エマ・ブランドン嬢①(ナオ・ビフケル目線)
…………エマ・ブランドン嬢がどこかに消えた。
「エマ嬢ーーっ!!エマ嬢ーーっ!!どこ行ったんだ。エマ嬢ぉぉぉぉーーー~~~っっっ!!!!!」
いなくなる直前…。
最後に彼女と話した団員のルッソが、先程から右往左往、大騒ぎで彼女を探しまくっていた。
師団の中でも一二を争う義理堅い彼は、彼女に何かあったんじゃないかと本当に気が気じゃない様子だ。
鎧も剣も魔法具も既に完全装備…。どこかの大戦に向かうんじゃないかと思うくらい、戦闘体勢バッチリの格好で今も走り回っている。
心配で心配で彼が半泣き状態で奔走して……、もう二時間以上経ってしまっているのではないか……………?
彼はその間、ずっと魂の叫びで彼女の名前を呼び続けている。
「誰かに連れ去られたのかっ!?どこか道に迷ったのかっ!!?獣か魔物に襲われちまったのかーーーーーっ!!!?」
「落ち着け、ルッソ!!まだそう決まった訳じゃないだろう!!」
「そうだぞっ!!周りをずーっと見渡せる、このひらけた荒れ地でどこにも見当たらないんだ。確かに何かあったかもしれないが、とりあえず血の臭いも跡も全く無いし、遺体だって出てきていないんだから、きっと絶対に生きているっ!!大丈夫だっ!!!」
「そんな事言ってもよぉっ……。団長ぉっ!!他の仲間からは何か連絡来てないんですかっ!?連絡弾も一個も上がってませんか!?」
そう言って、もう何十回目の確認か。
ルッソがクリス様へと確認する。
「……………………。まだどの団員からも知らせは来ていない。捜索の範囲を広げよう。ナオ。団員達に知らせを」
「わかりました。日の入りまで考えたら、あまり猶予はありませんね。少し広めに捜索の範囲を広げてみましょう」
そう言って、私は通信用の魔導具に魔力を通し、一斉に辺りに散らばって捜索に当たっている団員達に指令を伝える。
刻々と進んでいく時間に、団員達やクリス様の顔にも焦りの様子が浮かんで見えている。
…………もちろん、私も内心ハラハラだ。
何せ今回の指令は、国同士の取り交わしも行われているのだ。
国のトップの、王の親書が両国で交わされている。
(………………本当に洒落にならない)
それに、彼女の故郷の人達やご両親とも、責任持って送り届けると出発の前に約束をしたばかりだ。
絶対に、探し出さなければならない。
それでも正直…、ここまで私達の捜索網に反応が何も無いのは今だかつて経験した事がなかった。
索敵の魔法も、魔導具も…、既に使用済みだ。
隠蔽の可能性も疑って、その痕跡を団員に探らせていても、それさえも見つけられない。
魔法の跡も、魔物の気配も全く無いのだ。




