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エマ・ブランドン嬢⑩(魔法学園副学園長 エレノア・ボルチ目線)







「…………やはり、一番大事なのは体力だな。従魔や騎獣の扱いに慣れるのも大事だが、基本的に肝心の基礎体力が無ければ、火事場の馬鹿力も出ない…。体力作りに関しては、畑仕事でカバーできるか……?」




……………………。


体力と火事場の馬鹿力が、魔法を学ぶのにそれほど必要だとは思えない…。



思わず冷静にツッコミを入れたくなるのだけれど、ぐっとこらえて我慢をする…。

王は、まるで一流の騎士でも育て上げそうな勢いだ。




私が王の言葉を呆然と聞いているその間にも、王の口からは次から次へとあまりにもレベルが高すぎる……、そして、うちの一般学生でも無体&過酷過ぎる課題が数々とあげられていく。




しかも、"王の加護"……!??




そんなもの………、生まれてからこの方。そして歴史上にも聞いた事のある人間は何処にもいないだろう……。

聞いていなかったのか?と聞かれても、初耳の初耳。




しかし……、なるほど。これで一つ、合点がいった。





(どういう訳か………、学園長が見つけて来た例の子は、赤の王に気に入られてしまったのね……。理由は…………言うまでもない。畑かしらね)





………今も止む事の無い兄弟竜の畑畑畑畑!!!の連呼が、"特別措置特待生"への執着の強さを表している。





(…………確かに、最初王が訪れたと聞いた時点で、思い当たる節はこれしか無いとは思っていたけれど………)





私は遠くなる意識の下でひっそりと落胆、納得しつつ…、しかし、まさか今回の異例中の異例の"特別措置特待生"がこんな事になろうとは……。





「…………王。一度確認させて下さい。彼女は確か……、魔法が全く使えないと聞き及んでおりました。それに、故郷の村でも学舎に通った事が無いとも…。普段畑仕事しかしてこなかった少女に、本気でうちの魔法学園の全カリキュラムを受けさせる気ですか………??本気の本気に………??」





…………つい私の本音が漏れ出て、本気かという言葉を連発繰り返して聞いてしまう。





「………本気の本気だ。基本座学は実力で。普通の一般学生と同じの扱いを徹底させろ。今から連れて来る奴らにも重々念を押しておくが……、彼女の野菜作りの邪魔にならない範囲で、みっちりな」




王が話し終えると、援護射撃をするかの如く、王の両肩に乗る兄弟竜も元気よく弾丸トークを飛ばしてくる。




【なあに!!あの娘なら、そんな座学なんたらもお茶の子さいさいに、すぐに畑に向かうだろう!!なんて言ったって我ら兄弟の気に入りの娘だからな!!きっと他の有象無象の人間なんかすぐに蹴散らして頂点に登りつめるだろうよ!!なぁ、兄弟!!】




【ああ!!兄弟!!あの娘はなかなか兄者に通じる底知れないふてぶてしい見込みを感じる!!さぞや、我々の期待を裏切らない傍若無人ぶりを発揮してくれるだろう!!実に楽しみだなっ!!】




「……………………………。さ、左様ですか…………」




どうやら、"王の加護"を得た"特別措置特待生"のスパルタ強制学習スタイルは、決定事項らしい…。




私は"特別措置特待生"の少女を少し気の毒に思いつつ……、兄弟竜の方々から出た少女の人物像に、一抹の不安を覚えざるおえない。




聞く限りでは、騒動しか起こらない予感がするのは………気のせいだろうか??流石に、口に出すのははばかられるとは思うけれど……。




「ホッホッホ。エレノア副学園長。安心なされ。わしもおるし、王もご尽力して下さるであろう。何より、この紙に書かれた方々がおれば、どんな事が起ころうと大方大事にはならぬはずじゃ…。むしろ、ワクワクしてこぬか?副学園長も、憧れる一人二人はこのリストにいるのじゃろう……?」




そう言って、立派な白い髭と髪をたくわえたいい歳したイタズラ小僧の様に、学園長はにっこり目を笑みに細めて優雅に茶をすすっている。





(ぐっ………。た、確かに……………)





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