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10 偽物
紫の異常は、もう誰が見ても分かるレベルになる。
遅れ。
角度のズレ。
位置の誤差。
それはもう、気のせいではない。
けれど、誰も止めない。
>今の見た?
>ちょっと違うよな
>いや同じでしょ
>どっちでもいい
紫は同じ動きをしているようで、別の動きをしている。
似ているだけ。
同じ形をしているだけ。
一拍遅れて、音に無理やり合わせ直す。
赤はそれを全体ごと形に押し込む。
崩れたものを、“成立していること”に変える。
ミナははっきり思う。
これは演出じゃない。
でも、言わない。




