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模擬戦


 転校してから2週間、昼食はずっと瑠璃と食べていた。瑠璃はお弁当で俺はコンビニの惣菜パンだ。


「イックン、一人暮らしなんでしょ?お弁当作ってあげようか?」


「マジで? パンって飽きるんだよね。」


「そうでしょ?私って料理得意だから任せてよ。」


 料理できる女性っていいよね。なんていうか母性があふれ出る感じがする。そんな会話をしながらあっという間に放課後だ。俺は部活に参加だ。



「これでっ!!」


 俺はライフルで現れる敵兵を正確に打ち抜いていた。敵兵がジープで現れるがライフルを集中射撃してエンジンを爆発させた。乗っていた敵兵は空高く飛び地面に叩きつけられると点数を残して消えていった。


「よし!!って!!」


 ジープの爆発に木を取られ過ぎていて動きを止めてしまい敵兵から集中砲火を受けてしまい、あっという間にゲームオーバーになってしまった。


「あー、ミスった。まぁ、いいや。点数は・・!!5万突破か!!」


 風子のベストスコアを超えた!


「私は長距離専門のスナイパーなんだ。私の点数ぐらい超えられないと普通にダメだろ?」


 風子は悔しそうに唇を尖らせながら言った。まるで本当の子供みたいだ。


「そういえば、ゴールデンウィークには他の部隊と模擬戦を行うからな。」


「模擬戦?」


「ああ、私もよくわからんが詳しいことはおっさんに聞いてくれな。」


「おっさんて、顧問のこと?」


「ああ、30歳超えてればおっさんだろ?」


 風子は今、全世界の30歳以上の男性を敵に回した。


「ノーコメントで。それで模擬戦ってどこでやるの?」


「ん?もちろんココだな。ココでBB弾と竹刀でやるんだな。まぁ、向こうの人たちは観光も兼ねて何日か宿泊するみたいだけど。」


 模擬戦か・・・。他の部隊はどんな人がいるんだろう?


「まぁ、ゴールデンウィークまであと1週間あるんだ。訓練をしっかりすれば大丈夫さ。」


「うん、そうだね。まだまだ、訓練しないと。」


 もっとハイスコアを出すようにしないとな。


「訓練もいいけど、今日はオシマイな。もう7時だぞ。」


 訓練に夢中で気がつかなかった。俺は訓練を終えいつも通りスーパーで弁当とお惣菜を買うと家に帰った。


 翌日の昼食はいつもよりも豪華だった。瑠璃お手製のお弁当は見事に美味しく、あっという間に食い尽くしてしまった。


「どう?美味しかった?」


「ああ、これが答えだ。」


 見事ご飯粒一つ残さず綺麗になった弁当箱を瑠璃に見せると花が咲いたように笑顔になった。


「うん。ありがとう、でも、言葉で答えを聞きたいな。」


「ああ、美味しかったよ。また作ってよ。」


「ふふ、いいわよ。明日も作ってあげる。」


 美味しいご飯ゲットだぜ!!瑠璃も笑顔で答えてくれたし、明日も楽しみだ!


 なんだかんだでゴールデンウィークになった。まぁ、その間にも1度出動している。メンバーは風子に、遠山さんと同じメンバー。あっという間に現地について、あっという間に戦闘が終わってあっという間に帰ってきた。俺達は強いのかもしれない。


 部室の一つである作戦室には他の部隊のメンバー4人が来ていた。


「本日は私達との模擬戦に協力して貰ってとても感謝しています。」


 向こうのメンバーの引率か顧問かわからないが、年配の男性が頭を下げていった。残りの3人は皆高校性のようだ。


「いえいえ、私達にも多くのことが得られると思います。今回はお互いの実力を出し切ってがんばりましょう。」


 顧問であるおじさん(四之宮さん)が答えた。あ、以前、おじさんのことを『顧問』と呼んだらすっごい嫌な顔されたんだよな。なんでだろ?


「それでは私達のメンバーから紹介しましょう。私が木下といいます。今回の引率です。隣からガンナーの小倉君に侍の水瀬君にメイジの加藤さんだ。」


 ガンナーの小倉君は丸顔の肥満気味の地味な男子で、侍の水瀬君は背が高くイケメンでメイジの加藤さんはポニーテールの可愛い女の子だ。


 立ち位置としたら、年配の男性から一歩開けて小倉君、そこから一歩空けて水瀬君、その直ぐ隣に加藤さんだ。って、手が触れ合う距離に2人はいるんだよね。もう、水瀬君と加藤さんは付き合ってるのか?


