表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイキング・クリスタル ─光と闇の呪宝戦記─  作者: ジュン・ガリアーノ
cys:6 最終決戦! 教皇の間で激突する光と闇
53/71

ep:53 伝説の魔力『ホーリィ・アーク』

「むうっ! あれは、幾度となく敵を破ってきた流星剣!!」


 クルフォスが目を見開く中、ノーティスから放たれた必殺技がアルカナートに飛び向かう。

 だが、アルカナートも瞬時に同じ技を繰り出した。


「『バーン・メテオロンフォース』……!」


 冷酷な眼差しで見据えまま放たれた、アルカナートの必殺技。

 それが、ノーティスの光の斬撃と激しく激突し合う。


「オオオオオオオオッ! 師匠、目を醒ましてくださいっ!」


 ノーティスは歯を食いしばりながら必死で技を押している。

 だが、まるで歯が立たない。

 子供が大人に腕相撲で負けるかの如く、一気に競り負けてしまった。

 アルカナート放った輝く斬撃が、ノーティスを大きく吹き飛ばす。


「ぐわああああっ!」


 ノーティスはそのまま壁に背中をドシャッ! と、強くぶつけると(ひざまず)き、苦しそうにアルカナートを見据えた。


「ハアッ……! ハアッ……! し、師匠……! やはり強い。強すぎる……!」


 苦しく顔をしかめ息を切らす中、ノーティスはヒシヒシと感じている。

 同じ技では決して勝てない事をだ。

 技のキレは同じぐらいでも、魔力、体力、筋力に差があり過ぎる。


───でも諦めるな! 師匠の目を醒ます事が出来るのは俺だけなんだ……!


