ゆらゆら
「シュシュ~」
「おう、気が利くなありがとよ」
「シュシ~ン・・・シュシュシュシュ~?」
「あん? 餌ならそこにあんだ・・・もう食ったのかよ。大食漢だとは聞いていたが、随分と食うんだな。まあいい、そんなら追加でなんか頼んどけ」
「シュシュッーーーー!!」
「言っとくが流石にSランクの餌は頼むなよ。まあ、味見程度に2・3品くらいなら頼んでもいいがな」
「シシュ~ン!」
先程から汽車のような鳴き声を上げているのは、この魔導船で旅の嗜好品として飼われているハンモッガ。
普通のベッドで寝るのが飽きた金持ちや貴族に用意された魔獣である。
他にも魔導船が墜落した場合、脱出用としてハンモッガの背に乗り安全に地上に降り立つ手段として飼われていた。
まあ、今のところ魔導船が墜落するなどといった事件は数えるほども無いので、ハンモッガの優位性はもっぱら客達の寝具兼遊び道具となっている。
「しっかし、マジでお前が着いてくるとは思わなかったぜ」
「・・・・・・・・・・」
ハンモッガの腹の上で寝転がっている修二は隣で同じように寝転がっている者に声を掛ける。
「まあ、お前が話に乗ってくれねぇとあのクソ恥ずかしいセリフにもだえ苦しむことになったからな。だから感謝の意を込めて少しは優しくしてやるよ」
「・・・・・・・・・・」
「なんだよ。なんか言え・・・って、もう寝てんのかよ。さっきまであんなに騒いでいた癖に。随分と自由な奴だな」
朝が早かったせいなのか、彼女は静かな寝息を繰り返し無防備にもその姿を修二に晒していた。
俺が味方であり、守ってやると理解しているとはいえ、だからと言って無防備な姿を晒すのは如何なものかと思いつつ一瞬耳でも引っ張ってやろうかと思ったが、一応ついて来てくれたことに感謝しているので、今はちょっかいをかけることはせず、酒を手に取る。
「自由人なのは仕方がねぇが、もうちっと警戒心は持てよ。守るとは言ったが、守られるだけの無能なお姫様を守れるほど有能な騎士じゃねぇんだからよ」
そういうと修二は酒を煽った。
「・・・・・・うみぃ~」
その横に無様に寝こける子猫を横目に。




