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ブレイキング・クリスタル ─光と闇の呪宝戦記─  作者: ジュン・ガリアーノ
cys-4 ノーティスと運命の美少女ヒーラー
33/71

ep:33 You are my reason to be

「キャーーー♪ ノーティス様ーーーーー♪ 素敵ーーーーー♪」

「レイ様、美しすぎですーーーーー!」


 トゥーラ・レヴォルトからの侵攻を食い止め城門をくぐったノーティス達に、国中の人達から割れるような大きな歓声が送られてくる。


「ヤバっ! レイ様マジでエロすぎる。付き合いてぇーーーーー!」

「あっ、上見て! ロウ様が手を振ってる! キャーーーッ♪ ロウ様ぁーーーーー!」


 ノーティスやレイ、そしてロウに向けられる鳴り止まない数多の黄色い声援。

 ただそんな声援の中に、それとは異質の物が混じっている。


「おっ、ジーク様だ。やはりカッコイイな! せーの、ジーク様ーーーーーっ!!」

「ふぁ、あぁぁぁっ……ジーク樣は、やはりたくましいのぉ……エフっ、エフっ、エフっ……」

「わぁーーージーク様だ! やっぱカッコイイぜ!」


 暑苦しい男達の野太い声とヨボヨボの爺さんの声、それと男の子達の元気な声がジークの耳に絶え間なく届く。


「おーーい、ノーティス。なんで俺っちだけ、野郎や老人からだけなんだよ。オカシイだろ?!」

「フッ、そうガッカリした顔をするなって。それに……」


 ノーティスが軽く笑いながらジークに目配せをすると、その先には花束を持った小さな女の子が、頬を赤くしながらジークを見つめている姿があった。


「ん?」


 なんだこの子は? と、思って軽く身を乗り出すと、その子はそのままそっとジークに近寄ってきた。

 恥ずかしそうに頬を火照らせ、モジモジしながらジークを見上げている。


「ジ、ジーク様。あの……私……これ、渡したくてっ!」


 両手で花束をバッと差し出されたジークは、驚いて思わず目を丸くした。


「お、俺にぃ?!」

「うんっ……! この前ニーナが転んで足痛くしちゃった時、ニーナの事おんぶして、ヒーラーさんのとこ連れてってくれたでしょ♪」

「う~~ん……あっ! あーーあの時の嬢ちゃんか!」


 ハッと思い出したジークを、ニーナは花束を差し出したまま頬を赤らめて上目使いで見上げている。


「あの時からジーク様が……大好きなんですっ!」

「えっ?! あっ、あーーーそうか。 ……ん? 俺を?」


 ポカンとした顔を浮かべるジークを上目使いで見つめながら、ニーナは小さくコクンと頷いた。

 花束の持っ手を恥ずかしさでギュッと握りしめた小さな両手は、軽く震えている。

 そんな可愛らしい告白に、ジークは少し戸惑いながら片手で頭を掻いた。


「そうかい……」


 ジークはスッと片膝を曲げてしゃがむと、ニーナからそっと花束を受け取った。

 ニーナの精一杯の勇気を受け止めるのに相応しい、力強く優しい微笑みを向けて。


「ニーナ、ありがとうな。この花は大事に飾っておくぜ♪」

「うんっ! ありがとうジーク様っ♪」


 ニーナはとっても嬉しそうにパアァァァッと微笑むと、そのままテテッと走り去っていった。

 その可愛らしい姿をジークはスッと立ち上がり見つめている。


「フゥッ。俺は花なんか、ガラじゃねぇんだけど、悪くねぇもんだな……」


 優しく微笑みながら花束を見つめると、ノーティスがポンと片手を置きおどけた顔で覗き込んできた。


「よっ♪ モテ男」


 それに続き、レイもジークに軽く流し目を送りながら軽く微笑んだ。


「あらジーク、モテるじゃない♪ 適齢期以外の子からは。アハッ♪ 妬けるわーーー嫉妬しちゃう」

「う、うるせぇぞ! お前らっ」


 ノーティスとレイに軽く口を尖らすと、ジークはそれを誤魔化すかのよう軽く周りを見渡した。


「あれっ? そーいや、アンリはどこいんだ?」

「いつも通りよ。こーゆーの苦手だから勝手に瞬間移動して、今頃はお部屋で寝てるんじゃないかしら」

「なんだそりゃ。ったく、便利な魔法だぜ……! なあ」


 ジークがワザと少し大げさにボヤく中、メティアは恥ずかしそうにうつむいたまま歩いていた。

 ノーティス達と違ってこういう場はすっごく苦手だし、それに加えて初陣帰りの凱旋の為、街中のみんなから好奇の目に晒されているから。


「ねぇ、あの子誰ーー? 黄色い魔力クリスタルの女の子」

「う~~ん。でも、お目々クリクリで可愛いーーっ♪」

「でもなんなのーー? 今までいなかったよね」


 それを隣で見ていたノーティスはピタッとその場で足を止めると、メティアを見つめてニコッと微笑んだ。


「メティア、みんなに自己紹介しよう♪」

「えっ? い、いーよノーティス! ボクはそういうの苦手だから」


 焦った顔を火照らし、メティアは両手の平を向けた。

 元気な性格だが人前に出るのは恥ずかしいタイプなので、むしろ凱旋パレードも早く終わらせたいぐらいなのだ。

