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ロストしたら俺のモノ-酒飲み自由人のダメ男生活-  作者: タヌキ汁
第二章 ドリル令嬢と酒切れ編
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少し可笑しい令嬢


 無理やりミミズ汁を食べさせたあと、令嬢は口汚く修二を罵り騒いでいたが、ミミズ汁を食わせようとすると即座に口を噤んで飛び退くので、そこまでウザいとは思っていない。

 むしろ面白いオモチャが手に入った感じで少し楽しかったりする。


「さてと、腹も膨れたことだし、そろそろ寝るか。夜の見張りもあることだしな」


 空っぽになった鍋の中に水を入れ軽く洗った後、修二はハンモッガの腹を枕に横になる。

 秋と言う季節ではないが、それでも夏が終わりつつある為、若干の肌寒さを感じる。

 うむ、やはりコイツは役に立つ。

 騎乗でき、布団にもなる。

 子猫とは比べ物にならないほど便利だ。

 やはり供はデカい奴に限る。

 性格もそこまで五月蠅い奴じゃないからな。

 若干オヤジっぽい所があるが、それくらい目を瞑ろう。


「寝るかではありませんわ!!」


 明日に備えて早めに寝ようとしていると、今まで口を噤んでいた令嬢が騒ぎ出した。

 若干涙目なのは修二がイジメすぎている為であるが、本人はそのことを気にも止めず、ケツを掻きながら迷惑そうに視線を向ける。


「なんだよ。ウルセェな。こっちは疲れてんだぞ」


 誰かさんのせいで無駄に怪我を負ったんだ。

 しかも未だに毒のせいで気分が悪いんだよ。


「貴方何を言ってますの! こんなところで眠れるわけないわ! それにここはどこですの!!」

「自己完結したんじゃねぇのかよ」

「欠陥魔導船から落ちてしまったことは覚えていますわ。ですが、ここがどこなのかわかりません。よって貴方はワタクシに状況説明する義務がございますわ!」


 なにがよってなのか理解しがたい。

 というかコイツ・・・・


「なぁ、欠陥魔導船から落ちたと言うが、いったいお前の脳内ではどんな風に落ちたと認識してんだ?」

「何かが爆発して、バランスを崩したワタクシがお外に放り出されてしまたのですわ。全く、何が最高の技術で作られた空飛ぶ魔導船ですか。ワタクシをこんな目に合わせるなんてあんな船は鉄くず以下ですわ!」


 乗せているのがお前みたいなクズガキだから仕方ないんじゃないか? と思いつつも、特に令嬢の言葉を否定することはせず、修二はただ首を傾げる。


(コイツが落ちた瞬間の出来事はどうでもいいが、俺が助けてやったことを覚えていない? まだあの時は意識があったよな?)


 なぜ落ちたのかは知らぬが、落ちる寸前俺が拾い上げたことは覚えているはずだ。

 そして、コイツの従者であるメイドに攻撃されたことも、そのせいで落ちたことも知らないはずがない。


(過剰なストレスにより記憶が一部欠落したか?)


 裏切られたのは信頼していた従者だったのか知らないが、精神的に結構きていたのかもしれないな。


「そこまで覚えているとはスゲェ記憶力だな」

「ふふん! そんなの当り前ですわ! ワタクシはアカデミーの特待クラスですわよ!」

「ああ、そうかそうか。そりゃあすげぇや・・・・ならもう話は終わったな。俺は寝るから騒ぐなよ」


 まあだからと言って慰めるつもりも、無駄に親切になる気もなく、令嬢を軽く褒めた後目を閉じる。

 何も教える気が無い。

 教えないことは薄情なのかもしれないが、本人が覚えていたくないと言うのであれば放っておくのが一番だろう。

 それに今は下手に思い出されて、錯乱されても面倒でしかない。

 錯乱するなら、最低でも街に着いてからでないと病院にもぶち込めなくなる。

 話の聞かねぇおバカ状態の奴の相手はしたくねぇ。

 なので、極力令嬢の記憶を刺激しないように決めた修二である。


「そこの下民。いつワタクシが休んでいいと言いました? 早く何があったのかお話しなさい」

「・・・・・・落ちた・飛んだ・助かった・以上」

「以上ではありませんわ! もっとちゃんと説明しなさい! ここはどこですの!!」


 質問する内容が一瞬変わっていたりするのは恐らく未だに脳も心も混乱しているのだろう。

 騒いでないで少しは静かにしていればいいものをと思い、腹も膨れて顔を洗っている子猫をひっつかみ令嬢に投げつけた。


「子守り頼むわ」

「みにゃ!? みぃーーー!!」


 後のことは子猫に任せると勝手に決め、更にはぞんざいに扱われた子猫はいつもの様に不満の声を上げる。

 そしていつもの様に修二と喧嘩をするのかと思いきや、ただ不満そうに尻尾を左右に揺らすだけで、襲い掛かることはせず。

 最後には仕方ねぇなと言わんばかりにひと鳴きすると、令嬢の相手をし始めた。

 人に飼われて野性味が薄れている子猫であるが、これでも一応獣であり、肉食獣である。

 血の匂いや普段より浅い呼吸を繰り返しているのをしり、相手がどれくらい弱っているのかくらい理解できた。

 故に、修二の身体を気遣って休息の邪魔しないように少しばかり手を貸したのだ。

 なんだかんだと言って、優しい子猫である。




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