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個人的な話

叱り方について

作者: オリンポス
掲載日:2019/06/10

上司が部下を見つめるとき、

部下もこちらを見つめているのだ。

今回は人材育成という教育の現場において、

未熟者の代表格であるワタクシが、

教育を通して学んだことをお話していきたいと思います。


まずは教育なんですけど、

これって教育者が一方的に物を教えているように、

少なくとも一般的にはそう思われているかもしれませんが、

それは大きな間違いで、教育者は生徒から多くのことを学んでいます。


ここでは「叱り方」をテーマにして語りますが、

本当はもっともっと学習させていただいているので、

そこについては、また別の機会に語ることと致します。




まずワタクシが教育に携わるにあたっては、野心がありました。

「必ずうちの班員を使ってトップを獲ってやる!」

当時は本気でそう思っていました。


周りには教育現場のプロフェッショナルがいる中で、

ワタクシだけは右も左もわからぬ新参者です。

でも、ワタクシならやれる! という自信がありました。

自分なりのカリキュラムがあったからです。


それに則って、仕事を教えていくうちに、

"自信"は、"確信"に変わっていきました。

「こいつらなら、やってくれる!」と。


ですが、そう簡単にはいきませんでした。

なんていうんでしょうね…

人って機械じゃないから、

やる気とかモチベーションって

仕事にすごく影響するんですよ。


そしてそのときのワタクシは、

士気の低さを生徒たる部下の責任だと思っていたので、

「自分のモチベーション管理もできないのか!」

「やる気がないなら辞めてしまえ!」

(辞めろとは、自分の主義に反するので言いませんが)

というニュアンスの発言をして、

彼らを叱咤激励したつもりになりました。



ですが、みなさんは、

これを言われたらどんな気持ちですか。


「やる気がみなぎってきました!」

そうなりますか? ならないですよね。

実際の教育現場でも士気は下がったんですよ。


そして冒頭でもお伝えした通り

ワタクシは"未熟者の代表格"なので、

「1+1=2」くらい単純な図式なのに、


「あれ、なんで士気が上がらないんだろう」

「どうして他の班は活気があるのにうちだけ…」

本気でそう思い悩んでしまったんです。


日中夜に渡って彼らのことを考えて、

夢にまで生徒が出てくるのに、「なんで?」と。


そのことがずっと心残りで、

お恥ずかしい話ですが、

小説のことを考える余裕さえありませんでした。




そうしたら、最悪の事態が起こりました。

生徒のことが"嫌い"になってしまったんです。


嫌いになることは悪いことではありません。

人間なのですから、仕方がないと思います。

ですが、いつの間にか、

()()()()()()()()()と、

教え子の悪口を言ってしまっている自分に気が付いたんですよ。


これって、最低じゃないですか。


悪事千里を走るというように、

この言葉もすぐに教え子に伝わりました。

関係性はなおさらギクシャクします。


そこでようやく、

「この問題は彼らの責任じゃない。

 これは自分の課題なのだ!」

と当事者意識を持つようになりました。


そこで信頼関係を復旧するために行ったことは、

"相手の話を素直に聞くこと"です。


「なんでやる気がないの?」

そうやって詰問するのではなく、

「何か嫌なことでもあった?」

と、質問するようにしました。


すると、

「実は風邪気味なんです」

「実は頭が痛くて…」

そう打ち明けてくれました。


ワタクシはそんなことも知らずに、

ただ、"やる気がない"というレッテルを貼っていたのです。


全くこの男は、

"自分が上司にされて嫌だったこと"を

知らず知らずのうちに実践していたんです。


これじゃあ生徒から信頼されるはずがありません。


なのでワタクシはこれまでの態度をすべて改善して、

少しでも部下のことを知る努力を始めました。





この経験からワタクシが言えることは2つあります。


①言った通りになる!

②まずは話を聞く!




①についてです。


「お前らは声が出てないんだよ!

 もっと腹から声を出せ!」

仮にあなたがそう叱ったとします。


すると社員はどうなると思いますか。

お腹の底から声を出すと思いますか?

人によっては出すかもしれませんが、

基本的にボリュームは変わりませんでした。


それはなぜなのか。

「声が出てない!」と言ったからです。

脳の与えるセルフイメージは甚大です。

人は言葉に影響を受けるのです。


ですから、声が出ていないと思ったら

ワタクシはこう言うように変えました。


「いいねえ。声が出てるよ!

 でももっと出せるよ。お腹に力を入れて!」


変えた言葉はたったこれだけなのに、

士気は驚くほど高まりました。

もちろん仕事の能率も上がって、

ある分野ではトップクラスの成績を収めました。


人は言った言葉の通りになるんです。

部下にはプラスのメッセージを投げかけましょう。




②についてです。


一方的に自分の感情をまくしたてる人がいます。


「何でいつも報告書の提出が遅いんだ!」

「すいません。実は~」

「言い訳なんか聞いてないんだよ。いいか~」


そうやって持論を押し付けてくる上司と、


「どうした。報告書の提出が遅いじゃないか。

 何かトラブルでもあったのか?」

「そうなんです。実は~」

「そうか。それは大変だったな。

 よし、俺も手伝うから納期に間に合わせよう!」


そうやって話を聞いてくれる上司の2人がいたとして、

あなたはどちらの話を聞きたいですか。


おそらく後者だと思うんです。


人間は「1」しか自分の話を聞いてくれなかった。

そう思うと、相手の話も「1」しか聞こうとしません。


ですが、「10」も話を聞いてもらえた。

そう感じると、相手の話を「10」聞こうとするんです。


心理学でいうところの"返報性の原理"です。


なので相手に何かを伝えたいときには、

相手の話もしっかりと聞いてやることが大切なんだなと、

そんなことを勉強させられました。


「そんなの当たり前じゃん!」

って思う読者の方もいると思いますが、

この話は上司になればわかります。


なんで上に立つ人って、

下の人の意見を聞かないんだろう。

ワタクシにはそれが不思議でしたが、

人を教える立場になってわかりました。


「わかっている()()()」になるんです。



いや、俺はあいつのこと知ってるし!

違います。昨日と今日では別の人間です。

上に立つ人はもっと"知る努力"をすべきなのかもしれませんね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いやー、これはわかります。 私も指導する立場にいたことがありますが、上は大変ですよね……笑。そんな突拍子もないことよく平気でできるなとか、常識ないのかとかイライラしていた時期はありましたが…
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