お邪魔虫が動き出す 荷物も連れて
音もなく多くの犯罪者ギルドの者達が捕らえられ、そして殺されていく。
別に全員殺してもらっていいのだが、捕らえたほうが国からの報酬も引き出せるし、何より奴隷として売り払うこともできる。
依頼者側からからすれば、イイから殺しておけよと思わないでもないが、俺が依頼した奴等の中には非人道的な人体実験を行う奴も数人混ざっている。
弱い能力者とはいえ非検体は多いに越したことは無いのだろう。
むしろ捕らえられた方が悲惨な未来になるが・・・まあ、逃がさなければ良しとしておこう。
所詮は善人の血も肉も骨までも食い荒らす犯罪者集団。
人権があるとかないとかの議論はこの世界での価値観では必要ない。
もしも議論する必要があると言う奴がいるならば、まずは奴等が築いた死体の山と積もり積もった恨みの声をその身に受けてからにして欲しいものだ。
「・・・・なんだ?・・・はぁっ!?」
何も問題なく次々と目的の犯罪者共が殺され、捕まえていく中で、不意に一組の戦闘に異物が入り込んだ。
屋根の上にでも潜んでいたのか、子猫が仇である男の隙をついて襲い掛かった。
結果は男の顔を軽くひっかいた程度で、それ以降は邪魔だと言うように思い切りぶん殴られ地面に転がり動かなくなる。
腹は動いているので生きてはいるのだろう。
痛みで動けなくなっているか、地面に転がったときに脳震盪をおこしたのか、はたまた内臓に骨でも刺さったのかは知らんが、生きてはいる。
邪魔をするなと脅したつもりだが、どうやらあの子猫は忠告を聞かなかったようだな。
自業自得でバカが痛い目を見ただけ。
その程度の話なのだが、残念なことにそれだけでは終わってくれなかった。
「統括。野暮用ができた」
「いま報告があがった。乱入者についてか?」
「ああ、ちょっとした顔見知りが夜遊びに出ていたらしい。放っておいて何かあっては目覚めが悪い。迎えにいっていいか? 勿論仕事は継続する」
「ふむ・・・力を使いながら向かうのは危なくないか?」
「一人で夜歩きしている馬鹿を回収するだけさ。そこまで危険じゃねぇ」
「そうか、ならば許可しよう」
「おう、ありがとな」
また面倒なことになったと、修二は足早に乱入してきたバカ猫の元へと向かった。
いや、厳密に言えばバカ猫の元へではなく、そのバカ猫を抱えて逃げ出した者のもとへと向かった。
陽が沈んだ真夜中。
それは幼い子供ならば誰もが寝ている時間であり、目を覚ますことなどない。
だがそんな時間に、ティティティは一人目を覚まし窓の外を眺めていた。
最近というより、修二とちょっとした喧嘩をしてから、昼間に自由時間を貰っても手持ち無沙汰であった。
友達はいるが、皆忙しかったり時間が合わなかったりで、ほとんど一人でやることが無いのだ。
そして一人の時間が多く取れるようになり、その間ずっとベッドにコロコロと転がっているといつのまにか寝てしまう。
そのせいで本来眠る夜中になっても目が冴えていた。
「・・・・・・」
夜の街は静かでどこか怖い。
月明かりが夜の街を淡く照らすも、雲に隠れればすぐに真っ暗な街が広がる。
足を踏み入れたら引きずり込まれないかと不安になるも、ティティティはそんな夜の街を見続けた。
「??・・・ねこ・・にゃん?」
不意に見慣れた子猫の姿を目にした。
実際には暗くて良く見えていないのだが、ティティティの中では、慣れ親しんだ子猫であると断言しており、子猫が遠のいて行ってしまうことに焦り出した。
「だ、だめ!」
どこかに行ってしまう子猫に、ティティティは慌てて呼び止めようとするも、大きな声を出したら皆に迷惑がかかると思い、慌てて口を塞いだ。
幸いティティティの両親は起きることは無かった。
そのことに安堵しつつ、今も離れて行ってしまう子猫を見て、ティティティはいてもたってもいられず、寝間着のまま部屋を出ると子猫を追いかけた。
ねこにゃんが帰って来ないのは迷子になっていたから、だから帰って来れなかったんだ。助けなきゃと言った判断のもと、ティティティは真っ暗な夜の街を駆けだした。




