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ロストしたら俺のモノ-酒飲み自由人のダメ男生活-  作者: タヌキ汁
第二章 ドリル令嬢と酒切れ編
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落ちた森で


「お~、いて~。あのクソメイド、いつか泣かす」

「ふみゃぁぁぁぁぁぁぁん・・むにむに」

「シュハァァァァァァァン・・ムノムノ」


 魔導船から落下した修二達はなんだかんだ言って無事に地上に着き、今はメイドの攻撃で負った傷の治療をしていた。

 というか、どうやって無事地上に着いたのかと言うと、ただ魔導船で餌をたらふく食わせていたハンモッガに助けられただけだ。

 コイツは結構義理堅い性格のようで、俺達が落ちるのを知ると魔力が暴れ狂う嵐の中危険を顧みず駆け付けてくれたのだ。

 縦横無尽に襲い掛かる魔力の塊もなんのその、落下する速度を落とさず器用に避け、時には尾で跳ね返しながら助けに来たのだ。

 アレだな。

 俺がもしも女で、ハンモッガが人間の男なら恋に落ちても可笑しくないシーンだったぜ。

 まあ、コイツは獣で、しかもメスだけどな。

 つかメスじゃなかったら、ハンモック代わりにその腹に横になった時、ハンモッガご自慢のアレと同衾することになる。

 朝起きて抱き付いたのが、獣のアレだったとかトラウマモノだからな。

 なので魔導船にいるハンモッガ達は全員メスである。

 そうでないと困る。


「あ~くらくらする~。身動きとれねぇ獲物に毒付きナイフ使う容赦のなさは、ぜったい裏の奴等だろ」


 能力で調べずともわかる。

 毒を使う奴は殺し屋か暗殺者と決まっている。

 もしくはそれに類する禄でもない組織の人間だろう。

 どこの手の者か知らねぇし、知りたくもない・・・・が、やられたらやり返さないのも、面白くない。

 まあ、あのメイドは俺を狙っていた訳ではなさそうだ。

 ナイフの軌道から見ても、巻きグソ令嬢を狙っていた感じだったな。

 そもそもなぜか令嬢が落ちそうになってんのに、騒いでたのは令嬢だけで他の奴等の声は全く聞こえなかったからな。

 くっそ~、ヘマしちまったなぁ。

 それを知ってたらわざわざ首を突っ込まなかったのに。

 やはり事前に色々調べておくべきだった。

 いくら貴族との面倒事を知りたくないとはいえ、情報収集はサボるべきでは無かった。


「はぁ・・・今から調べるか、それとも調べるべきではないのか。さてどうするか」


 なんのリスクもなく全てを知ることが出来るのだから調べるだけ調べればイイと思う。

 調べてみて、これは自分の手には負えないとなれば逃げてしまえばいいだけなのだから。

 それだけの事なのだ。

 だが、ぶっちゃけ調べた内容によっては誰かに話したいし、金に換えたいし、吹聴して陥れたい。

 クソッタレの内容で身の危険を感じる情報だったとしても、首を突っ込んでグチャグチャにひっかきまわして潰したくなる。

 いけ好かない貴族に憂さを晴らせる機会はなるべく逃したくないのだよ。


「まぁ、まずはここから無事に街に着くことを優先するか。巻きグソの方はそれからだな」


 一応ここは魔物のテリトリーである森の中。

 幸い俺でも対処できる動物型の魔物ばかりで、ランクは最大でDランクほど。

 数で攻められれば少々厳しいが、逃げに徹すればどうにでもなる相手ばかり。

 ただ動物型の魔物が弱い代わりに、


「「すか~・・・ぴゅぅぅぅぅ・・すか~・・・ぴゅぅぅぅぅぅ」」

「おいそいつの傍で寝てんじゃねぇよ。養分にされても知らねぇぞ」


 植物型の魔物のランクは高いんだよなぁ。

 歩行可能なアウラウネ系統のヤバイ魔物はいないが、獲物を待ち続ける擬態型や、疑似餌で獲物を誘う魔物ばかりなので注意を怠る訳にはいかない。

 脅威度は小さいが、少しのミスでも死ぬかもしれない森の中にいつまでもいたくはない。

 今も眠気を誘う木の魔物の傍で子猫達が静かな寝息を立てているが、あのまま眠り続けているとそのままゆっくりと地面に引きずり込まれて喰われることになる。

 その木に近寄るなと言ったのに聞きゃしねぇ。


「起きろバカ共! さっさと安全な寝床を用意しねぇと徹夜する羽目になるだろうが!」

「ふにっ!?」

「しゅしゃっ!?」


 幸せそうに眠る子猫とハンモッガに蹴りを入れ無理やり起こすと、あらかじめ能力で探し当てた寝床へと向かった。

 ホントこいつ等人に飼われ過ぎて野性が薄れてないか?


「たく、緊張感の欠片もねぇな・・・・・・・・おい、巻きグソはどこだ?」

「・・・・・みゃ?」

「・・・・・シュ?」


 修二の問いかけに二匹とも首を傾げながら、令嬢はどこだろうと周りを見回した。

 そして、木の根っこに絡みつかれ地面に引きずり込まれそうになっている令嬢を見つける。


「バカ野郎! テメェの腹に乗せとけって言っただろ! せっかく助けてやったのに死んじまうだろうが!」


 修二は慌てて絡みつく根っこをナイフで切ると令嬢を抱きかかえる。


「みにゃっふ~!」

「シュシュエン! シュシュエン! シュッシュエ~~ン」


 引き上げるために、どうしてもお姫様抱っこすることになってしまい、そんな光景を目にした子猫とハンモッガは、無駄にイラつくヤジを飛ばしてきた。

 言葉を訳すと、「やっさすぃ~」や「交尾! 交尾! 公開交尾!」と言った具合だ。

 ハンモッガがおっさん化している様に見えるが、獣などこんなものだ。

 子猫も知恵が強化されていなければ、同じような下ネタを発言していただろう。


「アホなこと言ってないでさっさと行くぞ・・・・・・はぁ、疲れる」


 令嬢をハンモッガの背に乗せると修二達は森の中を進んでいった。




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