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05 ずれる
同じ時間。
同じ音。
同じ通路。
同じ光。
控室に入ると、赤がいなかった。
「遅いね」
黄が言う。
「すぐ来るでしょ」
と青が返す。
ミナは時計を見る。時間は合っている。
“遅れている”という言葉が、少しだけ残る。
モニター。
>赤いない?
>今日休み?
>代わり入る?
>別に誰でもいいけど
扉が開き、赤が入ってくる。
いつも通り。
でも、何かが違う気がする。
顔は同じ、動きも同じ。
なのに、距離だけが少し遠い。
ステージに出る。
位置につく。
右に赤。左に青。
一瞬、ズレる。
次で戻る。
>今のズレ何?
>気のせいじゃね
>分かんない
>どうでもいい
違和感は、完全には消えない。
でも、誰も言わない。
だから、そのまま続く。




