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第1話 プロローグ

”夢を叶えたい。”


”億万長者になって、欲しいもの全てを金で買いたい。”

”サッカー選手になって、ワールドカップに出たい。”

”有名配信者になって、チヤホヤされたい。”




ーーそんなことを言うのが許されるのは、才能のあるやつだけだ。


俺には才能がなかった。この異世界に転移する前から、だ。


なんで俺に才能がないんだ?ふざけんなよ!

異世界転移したなら、チート能力でも貰えるのが定番ってもんだろ?


俺はこの異世界に転移したとき、特性を授かったーーしかし、それは外れ特性 【安定感】 だった。聞いたこともない特性だが、正直、本当に弱い。


この特性によって、俺のステータスは均等になる。つまり、器用貧乏ってやつだ。攻撃は<必中>になるが、そもそも威力がゴミ。


これが俺のステータスだ。


【名前】ケン・デュモン

【レベル】20

【HP】50/50

【MP】50/50

【攻撃】20

【防御】20

【魔力】20

【敏捷】20

【器用】20

【運】20

【特性】安定感

【特殊能力】自身の攻撃が<必中>になる


……ウソだろ?俺は「主人公」じゃないってのかよ?



俺は異世界に転移する前も才能がなく、何をやっても上手く行かなかったので、いつしか、夢を見ることを諦めていた。そして、大人になってからは安定感のある仕事につき、可もなく不可もない生活を送っていた。

異世界に転移し、今度こそ才能を授れば夢を見られるかもな、と期待していた。


しかし、異世界でも才能はなかったのだ。SSS級ダンジョンなんて、到底目指せない。仕方なく、同じ低難度ダンジョンを周回する安定した日々を選んだ。


俺は前の世界でも、こういう人生を選んでいたじゃないか。

これでいい、これでいいんだ……。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 


俺が異世界に転移する前の昔話だ。




中学生の頃は、プロ野球選手になりたくてシニアに入って野球漬けの毎日。でも、中学最後の大会でコールド負けしそうになった試合で、情けをかけて出番をもらった代打で見事に三球三振して終わり。情けないだろ?


高校生の頃は、「運動がダメなら次は勉強だ」と考え、T大に入ることを目指し勉強漬けの毎日。でも、一生E判定だったので受けることすら諦めることにし、結局、滑り止めとして受けた大学に合格した。危うく滑り止まらないところだったけどな。


大学生の頃は、「運動も勉強もダメなら次は人気商売だ」と考え、配信者になって配信漬けの毎日ーーとはならなかった!

もう失敗は御免だ。俺は中学高校の青春を全て捧げて全て失敗し、そのうえ、彼女はおろか、友達すらもろくにできなかったんだぜ?

「結局うまくいかないんだったら、人並みの人生を送っておけば良かった」と思った。なので、大学生活をほどほどに楽しみ、安定のある公務員の道を選ぶことにした。


無事に大学を卒業し公務員になれた俺は、衣食住には困らない程度の収入があり、彼女はいたりいなかったりと、そこそこの人生を歩んだ。



このように大学入学からは安定した人生を歩みはじめて10年が経過し28歳になったころ、才能どころか運もなかった俺は、信号待ちをしていたところ飲酒運転のトラックに跳ねられ、命を落とした。



その後、なぜか俺は異世界に転移したのだった。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

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