クラス分けと濃ゆいクラスメート やっぱり私は畑がいい②
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「おい!!あれ…」
「あぁ。間違いないよ。あの入学式の挨拶してた……」
「エマ・ブランドンだっけ?いったい何者だよ。途中からよく覚えてないけど…。気づいたらすごい有様だったし、なぁ??」
「あの《赤の王》と"お知り合い"らしいぜ…!?知り合いって………。どうなったらあんなビックと知り合うんだよ。幻の素材アイテム探し出すよりホラーで幻だろっ!?恐れ多すぎに怖すぎるだろそれっ!!!」
「……しっ!!!だめだっ!!下手に彼女を刺激したら、また"あの御方"が彼女が襲われたと感知して、助けに来てしまうかもしれないぞっ!!?」
(……………ぐうっ…。皆の視線と言葉の突き刺さりが痛い……っ!!!!!)
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入学式のあの騒動から翌日…。
アステリア魔法学園の新入生達は、登校と同時に広い講堂へと集められていた。
講堂に集められた理由は、本来であれば昨日の式中に行われるはずだった《新入生のクラス分け》の儀式を行う為なのだが……。
(……………………………………視線が痛い。………………ものすごく他の学生からの視線が痛いわ……っ!!!)
カッと目を見開いてピンチを思わず誰かに訴えたくたる程……、私はやるせない事態に見舞われていた。
それもこれも、もちろん昨日…。
思いもよらぬ炎帝様の《来襲》が、白の王様が残していった《灯籠花》の幻覚催眠利用の暗示を………、
全て台無しにしてしまった為である。
……………大破したホール自体は炎帝様がすぐに直してしまったのだけれど、続け様。生徒達の記憶を修整するのに炎帝様が催眠の二重がけをしようとした途端。
問題が発生したのだ。
なんと、白の王様の残っていた魔力が炎帝様の魔力を感知。反発。
その瞬間…。白の王様の《記憶逆固定魔法陣》が発動してしまったのだ。
(※それでいて、白の王様は“自分の記憶”だけはしっかり消していた)
…………結果。炎帝様は静かに怒りながら、
『…………………わざと仕込んでいったな………あのクソ亡霊……!!!』
………と、一時は建物ごと。
いや。
学園のある天空島がまるごと地上に落ちてしまいそうなくらいの大地震。裏山の大噴火、島の各所各所で地割れの連続などなどなど…。
荒れたり揺れたり爆発したり……。
だから炎帝様自身がどうせ消すから大丈夫とたかをくくり、ざっくばんとそのままそっくり人目気にせず話していた所まで………。
しっっっかりその場にいた全員の脳みそに、死ぬまで刻まれてしまったのだそうだ。
解呪すれば脳みそが爆発。墓場に行くまで例えその道のプロでも上書き、書き換えも不可能らしく……。よって、
『……………エマ・ブランドン。…………………どうやら無事だったようだが………、奴にどこも持っていかれてないだろうな?内臓も眼球も……手足の一つでも欠ければ、お前の畑仕事に支障が出るだろう。見せてみろ』
【ぐ、ぐぬぅぅ……!!おのれ白の亡者めっ!!我らの気に入りの娘に案の定興味を示しおって……。こやつの野菜は全て我らのものだというのに……!!!】
【兄弟ッ!!兄者ッ!!今からでも遅くはないっ!!オトシマエだ!!!市井でよく言うオ・ト・シ・マ・エ!!と言うものをつけに白の亡者の所に今すぐ行こうぞっ……!!!娘っ!お前の内臓も眼球も、我らがきっちり取り戻して来てやるからな…!!待っておれ、どれすぐにでも……っっ!!!】
という様に、炎帝様が親しげに普通に近寄って、異変がないかグイグイ私の手足を引っ張り伸ばし確認する様や、
頭上のホールの穴から頭をめり込ませ、コチラを気遣いながらも勝手に内蔵や目を持っていかれ設定を作り憤慨する巨大ドラゴン竜兄弟の会話に加え、
『だ、大丈夫です!!!大丈夫ですからっ!!ほら私の目も内蔵もしっかりありますし、血もついてないじゃないですか!!確かにヒヤッとした場面はありましたけど、あの方達に守って貰いましたから何もされてません。だから炎帝様も兄弟竜様も早まらないで下さいね!?特に兄弟竜様達っ!!!いや、まさか本気で行く気ですか!?ま、待って!!待ってくださいっ!!!お願いですから早まらないでーーーーーっっっ!!!!』
等の私達の会話や、一連のやり取りを…。
そのまま一通りその場にいる全員に"目撃"させてしまったのである。
しかも、記憶が上塗りできない&白の王様の妨害が分かった際には、
『……………仕方がない…。ここにいる生徒を全員、物理的に消すか……』
と、炎帝様が火を帯びたご自身の拳を握りしめた時には………、また本当にヒヤッとさせられた。
あれ以来、《私=炎帝様=暴虐》のワンセットのイメージがついてしまったようで、会う人会う人会う人……。
皆笑顔で冷や汗を流しながら、そそくさそそくさ。全員が私の目の前から即座にフェードアウトしていってしまうのだ。
講堂までの道を聞こうとしただけでも、先輩や同級生にまで土下座されてしまったり…。
(…………確かに。あんな事があれば無理ない反応なのかもしれないけれど……)
あれほど目立つ騒ぎにならなければ、今こんな針のむしろ状態にはなってはいなかったハズだ。
(…………………そして、既にボッチ!!!!)
講堂でクラス分けを待つこの瞬間も、私の周りには自分でも可愛そうになるくらい、不思議に人を遠ざける謎のサークルができてしまっていた。
右に歩けば、サササササ…。
左に行ってもスサササササ……。
ムキになって、いきなり後ろを振り向けば、ズササササーーーッ!!!
…………人という人が、無言で避けて遠ざかっていく。
(……………いや。私だってここに来るのに当たって、誰かと仲良しこよしを想定していた訳では無かったけれど……、)
でもここまで不自然な孤立は、色んな意味で痛々しくて、少しだけリアルに悲しくなってきてしまう。
(…………フッ。おかしいわね…。私、魔法は使えないはずなんだけど、いつの間にかに特殊な力に目覚めてしまったのかもしれないわ………)
そんな己の中二病に近い思考(現実逃避)にホロリとなりながらも、無駄な抵抗はやめよう…。と、ある程度で諦めかけた時……。
「お嬢さんっ!!!」
後ろから唐突に肩を掴まれ、明らかに他の生徒よりも背が高く体躯のガッシリした………、何故か聞き覚えのある声が頭上の方から降ってきたのである。
「いや〜、奇遇だなぁ!!私も調度一人だったんですよ。良ければこの際、ご一緒によろしいかなっ!??ハッハッハ〜〜…!!今日も良い天気だなぁ!!!」
少し不自然な言い回しと、馴染みのある豪快な笑い…。
振り向くと、年齢的にも体格的にも流石にその格好は無理があるだろう人物が、私と同じ魔法学園の制服を身に着け、その場に立っていたのである。
「……………………ル、ルッソさん!!!?ルッソさんが、何でこんな所にいるんですかっ!!!??」




