子猫が眠るその間
子猫が住み家で眠りについたころ、修二は酒を飲みながら能力を使用していた。
調べているのは、子猫の家族を殺した犯人についてだ。
別に子猫の過去を知って同情心から調べている訳ではない。
ただ、今回猫達を殺した犯人が犯罪者ギルドに属するものだと知ってしまったからだ。
修二の能力は条件を定めることで、あらゆるものを検索し、人や物の居場所を特定することができる。
流石に距離を指定せず、数億人の情報を一気に検索することはできないが、それでも小さな街くらいの距離であれば、一度に数百人位の検索をすることは可能だ。
更に、検索条件を個人にのみ絞り込めば、世界の裏側にいようとも検索可能であり、対象者の全てを知ることが出来る。
エルフィナのように未来を先読むことはできないが、過去に何があったのか、何をしたのか、そして今現在何を思い、何をしようとしているのか、何を考えているのか読み取り未来予測に近いことはできる。
流石に現在何を思っているのかなどは、0.25秒ほどタイムラグが発生するが、そんなものは誤差にもならない。
その能力で子猫の過去を探り、心情を探り、何故俺に近づいて来たのかを調べ上げた。
子猫自身もほとんど本能から俺の力を感じ取り、俺の力を目当てに仇を打つ手助けに利用するつもりだったのだろう。
それについては、まあ腹が立たない訳ではないが、今は置いておこう。
それよりも、子猫の家族を殺した犯罪者ギルドの方だ。
あいつ等街や森にいる比較的弱い魔物やら動物やらを殺し、その死体を集めアンデットや合成キメラの材料にしてやがる。
犯罪者ギルド共の過去を探ったところ、お約束と言わんばかりにこの街で面倒事を起こそうとしていた。
未だに必要な素材が揃わず、戦力が整わずにいるおかげで動けていないが、今この街にはギルド長も、主力の冒険者も長期依頼で出払っている。
更に運が悪いことに、国も何やらゴタゴタしているようで上級騎士がほとんど他国に出払っている。
まあ、そのゴタゴタも犯罪者ギルドの奴等が、手を出したからなのだが、それは手助けするつもりなど無いので調べる気はない。
なのでこの絶好の機会を奴等は逃さないだろう。
準備不十分であっても、ぎりぎりまで粘って何かしらの事は起こすつもりのようだしな。
なので、騒ぎが起こる前に逃げるのが吉であり、関わらないのが一番賢い選択なのだが、調べ続けた結果、修二にとって引けない情報を得てしまった。
(腐ってんなぁ~。腐っちまったよ。ケツ拭くこともできねぇゴミ以下になっちまった。国のトップも、ギルドのトップも、まともなバカ共が少しばかり留守にしているだけだってのに、このありさまかよ)
逃走という選択を選べなくなったかわりに、あるモノを壊す選択を選ばなければいけなくなったことに、修二は悲しさを覚え、天を仰ぐ。
(短命な人族ってのは、成長も早いが退化も早いなぁ。やっぱどうしようもねぇや)
そんな事を思いながら、修二は静かに情報収集を続ける。
この街にいる犯罪ギルドの情報を、犯罪ギルドが企む全ての計画を、そして犯罪ギルドに加担した協力者の情報を全て調べ、己の頭に叩き込んでいった。
そいつらを全員排除するために。