 全身ボロボロでも、ノーティスの瞳は強く煌めいている。

 その輝きは決して負けていない。

 だが、その光景を見たクルフォスは勝ち誇ったように胸を張った。


「ハーッハッハッ! 流石はスマート・ミレニアム史上最強の勇者イデア・アルカナート! いかにエデン・ノーティスが強かろうと敵ではない!」


 その邪悪な(わら)い声が響く中、みんなもノーティスを心から心配している。

 だが、誰もその場から離れられない。

 それぞれ対峙している相手と状況が、とてつもなくヤバいからだ。

 もちろん、クルフォスはそれを分かっていて、ロウ達を嘲るように見下ろしている。


「クックックッ……だが奴を心配する必要は無い。どの道ここで全員死ぬのだからな……!」


 クルフォスは邪悪な笑みを浮かべたまま、両手の平をサッと上に掲げた。

 両手の平の上に、とてつもなく巨大で邪悪な闇のエネルギーが球体状に広がってゆく。

 まるで、全てを闇で覆い尽くすようなエネルギーだ。


「くっ、なんてプレッシャーだ……!」

「くそうっ! このままじゃ……!」


 ロウとメティアは、悔しさに顔をしかめて見上げている。

 自分達を覆い尽くそうとしてくる絶望を。 

 だが、どうしようも出来ない。

 こちらの力は通じず、メティアは傷ついたアンリを抱きかかえたままだ。

 クルフォスはそれを見下ろしたままニヤリと嗤う。


「真実を知り、余に逆らった……その愚かさを悔いながら消え去るがいい!」


 闇に染まった瞳をギラリと光らせ、クルフォスは両腕を振り下ろした。


「さらばだ! 哀れな光の者どもよ!! 『ダークネス・メテオーーーーーーーーーーーーーー』!!!」


 まるで巨大な黒い隕石のようなエネルギー弾がゴゴゴゴゴッ……! と、迫り、ロウ達を黒い影で覆ってゆく。


「くそっ! ここまでなのかっ……!」


 ロウが悔しさを噛みしめながら見上げる中、メティアの腕の中でアンリが薄っすら目を開け見つめてきた。


「メティアよ、すまなかったの……私らがついておりながら、お主まで巻き込んでしまったニャ……」

「アンリっ!! そんな事ないよっ!! ボクは、ボクは……アンリ達と一緒にいれて幸せだったよ……!!」


 涙を(ほとばし)らせるメティア見つめるアンリの瞳から、涙がツーっと横に流れてゆく。


「ニャハ……メティア、お主は本当に優しい奴よの。出来る事なら、この先も生かしてやりたい。せっかくノーティスが連れてきてくれたのにニャ……」

「ううううっ……! アンリっ……! ボクは……!」


 メティアの心に一瞬浮かんだ。

 ノーティスと奇跡の再会を果たした日の事が……!

 だがその瞬間、クルフォスのダークネス・メテオがズガアアアアアン!!! と、直撃し、メティア達は大きな闇に包まれた。

 それを見たノーティス達の心に、激しい怒りと悲しみが一気に湧き出てくる。


───くっそおおおおおおっっっっ!! ロウ、アンリ、メティアっ……!!!


 ノーティスはアルカナートと戦いながら、心の中で全身が沸騰してしまうような叫びを上げている。

 悔しくて悲しくて、どうしようもない怒りが込み上げてくるからだ。

 また、レイとジークも同じ。

 クリザリッドと戦いながらも、怒りで頭がおかしくなりうだ。


───なんで、なんでなのよっ……!! こんなの絶対に認められないわ!!

───くそったれがっ!! なんで俺じゃなく、あんないい奴らが死ななきゃなんねぇんだ!!


 そんな皆を嘲笑うかの如く、ダークネス・メテオはメティア達を完全に押し潰すかのように、激しい闇のエネルギーを放ちながらその場に留まり、バチバチと(たぎ)っている。

 クルフォスはその光景を見ながら、心でほくそ笑んでいた。


───これでいい。奴らの絆が深ければ深い分だけ、その悲しみでノーティス達の戦力は削がれる。


 用心深いクルフォスは警戒していたのだ。

 ノーティス達の持つ光の絆を。

 また、それを合わせる事により生まれるとてつもない力を。


「だが、これで完全に奴らは終わりだ。クククッ……ハハハッ……ハーッハッハッハッ!!」


 完全勝利を確信したクルフォスの邪悪な嗤い声が、教皇の間に響き渡っている。

 だが、クルフォスはその嗤い声をスッと収めた。

 妙な違和感を感じたからだ。


───おかしい……なぜだ? 余の放ったダークネス・メテオが未だ(たぎ)ったままだ。


 この技は、その絶大な闇のエネルギーで相手を完全に闇へと消し去る技。

 逆に言えば、相手を消し去りさえすればこの技はエネルギーを放出する必要が無くなり消えるのだ。


───と、いう事は……まさかっ!


