冒険者ギルドにて
掲示板回の目撃者名無しの発言を「そっくり」から「似ている」に変更しました。
そう、俺には苗字が無いが、き、ノースさんには苗字がある。それに、反応から推測するに普通の人は苗字も設定するのだろう。普通の人との差異を考えると妖精族には苗字がない、と考えるのが妥当だ。
「苗字はないな~き、じゃなくてノースさん。普通の人は苗字があるんだよな?」
「普通の人は苗字がありますね。ちょっとヘルプを見てみます」
そう言うとノースさんはメニューを弄りだした。俺も、探すか。というか、妖精族はレア種族だからヘルプに載っていない可能性が高いな。俺自身が妖精族だからせめて俺のヘルプには載っていると信じたい。
そして、探すとしっかりあった。種族の欄に妖精族という欄がある。まだ、見たこと無いからだろうか獣人族の欄の下に未開放という欄があった。初めから無いわけではないから見るか、何らかの条件で見れるようになるよね?きっと。
まあそれは置いておいて、この妖精族の生態というのを見るか。
『妖精族の生態
妖精族は決まった住処を持たず、子が親から教育を受けたり、血族と一緒に行動する習慣もない。妖精族は生まれる時には体は既に成人である。
その代わり、生まれて間もない頃は精神は非常に幼く、それによるイタズラで、被害も多数出ている。妖精族には王が居ると噂されている。
食料は要らず、魔力をエネルギーに変換していると考えられている』
これだけか....苗字が無い理由は直接的にはわかりそうにないな。ならば考えよう!と思った矢先に北山さんが教えてくれた。
「住処や血族と一緒に行動する習慣が無いから、苗字を持つという文化を持たないっぽいね」
「なるほどな。だから妖精族である俺も苗字を持たないわけか」
「妖精族なのに持ってたら変だしね」
そうだよな。それなら納得だわ。それとここ、冒険者ギルドでは魔獣退治の依頼や素材の買取を受け付けているらしい。どうりで俺がワイバーンを倒してもお金が出てこなかったわけだ。正直に言うと面倒くさいシステムだな、と思う。
いくらアイテムボックスを持っているとはいえ俺たちが持てる重さには限りがあるし、一々ここに持ってくるのは面倒くさい。しかも、モンスターを倒せば素材がドロップするわけではないのだ。ここに持ち込んで解体して貰わないといけないのである。
リアルさを追求した結果だろか、だとしたらこう言おう。ゲームなんだから楽に出来る部分は楽にしようぜ、と。俺がそのままのステータスで存在出来ていることもそうだ。ゲームを楽しませるために俺を弱体化させて欲しい。変にリアルを追求する運営のことだからしないと思うがな!!!
もう、ここまでくると異世界に来させられているのではないかと思うぐらいだ。そんなことを考えていると北山さんじゃないわ、ノースさんだわ、が言った。
「クエストを受けない?」
「そうだな」
遂に、このときが来てしまったか.....