ラッキー
ということで、草原に俺たちは来た。いやーゴブリン討伐でラッキーだったわ。これならもし、戦闘することになっても、俺が異常なステータスなのは気づかれないだろう。ゴブリンをワンパンした所で、最弱の魔物だから『すごい!』とはなるが『おかしい』とはならないはずだ。きっと。
まあ、念のため俺は戦闘をしないがな!!
「あの、俺さ運にステータスが集中しちゃってさ。弱いんだよね。だから戦闘技術で補おうと思うんだ。お願いします!!」
俺が土下座をしようと思った瞬間、それを手で止めて、俺に言った。
「そんなことしなくても大丈夫よ。わ、私たち、友達でしょ?」
「あ、ありがとう。この恩は絶対に返すから」
泣きそうだった。優しすぎる。まだ会って一日も経っていないのに疑うこともせずに信じてくれた。もちろん感動もあるがそれよりも、罪悪感の方が大きい。いくら彼女の為といっても俺は嘘を付き、あまつさえ報酬の幾分かとゴブリンの経験値を貰うのだ。
とりあえず、報酬は辞退しよう。心が痛い。
「俺がゴブリンを倒せなかったら報酬はノースさんが全部貰ってよ」
「いいよ、餓死しちゃうよそんなことをしたら」
「妖精族って魔力をエネルギーに出来るらしいから大丈夫」
「で、でも」
「俺の報酬はノースさん(の戦闘)を見ることで十分だ」
「///」
「ちょ、ちょっと待ってこれは違うんだ!!」
俺は焦っていた。なにせ、言おうと思ったことを噛んでしまい、一部言えなかったからだ。これじゃ、ただの気持ち悪いやつじゃん。
なんて言うの?ギャル系のイケメンだったら許されると思うけど、俺みたいな普通の権化みたいな奴が言ったらただの気持ち悪いやつだよ。
これは明日、北山さん経由で女子に広まって陰口言われるパターンだ。
と、思ったのだが北山さんの様子がおかしいぞ?顔が赤い。え、イケメンが言ったときと同じ効果が発生している?いやいや、そんなことは無い。きっと激怒しているのだろう。ホっとする反面怖いと感じる。
かといって、攻撃してくることも口撃してくることも無かった。
そしてしばらくすると
膠着状態が終わった。ノースさんから手を出してきたのだ。握手でもするのだろうか、俺は手を握る。これで握手をしたらもう無かったことにしてくれるとか優しいな。
そんなことを思っていたのだが、ノースさんは手を握ったまま俺をゴブリンの元へと連れてった。これはマジでイケメンと同じ効果を発揮しているやつやん。もう何がなんだかわかんねぇ。
俺はノースさんの鼓動と柔らかな手の感触にドキドキしながら連れられる。ドキドキし過ぎて頭真っ白だよ。こちとら女性経験なんて皆無なんだからな。そんなことを考えている内に俺とノースさんはゴブリンの前に着いた。