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18 責任
ステージで紫が踏み外す。
一拍、遅れる。
赤が押し戻す。
無理やり、全体を形にする。
ズレは消えない。
それでも、成立している。
モニターは言う。
>今の良かった
>崩し方うまい
>進化してる
>安定してる
ミナは、それを見ている。
誰も、問題にしない。
踏み外したことも、
押し戻したことも、
なかったことみたいに流れていく。
ミナは初めて思う。
もし、これで誰かが壊れたら、
誰が責任を取るのか。
紫か。
中の人か。
違う。
どちらでもない。
“所属”だ。
個人ではなく、この構造が責任を持つ。
けれどそれは、誰かを守るためのものではない。
責任は、引き受けられるのではなく、
そこに集められて、消される。
誰が壊れたかは、問題にならない。
何が続いているかだけが残る。
だから個人は消せる。




