初めての共同作業
そして、俺は陽気になりながらノースさんの下へと戻る。さっきの緊張がうそのようだ。少しドキドキしているだけである。
きっと、役立たずという烙印を惚れたノースさんに押されるのが怖かったのだろう。そんなこと優しいノースさんが思うわけないのにね。
という二文を前倒しで加筆修正しました。
そしてノースさんの前に着いた。俺は少し笑顔になり、ピースをしながら言い放つ。
「ゴブリンを頑張って倒してレベル上げたら戦闘に参加出来るレベルになったぜ!!!」
「え!?お手洗いにいってたんじゃないの?」
「行ってる途中にゴブリンを見つけてさ。死に物狂いでやったらノーダメで殺せたんだよ。その奇襲作戦を繰り返してたらレベルアップしていって普通に倒せるようになった」
「大丈夫?ケガしてない?」
ノースさんは不安そうな顔をして聞いてくる。やっぱりノースさんは優しいな~~
「大丈夫。ノーダメで潜りぬけてきた」
「じゃあ一緒に戦えるね」
「ああ」
よしっ!これでノースさんと戦えるぜ!!何か捉えようによってはノースさんVS俺、みたいな感じだが、俺はノースさんと一緒に戦えることを喜んだのであって、好きな人を虐めるような趣味じゃないからな。
誰かに俺は弁解しつつ、自然にノースさんと手を繋いだ。ノースさんも拒むことなく顔を赤くして手を握り返してくる。自然と鼓動が増すのを感じつつ俺は思った。
ーーこれもうリア充じゃね。
いや、だって合意の上で手を握るやん。ノースさんにカッコイイって言われるやん。うん、間違いなくリア充だな。
しかも今、ノースさんに告白したら付き合ってくれるだろうしな。だが、待てよ。いつもこんな風に思って告白して、俺はノー、という返事を貰ってきたんだ。慢心は良くないな。
そんな感じで、浮かれながらイチャイチャしているとゴブリンに遭遇した。よくも、俺たちのイチャイチャタイムを邪魔したな!!完膚なきまでに叩きのめしてやる。
俺は名残惜しみながらノースさんの手を離すと、ノースさんに言った。
「ノースさんはゴブリンを撹乱して!!俺がその間に魔法で仕留めます!!」
「判った!」
正直、ゴブリンぐらいなら個人で戦った方が早いのだが、連携の練習として二人で協力して倒すことにした。
初めての共同作業だぜ。ふふふ。俺は上機嫌でアクアショットを弱くしようという意思を込めて念じる。
ノースさんは先ほどよりも速いスピードで相手を撹乱する。ゴブリンは全くついて行けてない。
レベルアップでもしたのかな?そんなことを考えていると綴る作業の最後の行程に入った。後はピリオドを打つだけである。
絶対にノースさんには当たらないようにっと。何故かは全く俺にも判らないが、俺は叫んだ。
「アクアショット!!」
水鉄砲は比喩にあらず、弾丸のようなスピードで進みゴブリンを貫いた。オーマイゴッド!!
アクアショットではあの方法が使えないのか??それとも俺がノースさんに良いところを見せたいという気持ちがそうさせたのか?
「セルア、凄いね!!」
ノースさんが褒めてくれたので良しとしよう。というか、良かった。