マジ装備
子猫の探索から、魔物が蔓延る森の奥地にいるであろう子供を探せ! もしくは遺留品の探索Q! と言うなんとも無茶な依頼へと強制シフトチェンジされてしまい、致し方なく森に入る準備をする。
マジで面倒だというのは、もはや言わずとも良いだろう。
「お前等を着るのも久しぶりだな・・・・・・はぁ、ホント久しぶりで、着たくねぇ」
修二は宿の天井裏に隠しておいたアイテム袋を取り出すと、その中から装備一式を取り出した。
赤と黒を中心とした皮の服。
極力服の重さを無くし、尚且つ高ランク魔物の皮を使ってることで物理防御力にも優れ、火や雷などと言った魔法攻撃にも耐性がある。
ただの服の様に見えるが、性能は折り紙付きで、下手すればこの服だけで家が買えてしまうほどだ。
他にも頭の皮膚に張り付き、頭と顔を防御する生きた仮面に、刀身が透明で視覚できない短刀、魔力で操ることのできる糸玉などと言った魔道具があり、修二はその全てを装備していった。
「・・・さて、いくか」
今できる最高の装備に身を包み、部屋を出る。
高価な装備に身を包んではいるが、森の奥に行くのであればこれでも準備は足りない。
修二が魔物の戦闘に特化した能力を持っていればこれで十分だが、残念なことに魔物との戦闘は得意ではない。
無能力と状態で、自力でもって対処しなければならない。
なので本当に、本当に行きたくない。
行きたくないが、己の口から依頼としてお婆さんのお願いを引き受けると言った以上、行かないと言う選択は無い。
一度受けた依頼はどんなクソ依頼でも完遂する。
それを心情にしているので逃げることはできなかった。
今更ながらに、安易に引き受けなければ良かったと後悔している。
「ホントメンドクセェな・・・あ~、ヤダヤダ」
ブツブツと文句を言いながら、階段を降りていった。
「うらぁ!? だ、だれらぁぁぁぁっ!?」
「あん?」
階段を降りると掃除をしていたティティティに出会った。
なんかウルセェし、騒がしい。
そしてなんか一人で喚ているのを眺めていると、不意に目尻に涙が溜まりそのまま食堂へと駆けて行った。
(なんだ変な奴だな・・・・ああいつものことか)
ティティティの奇行に首を傾げた修二だが、いつもアイツは可笑しいという結論に至り、気にせず宿を出て行こうとした。
「そこの人。ちょっと待ってくれっかな」
だが、出てく前に、食堂からオヤジが現れ呼び止められた。
(なんか顔が厳つい・・・いや、いつも厳ついな。うん、代り映えしねぇ厳つさだったわ。つか、ティティティはオヤジに引っ付いて何やってんだ。なんかの遊びか?)
「二階から降りて来たって聞いたが、あんたウチの客じゃないだろ。誰かの連れか?」
「お、お前だれなのらぁ! 変な奴なのらぁ!」
「ティティティ。黙ってなさい」
「あ、あい、なのらぁ」
オヤジが怖い顔でティティティを叱る所など初めて見たぞ。
珍しいこともあるもんだ・・・つか、他人行儀じゃね?
マンネリ化したサービスに嫌気がさして、変なイベントでも始めたか?
「わりぃけど今忙しいんだ。用があるなら帰ってから聞くよ・・あぁ、それと帰ったらここで一杯ひっかけるから、美味いツマミ頼むわ」
「なにはぐらかそう・・とぉ?・・・・・シュウジか?」
「?? 他の誰に見えんだよ」
「・・・・・らぁ??」
今日は珍しいことがいっぱい起こるな。
オヤジの惚けたアホ面見るなんざ、見たの初めてだぞ。
「は? マジでシュウジか?」
「ふえ? ほ、ほんとうにシュウジらぁ?」
「父娘揃って、アホ面ぶら下げて同じこと聞いてんじゃねぇよ。耳が遠くなったのか?・・はぁ、まあいいや。じゃあな」
「お、おう」
「う、うぃ」
反応が可笑しい二人だったが、気にするだけ無駄と思い、修二は宿を出て森に向かた。
なんか宿を出てから「いやいやいやいや」「いらぁいらぁいらぁいらぁ」といったオヤジとティティティの声が聞こえていたが、多分何かの遊びだろう。
なぜだろう・・・なんかムカつく。
人が真面目に働いてんのに、周りで酒飲んで遊び呆けられる感じだ。すげぇイラつく・・・・・いつもと逆だな。とか思っていない。
みんな働いてんのに一人だけ気楽に酒飲んでいるいつもの俺の生活じゃないか! なんて思っちゃいない。
うん、全然思っちゃいない・・・ただちょっと自重したほうがいいかもと、爪の先程まで考えた。
まあ、考えただけだが。