 その答えに辿り着いた時、クルフォスはハッと目を大きく見開き身を乗り出した。

 闇のエネルギーが消えていったからだ。

 だが、それはメティア達を葬ったからではない。

 消えてゆく闇のエネルギーの中から、ハッキリと見えているのだ。

 黄色い光にプラチナのオーラが混じった、神々しい魔力のオーラが入り混じってゆく。


「くっ!! お、おのれメティア……!!」


 クルフォスは、驚愕と恐れが入り混じった顔を浮かべた。

 それをメティアは、凛とした瞳に怒りを宿して見据えている。

 黄色とプラチナの入り混じったオーラで作られた、ドーム状の防御壁の中からだ。

 逆に、その光景を見たノーティス達の心には歓喜が沸き上がる。

 ただ、同時に思う。

 メティアから放たれている、あまりに凄まじいあの魔力は一体何なのかを。

 それを唯一ハッキリ分かっているクルフォスは、額からツーっと冷や汗を流し目を見開いている。


「くっ、あ、ありえぬ! その力は……伝説の魔力『ホーリィ・アーク』ではないか!!」


 クルフォスにとって、これは何よりも大きな脅威の一つだった。

 メティアが覚醒させたこの力こそ、ノーティスの白輝(びゃっき)の輝きと同様、闇に対抗出来る伝説の力だから。

 あまりの事に信じたくなかったが、クルフォスは認めるしかなかった。

 白黄色の防御壁の中で、アンリがニコニコ笑みを浮かべてメティアと話しているからに他ならない。

 さっきまで、瀕死状態だったにも関わらずだ。


「ニャニャッ♪ メティアよ、お主その力は……!」

「分からない。けど、急に沸いてきたんだ。必死で守らなきゃって思ってたら……!」


 そう(こぼ)したメティアを、ロウが誇らしい笑みを浮かべて見つめてきた。


「メティア、その力は間違いないく伝説の魔力『ホーリィ・アーク』だよ」

「えっ、ホーリィ・アーク?! それって、あの神話に出てくる……」

「そうさ。もちろん、滅多に覚醒するものじゃない。僕が知る限りは唯一……」


 ロウがそこまで話した時、クルフォスは再びダークネス・メテオを作り出した。


「認めぬっ! よりによってメティア! アルカナートの直接の弟子でもないキサマがホーリィ・アークに覚醒めるなど、そんな事はあり得んのだ! 身のほどを知るがいいっ!!」


 クルフォスは元々、メティアを認めていなかったのだ。

 確かにノーティスが見出しロウ達の審査を経て王宮魔導士になったものの、メティアは純粋過ぎるからだ。

 まるで欲が無く、メティアはいつも人の事を思い分け隔てなく愛を注ぐ。

 それを見る度、クルフォスは思い知らされていたのだ。

 野心にまみれた自分の醜さを。

 また、同時に思い出してしまう。

 悪魔と手を結ぶ前の誠実だった頃の自分自身をだ。


「メティア! お前のような者に伝説の力が宿ってたまるかっ! 力とは……悪魔に魂を売ってこそ得られるのだ!!」


 ダークネス・メテオを(たぎ)らすクルフォスを、メティアは哀しく見上げた。


「違うよクルフォス。誰かを救いたい、幸せにしたい。その気持ちが自然と力を生むんだよ……!」

「黙れっ! 余はそんな事は認めんっ!」

「クルフォス……本当は貴方だっていたんじゃないの? 心から大切に思う人が……!」


 その刹那、クルフォスの脳裏によぎる。

 かつてクルフォスが、己の出世の為に別れる事を選んだ(ひと)の事が。


───私はお前を……


 だが、クルフォスはそれを否定するかのように、ギリッと歯を食いしばりメティアを睨みつけた。

 眼差しには怨念がこもっている。

 その眼差しと、メティアの哀しみに満ちた切ない眼差しが交叉する。

 それを数瞬続けると、クルフォスはニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。


「メティアよ! いくら強大な力を持とうと……最後に勝つのは悪なのだ!」


 メティアはそんなクルフォスを見上げながら、額の魔力クリスタルから白黄色の輝きを煌めかせている。

 しかし、クルフォスはサッと横へ振り向くとレイとジークに向かい振り放った。

 ダークネス・メテオを。


「クルフォスっ?!!」


 あまりに外道な攻撃を目の当たりにしたメティアは、大きく目を見開いた。

 しかし、クルフォスは悪魔のような笑みを浮かべている。


「キサマやエデン・ノーティスと違い破邪の力持たぬ者に、この技は決して防げん!」


 ダークネス・メテオは、凄まじい勢いでレイとジークに飛び向かっている。

 その光景を見ながらメティアは悲壮な顔で叫んだ。


「レイ!! ジーーーーーーークっ!!」


 そしてすぐに二人へ防御壁を張ろうとしたが、もう間に合わない。

 ダークネス・メテオは凄まじい闇の力をゴゴゴゴゴッ……! と、(たぎ)らせながら、レイとジークの側まで迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