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エマ・ブランドン嬢⑥(魔法学園副学園長 エレノア・ボルチ目線)




そしてついでに…。と言うように、王はからくり鳥にも行け!と合図を送ると、クルッポー鳴いたとぼけ顔のからくり鳥は、すぐさま弾丸の如く、メチル先生が堕ちていく地の底にそのまま突進していく…。





「クルッポケギャアアアアアアアアアーーーー!!!!!!」 





【おおぅ!!兄者の餞別だな!!良かったな。寂しくなくて】



【おい!鳥っ!!心挫けそうな場面になったら、さっきみたいに炎を浴びせてやればいい。きっと元気でるぞ。もう関係は親友だな!!】





そう言ってケラケラ笑い、事の一部始終を王の傍らで見ていた黒いトカゲの兄弟は、地の底に強制連行されるメチル先生とお供の鳥に向かって、さも楽しげに言葉を投げかける。





『………………クソっ!!何だこの魔法はっ!!全っ然壊れねぇ!!………っ!お前らぁ!!!俺が戻ってきたら、覚悟しておけよ!!!絶っ対に、呪い殺してや……………っっっ!!!!』





「…………………五月蝿い」





裂け目から必死に抵抗しようとメチル先生の叫び声が聞こえる中…、





王のその言葉が、最後の決定打だった。





王がその美しい顔の眉間にしわを寄せ、指を鳴らすと同時に…、この一連の騒動が"強制終了"させられる。





地割れて崩壊が起こった学園の床は、勢いよくズンッ!!と口をふさがれ、床板などぼっかり失った箇所は、元の次元が次々浮かび上がるように出現し、何事もなかったかのように綺麗に修繕される。

あちこち飛び火していた炎もすぐに消え失せた。




そして、あっという間に焦げた所も焦げ臭い匂いも、血が大量に染み広がっていた絨毯さえも元通りで…。




もう、そこには陽光の温かい…、元通りのいつもの学園長室へと"回帰"させられていた。





もちろん、教師たちが盾代わりに手にしていた家具やアンティークも修繕され、元通りの位置にフワリと戻す完璧ぶりだ。





詠唱なしの、"完璧な回帰修繕魔法"…。




(………………………凄い。流石………、)





「……………………邪魔者はこれで片付いたか」





そう言って…、見た事も触れた事も無い高次元の魔法に呆気にとられる私達の目も気づかず、王はそうため息をもらして学園長の机に腰をかけた。





そしてこちらをゆっくりとねめつけ、部屋の隅々でへたり込む教師陣を訝しむ目で見渡していた。





「………………念の為、学園の内情を見直してみれば、多少マシな方だと見ていたウイルス・デトロスキーは死亡。ハイネ・ベンツナーももういない。来てみて案の定だったが……。お前も含めて、あの程度の小物に気付かないのは………、学園の教師陣に力量不足は否めないな。この学園の選考は甘すぎるのか?小僧」





「おやおや…、ホッホッホッホ。炎帝様は手厳しいですなぁ…。しかし、いえいえ。今いる先生方は、王室の方々とも論議を重ね、名実共に選びに選ばれた実力屈指の方々ばかりですじゃ。メチル先生だって、実力でいえば何ら申し分ない若手のホープだったのです。まぁ、白の方の配下とあれば、優秀なのは当然といえば当然ですな。過去に私もあの方の"人形"にお目にかかる機会はございましたが…………、"屍"の精度も精巧さも、昔より遥かに上回っていましたのぅ……。あれでは、生きてる人と何ら変わりは無いように見えますの」





そう言って、学園長は王の静かな威圧に動じる事なく、のほほんと言葉を返している。




どれ、一息つきますかの?と言って、脇にあった茶器に手を伸ばしてお茶を入れ始める辺り………、肝が座りすぎていて見ているこちらが気が遠くなりそうになる。




「……………奴の執念は蛇よりもしつこいからな…。この手で殺せるなら俺がとうの昔に殺しているが…、ウイルス・デトロスキーの墓も調べてみる必要がありそうだ。ハイネ・ベンツナーも学園を去った後の消息を調べた方が良いだろう。他にも不自然なものがあったら報告しろ。あと………」




そう言って王は何を思ったのか………。

いきなり真横に生じさせた空間に手を突っ込むと、掴み出したのは金銀財宝、お宝の数々。

見た事も無い幾何学的な魔道具やら、希少なレアアイテム、古文書、地図やらを、次から次と亜空間から引っ張り出しては、来客用の応接テーブルに山積みにしていく。




そして、王の周りをパタパタ飛びかう二匹の黒トカゲ兄弟は、連携がとれて阿吽の如く、例の賄賂その②とメモが挟まれた美味しそうな匂いの菓子箱を、教師一人一人に丁寧にパタパタ配って回っていた。




【……美味いぞ】


【……兄者の手作りだからな】




そう言って、ニヤリ、ニヤリ、と笑う黒トカゲは……、どう見ても黒い小型のドラゴン。




気の弱い先生方は、ヒィィ!と言いながら、おずおず菓子箱を受け取っているが……。数人、興味津々に研究意欲を刺激され、大興奮の教師がチラホラ見受けられる。




その様子に、私はお願いだから王の兄弟竜に失礼をしないで…!と内心ハラハラしていると……、





全ての物を出し終えたのか……。王はテーブルいっぱいに山なり出された金銀財宝お宝が積み上げられた横で、いきなり数人の教師に向けてお前お前と指さし、最後に私にもその指を向けていた。






「今、指さした者…。それ以外は、ここから好きなだけ財宝を持っていくといい。これは俺からの退職金だ。正規の退職金や保証金も国やらこの坊主から好きなだけ受け取って、国に帰るなり自由に好きにしろ」





「「「!!??」」」





退職金……!!??


………………………王の突然の言葉に、その場にいた全員が全く反応できなくなる。







「指されなかった者は、"全員解雇"だ。これは、学園に関して"干渉権"を有する俺からの"命令"だ。反論は許されない。ご苦労だったな」





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