「それじゃ、こちらも紹介しよう。私は顧問の四之宮です。模擬戦に参加するのはこちらも3人で隣いるのが剣士の三島で銃士の岡田君だ。模擬繊維は私も出るつもりなんでよろしくお願いします。」


 おじさんが頭をさげたので俺達も同じように頭を下げた。


「それじゃ、早速ですが、一戦しますか。その後に反省点をお互いに考えてから、昼食。午後には何戦かして見ましょう。」


「わかりました。場所はどちらですか?」


「こっちです。」


 おじさんと引率の木下さんが話を進め模擬戦の場所へ移動したので俺達6人も着いていった。


 VRの戦場ではあらかじめ敵兵がでないように調整してあるようでお互いが分かれて立つとそれぞれが変身した。


 俺はオートマンに。先輩は女性がたロボットに、おじさんは西洋の鎧を着た金髪イケメンに。


 相手の3人も変身した。小倉君はヘルメットを被り赤いマフラーを靡かせた全身白のヒーローっぽい姿に、水瀬君は青い陣羽織を着た長刀を背負った侍に、加藤さんは可愛らしいステッキを持った魔法少女っぽい姿に。


「はい、それではそれぞれ武器を持ち替えてください。メイジの2人は攻撃魔法を使わずに補助魔法のみでお願いします。」


 木下さんがそれぞれに竹刀とBB弾のライフルを渡し、魔法を使う加藤さんとおじさんは補助魔法のみか。先輩もおじさんも変身して戦う姿は今日初めて見るんだよね。


「それでは開始!」


 その言葉で模擬戦が始まった。


「せい!」


 水瀬君が一瞬で俺に間合いを詰め手に持った竹刀で俺を攻撃してきたが、俺は手に持った銃で竹刀を防いだ。


「甘い!」


 その瞬間、俺は水瀬君の蹴りを受け後方に派手に吹き飛んだ。が、全然痛くない。


 俺は素早く立ち上がると水瀬君に向かってBB弾を発射した。水瀬君は弾道が読めているのか全ての弾を竹刀で弾いた。


「・・・!弾切れ?!」


 BB弾がマガジンから無くなり引き金を引いても弾がでなくなった。急いでマガジンを交換しようとしたが、目の前には水瀬君が迫ってきている。そして振りかぶる水瀬君。


「やられる!!」


・・・いつまで経っても竹刀が飛んでこないと思ったら水瀬君は加藤さんの援護に回っていた。


 加藤さんはおじさんの竹刀を避け、時には竹刀で防いでいたが遂に竹刀が弾かれおじさんの攻撃を食らうという寸前で水瀬君に助けられていた。


 俺はマガジンを交換すると先輩の援護をすべく小倉君へ攻撃を開始した。


「・・・嘘だろ!」


 小倉君は先輩の攻撃を回避しながら、さらに俺のBB弾もスウェーやバク転、側転を駆使して全ての攻撃を回避した。


 俺と先輩から少しだけ距離を取った小倉君は水瀬君と加藤さんを一瞬だけ見て、こちらを見た、と、思ったらまた再び水瀬君たちを見た。いわゆる2度見ってやつだ。その瞬間、小倉君の真っ白の全身が一瞬で赤く変わった。


「フォォォオオオオオオ!!一人戦隊サビシンジャー参上!!人の恋路を邪魔するのが我が使命!いざ参らん!!」


 戦隊物のような決めポーズを決めた小倉君の背後が派手に爆発するとは水瀬君たちに向かってBB弾を乱射しながら今まで以上の速度で駆け寄った。


 水瀬君はおじさんの竹刀を弾くと小倉君のBB弾を竹刀で弾いた。そして近づいてくる小倉君に向かって突進していった。


「このバカモンが!!」


 木下さんの言葉でお互いの頭上にそれぞれ黒と白の大きな石が落下し2人とも倒れた。もう、何がなんだか・・・


「えっと・・・、ごめんなさい」


 居たたまれなくなった加藤さんが何故か謝った。


 その後、俺達は先にリビングへと上がると今の模擬戦の反省点を考えた。俺は初心者なのでおじさんにアドバイスを求めた。


「正直言って、あんな短い模擬戦じゃよくわからん。が、小倉君の・・・いや、サビシンジャーの回避能力の高さには度肝をぬかれたな」


「ええ、確かに私の剣速は早いとは言えませんが、それでもBB弾を回避出来るのが恐ろしいですね。」


 確かに先輩の言うとおりだ。さらに先輩は続けた。


「あの色が変わった後の速さは凄かったですね。最初からあれだったら防戦一方でしたね。」


 確かに最初からサビシンジャーが全力だったらこっち側がずっと防戦一方で他の2人にまで気を回すことは出来なかっただろう。まぁ、何故か同士討ちを始めたからグダグダになってしまったけど。


「それじゃあ、彼らが戻ってくるまで休憩だ。」


 おじさんの言葉で先輩はテレビを付けニュース番組を見始めたので他にやることがない俺もニュースを見るしかなかった。



某ネトゲでサビシンジャーという名前でプレイしているのが私です

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