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やっと入学 アステリア魔法学園⑥




「……………エマ嬢。顔」




「はっ!」




クリス様の指摘を受け、私はとっさに我にかえる。




(いけない……。両目がお金マークになってしまっていたかもしれない。ちょっと自覚があるけど、おさえろ自分っ!!)




私は目と表情筋がにやけないように、両手で必死に矯正する。





ここに来た一番の目的……。流通の太いパイプとコネクション。それに加えてプラスα、万全の資金面や諸々のバックアップも目の前に吊り下げられ、不覚にも一瞬、自分の中の理性がぶっ飛んでしまった。





王家の親類、ヴィード公爵家。

そんな家が自分をバックアップしてくれるとなれば…。

文句なんて無い!

実~に実に、良い話ではないかっ!!




「話によると、赤の君からは一般学生と変わらない勉強量を求められているようだが…、国にも認められるか否かは君の学園での努力次第だ。頑張りたまえ」





「~っ、もちろんです!!ありがとうございますっ!!」





公爵様の言葉に食べ途中のトルックを握り締め、私のテンションは一気にマックスだ。





(身を粉にして、勉強と野菜作り頑張ろう…‼)





公爵様が言ってる事は、国にも認められるような安心安全、安定的な野菜生産を証明するようにという事なんだと思う。




最初は、なぜ魔法も使えない私が魔法学園に入学なんて珍事件が起こったのだと思っていたけれど、要は食糧事情をかんがみた研究の一つで呼ばれたんじゃないかと最近は思うようになっていた。




まぁ、それは炎帝様からの情報提供や、皆から教えてもらった現状。そしてここまで来る間に見たものをふまえての、あくまでの予測だけれど……。あながち間違ってはいないと思う。





確かに私の秘密…。生まれる前の記憶や、別世界での事がバレれば、マッドサイエンティストの如く魔法狂の研究の餌食にされる可能性が極めて高いから要注意だけれど…。





やる価値は充分だと思う。





正直、文字がようやく読めるようになり始めた付け焼き刃知識でどう乗りきれるかは見当もつかないが…。

こうとなれば、もう腹をくくるしかない!!





勉強の間も、訓練の時も、畑耕したいな~…。とか、もうそろそろあの一帯が収穫の時期だったな~…。とか現実逃避しがちだったが、やる気の度合いも段違いだ。






そんな間にも、私の中で次々と目まぐるしく計画の構想が膨らんでいく…。






「……あんまりゆっくりしていると遅れるんじゃないか?」





「っ!……ですね!食べますっ!!」





未来の野望に、目が爛々とし始めた私の頭の中が想像ついたのか。

見かねたクリス様が声をかけてくれる。





私は興奮さながら、勢いのままバクッと残りのトルックを口一杯に頬張って、ぐいっと一気にスープを流し入れた。




「良かったね。エマ嬢。もちろん私も期待してるよ。ほら、ラグー肉の煮込みも来たからこれも食べて」




「あひがとふごはいまふっ!!」





そう言って、口足らずにユース様にお礼を言って頬を膨らませながら、フォークでとろとろに煮たお肉もブサリと刺して口へと放り込む。




「フフッ。あ〜あ。何か面白い事になりそうだね。クリス。後で何かあったら教えてね。一応、私も王の叔父上について入学式には顔出す予定だけど…、彼女は一波乱も二波乱も持っていそうだ」




「………こっちは警備を任されているんだぞ……。何か起こったら、こちらが困る」




楽しげにニコニコ笑うユース様に反して、クリス様の目はぶぜんとして半眼だ。





「ごちそうさまでしたっ!!」





私は勢いよく両手を合わせ、前世よろしく。食後のお馴染み、食べ物に感謝の礼を述べ、食器を持って席を立った。




「あら?エマ様もう食べたの?食べた食器は置いたままで良いわよ~」





私の様子に気づいたイザベラ様が、皆に料理を切り分けながら声をかけてくれる。




「大丈夫です!これくらいさせてください!!今日も御飯、とってもとっても美味しかったですっ!!!」




「そう~?うふふっ。ディナーも期待していてね~」




気合いの入った私の受け答えに動じる事なく、イザベラ様は可憐に微笑んでくれる。





「俺ももういい……。エマ嬢。食器を片付けたら半時程で玄関に集合だ。団員も皆一緒に向かうから、それでいいか?」





「わかりました。了解です!!」




今から半刻…。

こうはしてられない。急いで残りの準備をしなければ。




私は失礼しますと挨拶を言い、そそくさと食器を持って、厨房の流し場に向かって歩き出す。




ガヤガヤガヤガヤ…。

まだ食事を続ける館の人達や騎士様にぶつからないように気を付けながら、間をすり抜けてようやく廊下へとたどり着く。




「お前達。半刻で出る準備をしろ。わかったな」




はーいと、てんでバラバラに返事をする騎士様方の声と、クリス様の声が後ろの方して、私はおや?と思いながら振り向いてみる。



「……あれ?クリス様も食器置きに行かれるんですか?」




「ああ…。どうせだからな」




そう言って、振り向いた先には律儀に自分が食べた食器を重ねて持ったクリス様が立っていた。




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