クラス分けと濃ゆいクラスメート やっぱり私は畑がいい⑦
「なっ、何だぁっ!!?あれはぁぁぁぁぁーーーーっっっ!!!!!」
「きゃーーーーーっっ!!!」
突如現れたジャンボジェット機は、けたたましいエンジン音と風の轟音を纏いながら、私達の頭上を凄まじい勢いで飛び過ぎていく。
暴風にもまれ、巨大な機体の腹を仰ぎ見ながら……。
ルッソさんの盛大な雄叫びと女生徒達の驚きの叫び声が、高々と広い地下空間に木霊した。
「エマ嬢っ!!伏せてっ!!!」
「……えっ?………ウォブッ!!?」
突然の奇々怪々な鉄の塊の出現に、背後に縮こまっていた騎士様達が、慌てて私をホールドしてかばいにかかる。
後ろに引っ張られ、抱えられ……。状態的には尻餅をつく形で押しつぶされぎゅうぎゅう庇われているのだが……、いや。全体的に潰されている。
「ルッソッ!!叫んでないで、エマ嬢守れよっ!!!」
「いやっ…!!だってあれ何なんだよっ!?どう対処しろってんだよ!!?得意じゃねぇけど、結界でも張れば良いのかっ!!?」
「知らんっ!!自分で考えろっ!!何でも良いから、思いつくの全部やれば良いんだよっ!!この間、エマ嬢助けに行こうと訳分かんねぇ覚醒してただろっ!!!」
「そうだっ!!ルッソ覚醒しろっっ!!!!」
「はあっ!!?お前らもやらねぇのかよ!!!?ってか、覚醒って何だよ!!!?」
「はいはいはいっ!!!俺にやらせて下さいっ!!結界張るの得意ですっ!!」
「俺もっ!!俺も俺も俺もっ!!!俺も得意です!!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ………!!!!
(※ここまで僅か数秒間)
「……………ぐっ。う…、皆待って下さい……。おかしいですよ。何で…??こっちの世界に…ジェット機が……???」
(まさか………………、炎帝様……??)
ペットボトルに引き続き、こんなハチャメチャ……思い当たるふしはそれしかなかった。
【とんでも展開=炎帝様】の図式が私の中でできつつあるのも悲しいけれども、騎士様達を押しのけ、何とか周りを確認しようと這い上がろうするのだが……。
その時だった。
「ホッホッホッホッホ。実に元気でいい反応じゃのう…。ちと遊びすぎてしもうたかもしれんが、わしの作った幻影……、皆で楽しんで貰えたかのぅ??」
耳元でくっきり…。少しエコーのかかった温厚そうでのほほんとした老人の声がしたかと思うと、慌てふためく生徒達の中心から、黄色とオレンジ色の炎が高々と立ち上った。
…………そして、キラキラと金の光が舞い散る明るく燃え上がる炎の中から、立派な白髪と白髭をたくわえた一人の老人が現れたのだ。
赤地に金の装飾の華やかなローブに身をつつむ、老眼鏡もお洒落な、好々爺とした穏やかそうな老人だ。
「ふうむ……。あれを飛ばすには、機体が巨大すぎてこの広い空間でもちと狭かったようじゃのぅ……。ホログラム技術を魔法で再現してみた空を飛ぶ異界のカラクリなのじゃが……、サプライズに丁度いいと思ったんじゃが、ヘリ・コプタや、もっと小型の物が良かったかのぅ??」
老人はそんな事を話しつつ、髭なでなで思いにふけっている。
そして、現在進行系で轟音と風を撒き散らせ頭上を通り過ぎていったジャンボジェット機はというと………。
勢いはそのまま…。壁に近づくほど機体は半透明に透けていき、最後は青白い残り火だけをわずかに残して、すり抜ける様にそのまま壁の向こうに消えていってしまった。
そして………、ジャンボジェットが消えた壁の向こうを見てなおもブツブツ物思いにふける学園長に、見かねたエレノア副学園長の激が飛ぶ。
「学園長………。挨拶くらいさっさとなさって下さい。昨日の入学式も遅れて不甲斐なく出れなかったのですから、挨拶ぐらいまともになさったら如何です!」
「おぉ……!そうじゃった。つい、新しい異界の知識が増えて年甲斐もなくはしゃいでしまったのぅ…。歓迎の意味を込め、アレを今年の新入生に一番に見せてやりだったのじゃが……、あちらでいうアト・ラクションというものじゃな。ぜひ後で感想を聞かせて欲しいのぅ」
「学園長…!!!」
「ホッホッホッ……。すまぬすまぬ。挨拶が遅れてしもうたの。わしがこのアステリア魔法学園の長を任されておる、アルファルムード・ダンクスじゃ。新入生の諸君、入学おめでとう。皆に会えるのを心待ちにしておった。心の底から歓迎しよう。……そして」
その時…。チラリ…。と、生徒の中心でにこやかに挨拶していた学園長が、先程のパニックにすったもんだに固まっていた私達を横目で見てきたのが分かった。
「……………学園に訪れた新しい風に心からの敬意を。生徒諸君の可能性に、わしも久方ぶりに心が踊るばかりなのじゃ。先程の、アト・ラクションなど比べようもない刺激の日々を、わしは楽しみに期待しとるからの」




