第7章:新たな光と約束の場所
春の終わり、街は桜の花びらで淡く染まり始めていた。悠真と美羽の家には、暖かな陽射しが差し込み、子どもたちの笑い声が絶えなかった。だが、二人の人生には、新たな大きな決断が迫っていた。
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美羽が復帰してから一年。彼女は徐々に芸能活動の幅を広げ、母親としての経験が彼女の演技に深みをもたらしていた。そんな彼女に、事務所からは大きなチャンスが舞い込む。それは、かつてのトップアイドル時代の栄光を取り戻すような、全国ネットの連続ドラマの主演オファーだった。
「これは、私にとって大きな挑戦だよね…でも、家族のことがあるから不安もある」
悠真は彼女の不安を優しく受け止める。
「無理はしないでほしい。でも、君が輝く姿をまた見たい。俺はいつでも君の味方だ」
二人は覚悟を決めて、新しいチャレンジに向かうことを選んだ。
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撮影は厳しいスケジュールの中で行われた。育児と仕事の両立は想像以上の大変さで、美羽は時に涙を流しながらも、諦めることなく前に進んだ。悠真も全力で彼女を支え、家の中での役割分担を徹底した。
ある夜、疲れ果てた美羽がソファに倒れ込むと、悠真は静かに彼女の髪を撫でながら言った。
「頑張っている君が誇りだよ。休みたい時は休んでいい」
美羽はその言葉に涙をこぼしながらも、小さく頷いた。
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ドラマは放送開始とともに大反響を呼び、美羽は再びトップスターの座を手にした。ファンからの応援の声も熱く、彼女は家族の支えがあったからこそこの成功があると強く感じた。
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そんなある日、悠真が仕事から帰ると、美羽は子どもたちと一緒にリビングで待っていた。彼女の手には小さな箱が握られている。
「これ、見てほしいの」
箱の中には、シンプルだが美しいペアリングが入っていた。
「ずっとそばにいる約束を、形にしたかったの」
悠真は驚きと感動で言葉を失い、やがてゆっくりと微笑んだ。
「ありがとう。僕もずっと君と家族を守るって誓うよ」
二人はそっと指輪を交換し、家族の絆を再び確かめ合った。
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その後、二人は親しい友人や親族を招き、公の場で結婚式を挙げることを決める。過去の華やかなアイドル生活と今の家族としての絆が融合した、温かく心に残る式となった。
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結婚式の翌日、二人は新しい家族の写真を見返しながら、未来への期待を語り合った。
「これからも、ずっと一緒だね」
「もちろん。どんな時も、君となら乗り越えられる」
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春の光が優しく包むその日から、悠真と美羽の物語は新たな章へと進み始めた。家族の愛と夢を胸に、彼らはこれからも共に歩み続ける。