一般Peopleの事情
それにもう一つ良かったことがある。それは、呼び捨てで呼んで貰えたことだ。距離が縮まっている、ということだろう。俺が世間一般で言うリア充になる日も近い!!
「その魔法見たことないね。もしかして魔法作成で作ったの?」
「そうだな」
「え?本当に!?まだ方法が見つけ出されてないのに!!」
「マジか...」
力を授けられた後のチュートリアルは通常のチュートリアルとは一線を画した物だったらしい。普通の人はアクアボールみたいな魔法でやっていくしかないのか....
と思ったらそうでも無いらしい。
「うん。だから、今までは最初に覚えてた魔法で魔法使いの優劣が決まっていた部分があるんだよ」
「最初に覚えている魔法はボール系だけじゃないのか」
「違うよ。今みたいな弱い魔法だけじゃなくて、もっとド派手なのを覚えている人も居たね。まるで地獄を顕現させるような魔法もあった。規模はすごく小さいし、それ一発が限界だったみたいだけどね」
「なるほどな~~」
最初に発動できないレベルの魔法が来たら苦労するだろうな。魔力がそれを発動できるようになるまでは素手でポカポカ殴って経験値を稼がないといけないんだぜ?辛すぎだろ。
そこで俺は女神様が『上手な使い方』と言っているのを思い出した。使い方といえば魔力操作による威力増大も『上手な使い方』ではないだろうか。俺は念のためそれを言ってみる。
「詠唱中とか綴っている途中に、魔力を込める方法は知ってるか?」
「私は知らないけど他の人が知ってるかな??」
「そっか、見てるだけじゃわからないからな」
「攻略WikiにUPしてみたら?」
「そうだな」
攻略Wikiに匿名で書く分なら有名になるもクソもないし、流石に魔法使いになってみたら最初、魔法が使えないのは可哀想過ぎるだろ。そんなの魔法使いが不遇だし、同じ魔法使いとしてそんなのは見過ごせない。
脳内に「絶対に攻略WikiにこのことをUPする」とメモをして、俺は再び手をつないだ。イチャイチャタイム再開だぜ!!
「そういえば、他の人とパーティを組んだことあるのか?」
「無いよ。クエストを受けたことはあるけど」
「クエストを取りあえず受けて、レベルを上げてからパーティに入ろうかと思ったんだけどね。途中で人探しに切り替えた」
「探してたのは俺か」
「そう」
何だかだ色気を感じさせる顔でノースさんはそう言った。ノースさんのキャラが大人びた女性だからか、大人の魅力のような物を感じる。健全な男子高校生だから思うのぐらいは許してほしい。
また誰かに俺は許しを請う。俺は一体全体誰に弁解しているのだろう。まあ、いいか。俺はノースさんと歓談を始めた。