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エマ・ブランドン嬢⑪(魔法学園副学園長 エレノア・ボルチ目線)





魔法の道を志せば、必ずと言っても良いくらいに耳にする名前の数々…。

長い歴史の中でも、綺羅星の如く名を轟かせた偉大な名前が王のリストにいくつも書き連ねてあって……。





(正直……。この方々が来てくださるなら、学園や学生にとっても、この上ない極上の人事だわ……。他の先生方もこのリストの名前を見れば、畏れ多くて逃げ出してしまいそう…………)




不謹慎ながらも…、この魅力的な案件に私自身が惹かれ、信じられない事が起きたと、少し胸が踊ってしまっているのは否定できない。




……………それもこれも、全ては"特別措置特待生"の存在ありきで王が動き、そして起こった奇跡なのだと考えると……、本当に件の少女とはいったいどんな人物なのか、少々末恐ろしささえ感じてくる。




「……………とりあえず、話す事は話した。さっさと向かうぞ。時間が惜しい」




「ふぉ…っ!?アイタタタタタ……!王よ。そこ引っ張るのは……、アタタタ……」




王は無遠慮に学園長のふっさふさの髭をぐわしと掴み取り、強制的に窓側のバルコニーへと引っ張って連れて行く…。




「……………………………畑の事は任せたぞ」



【……任せた!!】


【……任せた!!】




……………………そう、最後に言い残し、王達は瞬く間に元のサイズへと戻った黒竜兄弟の背に乗って、激しい業風と共に空へと飛び去っていった。






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






兎にも角にも、私は畑(=王の庇護下の特別措置特待生)を放任で任された訳なのだけれど、その後の事後処理にてんてこ舞いになり……、どう頑張っても大量解雇で足りたくなった教師陣の穴埋めはできず、危機的な状況で入学式の当日を迎えていた。




王や学園長達からも、一切進捗連絡もなく…。




そんな中。国でも一流の実力派騎士団の護衛を受け、ヴィード公爵家の青銀の馬車と共に到着した、例の"特別措置特待生"の少女の姿は………。




少し日に焼けたダークブラウンの髪の毛を、ぐっと後ろにゆるく三編みにした、桃色の頬が可愛らしい健康そうな女の子だった。




少女が荷物を降ろしながらこちらに気づき、少し緊張した様子で見てきた時……、この平凡そうな少女のどこに、特別な何かがあるのか……。




その時は、目の前の差し迫る式典の事で手一杯だったけれど…。



その式典中に、まさかもう一方の王も現れるやら、追随して新任と思われる方々の登場に、リストに載っていなかった想定外の規格外もチラホラ…。




極めつけに、赤の王は学園のホールの天井を大破させてしまうし…。




しかしこれは、ほんの始まりの一端に過ぎなかった。




私は後々に推察したのだけれど………、




《彼女には、訳のわからない法則性が、彼女にだけ適用、通用している》




要するに、前代未聞、奇々怪々。





正直、年若い女の子に適用する言葉ではないかもしれないが……。


しかし、それしか思い浮かばないのであった。





「……………ブランドン嬢。本当に貴方、魔法は……」






「………………いや。使えないです。使えないですけど………………、あれぇ……??」








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