旅立ち その④
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そんな風に私が覚悟を決める中、村での時間はあっという間に過ぎてしまい、とうとう次の日の朝方には出発…という所まできてしまった。
夜には村の広場でみんなが私の決起大会を開いてくれて、騎士様方が狩りで調達してきてくれた美味しいお肉と畑でとれた野菜と果物を使って、大宴会が催された。
幼馴染みの友達と、私の初恋の人…とバレてしまった、領主様のご長男、セス様(既に婚約者あり)とも歓談しつつ、宴会は大盛況に終わった。
(※セス様と話してる時の騎士様方の生ぬるい視線が非情に痛かった&いつもうるさいガルアが、かなり静かだったのが気になったりはしたけど…たぶん大丈夫よね)
その後は、静かに家で父と母と過ごして、出発に向けて少し早めに布団に入った。
お腹一杯で熟睡した私は、夢は何にも見なかったけれど、
その夜は久々に、何となく………、何となくだが、誰かが優しく頭を撫でてくれた気がした。
その変わらない優しい暖かさに、私の意識はゆったりとたゆたいながら、静かに眠りへと落ちていく…。
『………なぁ、こいつ。大丈夫か?これからきっと、かなりの面倒事に巻き込まれるぞ。魔法も使えないくせに、魔法学園でどう生き残るつもりだよ…』
やばい…。うん。たぶんヤバいよ…。
うん…。やばいよね。うんうんうんうん。やばい。
そう言って、赤、紫、黄緑、黄色…。
その他にもいくつもの淡い光の球が、心配そうにエマの頭の上をやばいやばい言いまくり&行き交っていた事は………、深い眠りに落ちていたエマ本人には知るよしもないことだった。