第四話 捕虜
ーー王都 城内大広間ーー
「よし、そろそろだ」
社は連絡要員の兵士から戦況報告を受け、地図から目を離してた。
「どうした?」
王座に座っていたリーリスはネコミミをぴこぴこ動かしながら気になり社に聞いた。
「そろそろ勝つ」
「はぁ?!」
リーリスは驚き王座から立ち上がった。
「まだ地下通路を通したばかりよ、さすがに…」
「やはり敵もバカだったよ、まんまと引っかかりやがった」
「むむむ……」
苦笑する社にリーリスは険しい顔をするが先程みたいに兵士を睨みつけあまつさえ駒の様に扱う社に少しビビって何も言えなかった。
「あ、それとシャロを紹介しとくわ。今後お目付け役として、シャロ」
「は、はい」
リーリスがシャロを呼ぶとリーリスの横にいた幼い女の子が社の前に近づくそれは社がこの世界に来てここまで案内したネコミミメイドの女の子だった。
「えっと、まだ名前を申し上げておりませんでしたよね?」
「あぁ、そうだな」
「ウィリアムズ・シャーロットです、皆さんからはシャロと呼ばれております、よろしくお願いします」
シャロはスカートの両方を指でつまみ裾を軽くあげ頭を少しさげた。
「あぁ、よろしくな」
社は不思議とシャロの頭に手が伸びて不思議と撫でてしまった。ちょうど撫でやすい位置に頭があったのかそれとも撫でるのに紛れて耳を触ろうと思ったのか社は無意識に頭を撫でた。
「ふにゃ〜、じゃなくて…なにするんですか」
「あ、悪い不思議に撫でてしまった」
手を離して謝る社に撫でられて気持ちよくなったのかシャロは少し照れつつも怒るがしっぽは正直でフリフリと左右に振れていた。
◇◆
戦況は社の作戦通りに動いた。
大通りにまんまと突き進む敵兵は城前に構えた防御で固める魔法兵士とぶつかり、その間に地下通路から背後に回り上手く挟み撃ち状態に持っていき損害なく圧勝した。
敵国の兵士は逃げ場もなく投降し、捕虜となった。
◇◆
「ありがとうございます。報酬の方は街の方が復興次第望んだ物を用意するのでしばしばお待ち下さい」
リーリスは戦いが終わり不本意であったが社に頭を下げてお礼を言った。
「分かった、それと捕虜に関しては俺に任せてくれ、敵の情報を聞き出したい」
「捕虜に関してはこちらの兵がなんとかするので大丈夫よ」
「いや、俺がやる」
社は普通に答えてリーリスを見るがリーリスからしたら睨まれてると勘違いして仕方なく承諾する。
「…分かりました。お任せします」
「悪いな」
社は大広間から出るとあとからとてとてと可愛らしく小走りして隣に来るシャロ。
「あの社さん…」
「ん?どうした?」
「こんな事を言うのは間違ってると思いますがこの国を助けてくれたのは感謝しています。ですがその……アデル姫を困らせる事は…」
「ああそうか…悪かったな」
歩みを止め社はシャロの頭に手を置く。
「あれは単にキャラ作りだ、作戦を失敗する訳にはいかない。二度と失敗は許されない」
「二度と…社さん前の世界は過酷だったのですか?」
「まぁ過酷と言われれば過酷だった、けど色々と学んだ世界だったよ」
社は死ぬ前に思った後悔がある。この世界では繰り返さない為にも失敗はしない。
「普通の俺は優しいから大丈夫だ」
「社さん…」
自分で言って恥ずかしくなる社だが指揮権を完全に独占するつもりはない、ただ失敗を起こさぬように導くのみ、それこそが最高の指揮だと社は思っている。
「しかし、この耳は本物か?」
「ふえっ!?ちょっ!社さん!!」
ネコミミを触られてシャロはブルブルと全身に寒気が走るとすぐさまその場にしゃがみこむ。
「耳…弱いんですぅ……」
泣き目のシャロにすぐさま謝る社。耳は本物だった。
ーー王都 地下牢屋ーー
シャロと共に初めて案内された場所とは別の場所の地下は薄暗く湿気でジメジメしてて周りにはコケがところどころ生えていた。
「社様、この度はありがとうございます!おかげで家族は助かりました」
牢屋の前の門番をしている兵士が敬礼して社にお礼を言った。
「俺は采配したに過ぎない。君達が頑張ったお陰だよ、捕虜は?」
「有り難きお言葉です。捕虜はこの少し先にいます」
「そしたら捕虜にいる階級が上のやつだけ話したい、連れてきてくれないか?」
「はい!分かりました、少々お待ちを」
兵士は急いで捕虜のいる牢へと向かった。
時間が少し経ったあと準備が出来たらしく社は戻ってきた門番に案内された。
「ここです、中にいます、それと中に護衛用の兵士を一人いますので安全ですが一応気をつけてください」
「分かったありがとう、シャロはもう戻って平気だぞ」
「ですが…」
「シャロ、ここは男しかいないからお前がここで一人でいたら何されるか分からないぞ」
「ヒッ!わ、分かりました!ただいま戻らせていただきますぅ!」
社は両手を広げシャロを軽く脅したがシャロには効果ばつぐんで逃げる様に走りに地下牢から出ていった。
社は捕虜がいる部屋に入る。中は湿気でジメジメとしていた変わった部屋だった、部屋を入ってすぐ扉の横にはマスケット銃を持った護衛の兵士が立っていた、そこに正方形の机が一つと椅子が向かい合わせであり、向こうに捕虜が座っていた、社は捕虜の前の椅子に座った。
「はじめの質問は、お前達はどこの国だ?」
「...」
「喋らないか、質問を変える、お前達はなぜアデル王都を攻めた?」
「...」
社は落ち着いた表情で淡々と質問を繰り返したが捕虜は一言も口が固く何も喋らなかった。
「最後だ、もう一度だけ言う、お前達はどこから来た?」
「...バーン王都...」
「それが聞ければ十分だ」
社は椅子から立ち上がり部屋から出て行った。
結構この回で印象が変わると思います、前のストーリーを読んでいた方なら分かると思いますが今思えば無しでも良かったです。
今後には特に関わってこないので