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はじめまして。私はエマ・ブランドンです③







そして……、無表情の中に眉間にシワをよせ、続けざまに発せられた彼女の言葉に私達は後々息をのむ事になる…。





「少々…、想定外の手違いが発生しました。急げばまだ間に合うでしょう。お二人とも…、心して下さい」






「「……え?」」








◇◇◇◇◇◇








ザワザワザワザワ…。






時が経ち、所変わって正午を過ぎた昼下がり。





アステリア魔法学園が誇る、王宮の建築にも全く劣らないほど大きく広い豪華なホールの中に、たくさんの在学生、来賓、王族…。

そして今日の主役たる新入生達が一堂に集まっていた。




ホールの形は円形状で、中央にあるステージを見下ろす形で、ぐるりと円に配置された無数の赤い座席が、奥に行くほど順に高く高く配置されているという形だ。



おそらく一番後ろの席では、真ん中のステージ上が小さくてあまり見えないのでは…?と心配になるほどの高さまで設置されている。



そして今回の主役である一番ステージの近くで一番下の階にいる新入生達は、キョロキョロと高い天井を見上げ、ホールの薄暗い空間に幻想的に漂う灯り…、魔導灯の光にうっとりしていた。




「……皆さん、静粛に」




薄暗いホールに、厳格で凛とした壮年の女性の声が響き渡る…。




中央のステージにパッと魔導灯の明かりが集まり、壇上の上に現れたのは、黒い細身のドレスに身を包んだエレノア・ボルチ副学園長…。

裏口に出迎えに来ていた、あの貴婦人だ。




数歩前に歩み出た彼女は、明朗な声でピンと静寂ではりつめたホール全体に向け、話し始める。




「……これより、アステリア魔法学園の入学の式典を始めたいと思います。まずは新入生の皆さん、入学おめでとう。そして、この式典に足をお運び下さった我が国の国王両陛下に厚く御礼申し上げます。皆さん、両陛下に盛大な拍手をお願い致します」




すると、新たなライトが王夫妻の貴賓席に向けられ、ホール中が盛大な拍手で包まれた。




「そして、国内外からお集まり頂いた貴賓、来賓の皆様におかれましても厚く御礼申し上げます。皆さん、盛大な拍手を」





拡声器もないのに凛として淡々と響く副学園長の声は、鳴り止まない拍手の中でもはっきりとそれぞれの耳へと届けられている…。




これは風魔法と音響魔法の複合技らしいのだが、実に便利なものだと思う。




「そして、我が学園の長、アルファルームド・ダングスからの挨拶は…………………、」




ふと、それまで流れるように発せられていた副学園長の言葉に不自然な間が空いた。




遠目からは確認できないかもしれないが、眉間の間に、ピクピクうっすらシワらしいものが浮き沈みしている。




「………………、省略します」





「「「「え?」」」」




ようやく絞り出したかのような副学園長の声に、思わずホールにいる全員が耳を疑う。





「そして、毎年恒例のクラス分けの選定の儀式も………………、





…………省略します」





「「「「…えっ!?」」」」





「加えて、新任の紹介も含め毎年行っていた教師陣の紹介ですが、大幅な教師陣の入れ換えの為、選定がギリギリ間に合っておらず…………………、





………………省略します」





「「「「…………はあぁっ!?」」」」





副学園長の口から発せられていく言葉の数々に、ホールのざわめきが徐々にヒートアップしていく。



おぃおぃおぃおぃ。いったいどうなってるんだよ!?




混乱する生徒や来賓達からも、事態がのみ込めない混乱の声があちらこちから聞こえてくる。




歴史あるアステリア魔法学園の入学式の中でも、こんな珍事態、珍事件がかつてあっただろうか……?

厳粛に行われるハズの式典が、最早大混乱の嵐の中だ。






「…………大幅の式典内容の省略に戸惑われる方々も多いでしょうが、ご心配はいりません。明後日、本格的に授業が始まるまでには全てが整う手はずになっております。クラス選定の儀は、明日個別に行われる事になるでしょう。

混乱させてしまい、大変恐縮ではありますが……、ここで新入生代表の挨拶として、生徒に一人。挨拶をお願いしたいと思います………。エマ・ブランドン!!」





「……はい!」





ホール中に響き渡るざわめきの中、新入生席に座っていた私…。

エマ・ブランドンは、副学園長のエレノア様に名前を呼ばれ、緊張にガチガチ震えながら壇上に上がっていく。




頭は真っ白…。

照明の明るさに目をチカチカさせながらも、挨拶の内容をメモった紙をガッシリ手に持って、副学園長の隣まで歩いた。





(……落ち着いて。ゆっくり読みなさい)





副学園長の小声の激励がすれ違いざま聞こえてくるが、頭が真っ白すぎて正直内容が全然頭に入ってこない。




足はガタガタ。汗はダラダラ。

できるだけバレないようには振る舞ってはいるのだけれど…。





(…………何でこんな事になった?)




(……どうして、こんな事になった!??)





原因の起因が自分に一部あるとはいえ、どうしてもそう思わずにはいられない。





…………………………時は、数刻ほど前に遡る。





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