーにちょっとしたエンジンが搭載された感じだ。
これなら想定よりも遠くまで飛べそうだ。
それからハンモッガは修二の予想以上に空を飛んだ。
途中木の蜜を見つけ近寄れば、その木が魔物で危うく捕まりそうになったり、ハチの巣を見つけて蜜を奪ったら蜂に追いかけられたりと散々な目に合わされたがそれでもかなりの距離を飛んだので良しとしよう。
「お前は寄り道し過ぎだ! 少しは食欲押さえろ!」
ただし、一言物申させてもらおう。
「シュ~イ」
まあ、本人も反省しているようだからあまりしつこくは言わんけどな。
「まあいい、お前のおかげでかなり進んだしな。つか、確かここら辺に村があったはずだ。野宿も飽きたし、今日はその村で泊まるぞ」
流石にこの三日間寝ずの番をするのは疲れた。
一人ならもっと魔物に見つけにくい寝床で休めたのだがな。
そもそも、移動には必ずと言っていいほど金で雇った護衛やキャラバンについていったりするけどな。
その方が何かと楽だし、こんな神経すり減らす旅なんざホント久しぶりだぜ。
しかも殺し屋が狙ってきているとかマジでメンドイ。
そろそろイラつきがピークに達して子猫の毛を毟ってしまうかもしれん。
「うにゃっ!?・・・・・・な??」
悪寒でも感じたのか、子猫は全身の毛を逆立てた後周りを見回す。
なんとも勘のいい子猫だなおい。
「はやく、はやく、はやく、じめん、はやく、はやく、はやく、はやく」
というかドリル令嬢は空を飛び始めてから、割とすぐにこんな感じになった。
魔導船から落ちた瞬間は覚えてい無さそうだったが、記憶の片隅に恐怖として刻まれていたのかもしれない。
なんか軽度の高所恐怖症的なトラウマができあがってるぞ。
「お? 見えたな。良しハンモッガ! あそこまで頑張れ! 美味いかマズイかはわからんがそれなりの飯は食わせてやれそうだ」
「シュシューーン!!」




