初戦闘
初めての待機を終えた俺は小腹が空いた為帰り道のコンビニに寄ってみた。するとそこには部活の先輩の三島さんが立ち読みをしていた。
「あら、岡田君。奇遇ね。」
「あ、はい。」
「今日は当番だったね。お疲れ様。」
「いえ、何も無かったですから」
「まぁ、学園長のオモリも大変でしょ?もう、本当に子供みたいに我侭ばかりじゃなかった?」
「いえ、全然普通でしたよ。あ、そういば先輩の姿って」
「まって、それはここでは言えないわ。後でメールするからアドレス教えて?」
「いいですよ。これです」
アドレスを表示して先輩に見せるとあっという間に携帯に打ち込んだ。そして5秒もしないうちに先輩からメールが届いた。
「じゃあ、後でメールするね。」
そういって先輩はコンビニから出て行った。・・・何も買わずに帰るなんて俺には出来ない。俺はお菓子を幾つか買うと家に帰った。
家に帰ると先輩からメールが届いた。先輩は宇宙を舞台にしたPvPの陣地取りゲームのキャラクターで大剣使いだとわかった。メールの内容はそれ以外書かれてなく、俺は『わかりました。ありがとうございます』とだけ返信しておいた。
そして翌週の当番の日になった。
今日も風子と遠山さんと俺の3人がリビングに待機していた。時間はもう直ぐ21時になろうかとしていた。
「あー暇だなぁ」
風子はだらしなくソファに寝そべりながらテレビを見ていた。俺と遠山さんもテレビを見ていて、多少姿勢は崩していたが、風子は自宅にいるような感じでリラックスしていた。そんな風子の携帯にメールが届いた。
「ふむふむ・・・。よし、出動だ!!」
急に立ち上がる風子と遠山さん。俺は少し遅れて立ち上がった。
「でも、どうやって?」
「ふっふー。いつの時代にもアッシー君がいるものさ。さぁ、呼ぶんだ!」
風子はビシッと遠山さんを指差し、その意味を理解している遠山さんは誰かに電話をかけた。
「もしもし、はい・・・こちらを優先してくささい。・・・直ぐ来てください。」
後半になるにつれ厳しい口調になった遠山さんだけど、気にしない。きっと何か意味があるに違いない。
「もうすぐ到着します。外に出ていましょう。」
遠山さんの言葉にしたがって外に出ると急に眩しくなった。そして喧しい騒音。この音はヘリか!屋上の上空に飛んでいたヘリは屋上に着地して俺達は乗り込んだ。
「・・・・!!!・・・・!!!」
風子が何か言っているがうるさくて聞こえない。風子はパイロットの肩を叩き上を指差して何かを叫んだ。するとヘリのエンジン音やモーター音が一斉に消え静かになった。
「ふう、やっと静かになった。んじゃ説明するな。パイロットの長島君だ。6私が寝坊したときに便利な存在だ。」
「寝坊って。学園長が寝坊している時間なら僕は登校してますよ?」
「にゃはは、冗談だよ。んで、このヘリが長島君の能力で作り出された物でゲームの仕様どおりに超加速にステルス&消音、と現実にはありえない乗り物なんだよ。」
「はい、学園長。このヘリは一見すると通常のCH-47チヌークに見えますが、戦闘機以上の速度が出せます。まぁ、中に居ればゲームみたいに揺れることもスピードを感じることも無いんで安心してください。」
「まぁ、ヤマトは到着してから働いてもらうから、そのつもりで。んじゃ、場所はココな」
風子は慣れた様子で空いているパイロット席の隣に座るとパイロット席との中央にあるナビに手早く目的地を打ち込んだ。
「わかりました。急ぎます。」
俺はただ頷いて到着を待っ「着きました」
「はやっ!」
つい声に出てしまった。窓を覗くとどこかの繁華街のようだ。ただ、まだ10階建てのビルよりも高い場所にホバリングしてるけど。
「降ります」
そういうと遠山さんはドアを開けると妖艶なサキュバスに変身して迷いも無く飛び降りた。
「ヤマトも行けー」
俺は風子に後ろから蹴り落とされた。
「お、おおおおおぉぉぉぉ!!」
咄嗟に変身してオートマンになって地面に激突したが痛みは全くなかった。着地したのはビルとビルの間の道で遠くから叫び声や助けを求める声が聞こえた。
落ちたヘリを見上げると、風子がロープを使って降りてくるところだった。
「おし、武器は装備したか?ランチャーはダメだぞ。」
「大丈夫。Sライフルだよ。」
「あと、これを頭に着けておいてくれ。」
「これは?無線機?」
「ああ、上からの指示なんだ従ってくれ。」
渡されたのは小型カメラが着いたインカムだった。俺は無言で装着すると風子が頷いた。
「んじゃ、逃げ遅れた民間人の救出と安全が第一。んで、敵はぶっ殺す。おっけー?」
「了解!」
俺と風子はそれぞれ別方向に駆け出した。
人の声がする方向へ行くとそこには遠山さんが戦っていた。格ゲーキャラらしく、肉弾戦と腕から赤いエネルギー弾を放ちほぼ一撃でゴブリンどころかオークまで瞬殺していた。
「すげぇ・・・」
オークを蹴り上げると体を一回転した裏拳でオークは数メートル飛ばされた。人生で初めてリアル空中コンボ見た。
「見てないで手伝って!敵が集まってくるわよ!」
「あ!はい!」
俺はSライフルで1体ずつロックして確実に倒していった。到着から10分ほどで周囲の敵は一掃できた。すると風子が歩いてきた。
「こっちも終わったな。あとは・・・」
風子の言葉を遮るように彼女の携帯にメールが届いた。
「ふむふむ。今日は終わりのようだ。帰ろう」
風子が上空を見上げるといつの間にか長島君のヘリが上空で待機していた。
「んじゃ、ヨロシク。」
風子は遠山さんの背中にジャンプで飛び乗ると直ぐに遠山さんも飛び上がり、ヘリの開いているドアに飛び込んだ。俺も彼女の後に続いた。
「よし。出発な。」
「あのちょっといい?」
俺は気になっていた事を聞いてみた。
「さっき言ってた『上』とか、メールとか、どうなってるんですか?それに他の地域にも同じような組織があるってきいたけど、どれだけ大規模な組織なんですか?」
「んー、簡単に言うとNGOいわゆる非政府組織の一つである『第十二委員会』が各国にオブサーバー(監視委員)と言われる能力者を派遣して実行部隊のメンバーを特定したり、警察や軍がどこに何人いるか常に監視してあいつらが発生したら警察に通報と同時に私達が出るか決める人がいるんだ。私は見たことが無いけどな。」
なるほど。組織は世界的なんだな。あと、風子はなぜ(無い)胸を張って答えるんだ?
「んで、指揮権を私かおじさんにこうやってメール来るんだ。ほら。」
風子が携帯を見せてくれるが・・・、これ何語?
ພາລະກິດສໍາເລັດການ
ກະລຸນາໄປ
「これはラオ語な。タイ王国とベトナム共和国の間にある国な」
「・・・風子は読めるんだ?」
「東南アジアの国の言葉なら大体わかるぞ。昔、勉強したから・・・いや、風子は幼女だから良くわかんないー」
とぼける風子に俺と遠山さんはタメ息をつく事しか出来なかった。