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闇落ち砕きの利己主義者(エゴイスト)  作者: コミネカズキ
10/25

改造

それから一週間、俺は正に地獄の仕打ち……シゴキ?を受けた。


アエーシュマによって強化された名栗花子に相対するため、俺の戦闘能力を向上させる必要が有る、と言うのが夏人さんの言い分なのだが、もう少し何かマシな方法は無かったのだろうか?


「あ?何言ってんだ?邪邪教授の人体改善より優れた方法なんてある訳ないだろ?あの邪邪教授だぞ?」


どのだよ!?

何なんだこの異常なまでの夏人さんの教授への信頼は?


「はいはい、そんな邪邪教授ですよ~。それでは早速ね、筆谷者人君の人体改造を行っていくわけだが~。」


それで何なんだよこの教授のノリは!?


「まずはこの得体の知れない謎の薬を打ちます」


「え?ちょ!?」


静止する間もなく俺の肩に注射器が刺さる。


「な!?ちょっと何するんですか!?まさか変な薬じゃないですよね!?」


「モノヒト君、世の中に変じゃない薬なんてモノは~無いのだよ?良くも悪くも体の状態を変化させるんだから。異常なモノなんだよ~、薬ってのは。」


変に理屈っぽい事を言う。


「まあ今打ったのは細胞の発達を助ける成分を必要以上に、……異常に含んだ薬だから毒とかでは無い。超強力なプロテインだと思えば良い。」


「プ、プロテイン……ですか?何でそんなものを?」


「そりゃー君、これから死ぬほどトレーニングするからに決まっているだろ?さ、まずはこれを付けたまえ。」


そう言うと教授は複雑な機械が付いた全身タイツ?の様なものを渡してきた。


「それは私が長年考案し続けて30分で完成させた[超人育成タイツ]だ!」


「怪しい!怪しいしどこから突っ込んで良いか解らない!とりあえず制作期間短い!」


「まあ何はともあれ着たまえ。」


「ほらさっさと着よモノヒト!」


教授と夏人さんに促され半ば強引に装着させられる。……あれ?


「あ、あの。特に何も起きないんですが?」


「そりゃそうだ、そいつの機能は……まあ実際に体感してもらった方が早いかもなぁ。」


そう言うと教授は野球ボール位の大きさのゴム玉を取り出した。


「モノヒト君、君には今からひたすらこの球を避けてもらう。」


「その球を……ですか?」


「そうだ。では早速いくぞ?」


「え?教授が投げるんですか?いくら何でもそれは簡単に避けられま……」


俺の言葉はここで止まった。

邪邪教授の身体中の筋肉が膨れ上がり筋骨隆々とした体型に進化したのだ。


「ゆくぞ?そりあああああああああっ!!」


どぎゅーーーーーんっ!


教授から放たれたゴム球はキャノン砲の様な威力で発射された。


「うそーーー!?」


全く反応出来ずみぞおちに球を受ける俺、と、その時


バリバリバリバリバリバリ!!


超高圧な電流が俺の身体を流れた。


「ぎやああああああああああすっ!」


俺は今まで出した事の無いヘンテコな叫び声をあげてぷすぷすと煙を漂わせながらその場に倒れ込む。


「と、いうぐわいにタイツにボールが当たると電撃が流れる仕組みになっておる。ビリビリが嫌なら死ぬ気で避けたまへ。」


マジかよ。


「おいおい寝てる場合じゃねーぞモノヒト。俺と邪邪教授が交互に投げるからとにかく死ぬ気で避けるんだぜ?じゃないとまじで死ぬぜ?」


そう言う夏人さんの腕にはoverroadの文字が浮かび上がっている。

あ、いやそれは1発でシャックスを消し飛ばしたヤーツじゃ……


「うりゃ!」


ギュワワワギュワアアアアン!!


「ギャー!スキルの無駄遣いっ!!」


必殺技を打つな!!アホかっ!!

紙一重で避けた……つもりだったがかすってしまう。


ビリビリビリビリビリビリビリビリ!


「ギニャアアアアアアアアッ!?」


またしても謎の叫び声を上げながら倒れ込む俺。


「さあ、どんどんいくぞ?立て立て!避けられる様になるまでやるからな?」


「ちなみに肘から先の手は通電しない作りになってるから避けなくても上手く払い除ければビリビリしないぞ。」


「ま、マジかよ……誰か、助けて~~」


俺の叫びは虚しく響き渡った。



……二日後。

何とか球を避けられる様になった俺を待っていたのは更なる試練だった。

地下室の四方が塞がれた部屋に閉じ込められた俺に館内放送っぽいマイクで教授が楽しげに話しかける。


「超豪速球マシン3号~~♪時速160キロの球が同時に5発モノヒト君を襲うぞ~♪しかも四方の壁に反射して何度も何度も永遠にあらゆる角度から飛んでくるぞ~♪」


「無茶苦茶だ~~!!」


「当然、タイツに当たると感電するぞ~♪」


「無茶苦茶だ~~!!!」


「徐々に球数も増やすぞ~♪」


「無茶苦茶だ~~!!!!」


もはや無茶苦茶だ発声装置に成り果てた俺に、邪邪教授は容赦なくスタートの合図を贈った。


こうして俺の地獄の1週間は過ぎていったのだった。

最後に一言言わせてくれ。


「この特訓期間にも、ギャラ出るんですか?」


ノンギャラだった事は言うまでもない。

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