 けれど、そんなメティアをノーティスは優しく見つめている。


「メティア、気持ちは分かるよ。けど、今度こそちゃんと知ってもらおう」

「けど……」

「もう、黙ってて勘違いされるのはイヤだろ」


 その言葉にハッとしたメティアは、真摯な眼差しを向けた。

 ノーティスを見つめるその瞳が、凛とした決意の光に揺らめく。


「うん。そうだねノーティス……!」


 その光を受けたノーティスはコクンと頷くと、街の人達に振り向きバッと両手を広げた。


「みなさん、ご声援ありがとうございます! 今日は皆様に、この街を敵の脅威から守ってくれた俺達の新しい仲間を紹介します!!」


 その宣言に皆からおおっ! と、いう声が上がる中、メティアはノーティスの隣でグッと胸を張った。


「ボクは……王宮魔道士特級ヒーラーの、フロラキス・メティアです!!」


 大きく口を開け身を乗り出した姿を、街中の人達は笑顔で見つめている。

 その眼差しに照れながらも、メティアは皆をジッと見渡していった。


「突然だけど……ボクから一つ、皆様にお願いがあります」


 街の人達が軽く謎めいた顔を浮かべる中、メティアは自分らしく可愛く元気な顔で軽く微笑んだ。

 

「それは……自分自身の事を、もっと愛してあげてほしいって事です!」


 メティアからはさっきまでのモジモジとした態度は消え、顔はまだ火照ったままだが吹っ切れた表情で話を続けてゆく。


「ボクはここに来るまで、ずっと人に遠慮がちでした。自分を出すのって、あまり得意じゃないから……」


 メティアは、これまでの事を振り返りながら言葉を紡いでゆく。


「でも、過ぎだ遠慮は時に誤解を生みます。それに、人と争いたくなくて遠慮してても、そのせいで相手から誤解されて、逆にイザコザをおこしちゃう事もあるし……」


 みんなメティアの話に聞き入っている。

 大なり小なり、みんな経験した事があるからだ。


「ボクは少し前まで、自分がやってた支援魔法の事をみんなに言わずに隠してました。自分よりも、みんなに自信を持ってほしくて。でも、そしたらそのパーティーから、役立たずと思われて追放さちゃったんです……!」


 その瞬間、皆からザワザワとどよめきが起こった。

 驚いた顔で隣の人と顔を見合わせている。


「でもその後、ここにいるノーティス達と出会ってボクは救われました。けど追放されたのは、自分が遠慮しすぎたのが悪かったと思ってます。だからありのままの自分を愛して、等身大で人と関わってみてください」


 そこまで言うと、聴衆の一人から声が上がった。

 元気そうな男の子が少し謎めいた顔で見つめてきている。


「でもメティア様、それでもし、ケンカになったらどうするんですか?」


 メティアはその男の子を見つめたままニコッと微笑んだ。


「ケンカしちゃって下さい♪」

「えっ?」

「ケンカしないと、分からない場合もあります」

「そ、それはそーかもしれないけど……」


 ちょっと納得いかない顔をしている男の子に、メティアはより明るくニコッと笑みを浮かべた。


「それにケガしても、ボクらヒーラーが必ずアナタを助けますから♪」

「そ、そーなんですか?!」

「うんっ♪ だってボク、キミみたいに頑張る人を一人でも多く助けたくてヒーラーになったから」


 メティアがそう言って微笑んだ時、街中の皆から割れるような拍手と喝采が沸き起こった。


「うわーーー! メティア様ーーーーー! これからよろしくお願いしまーす」

「メティア様ーーーーっ、凄くいいお話ありがとうございます!」

「いやーー俺、メティア様に治してもらう為に、ワザとケガしちゃうかもーー♪」


 そんな皆に微笑みながら手を振るメティアからは、もう揺るがない自信が溢れている。

 それを隣で感じたノーティスは、メティアに澄んだ瞳を向け微笑んだ。


「メティア、俺と出会ってくれてありがとう。キミが俺の生きてきた理由だ」

「ノーティス……! もうやめてよっ♪ また、ハンカチぐちゃぐちゃにさせる気なの……♪」


 瞳に涙を(にじ)ませたまま、メティアはノーティスの袖をそっとつまんだ……

 メティアを見つめる観衆達の声援と、ノーティスから伝わってくる大きな愛を感じながら。


◆◆◆


 メティアは名実ともにノーティス達の仲間になり、喜びの涙を浮かべて皆から祝福されている。

 だが、その時スマート・ミレニアムの敵国トゥーラ・レヴォルトでは、復讐の炎に自らの身を焦がす少年がいた。


「くそっ……俺達トゥーラ・レヴォルトが負けるなんてありえない。あってはいけないんだ!」


 トゥーラ・レヴォルトの若き剣士『アルベルト・シド』はギリッと歯を食いしばっている。

 次は自分が戦場に赴き、必ず敵を打ち倒す覚悟と共に。

 シドは横に持つ鞘から剣をスッと抜き、自身の瞳をその刀身に映して誓う。


「イデア・アルカナート……そして、その後継者エデン・ノーティス……俺は、お前達を絶対に許さない……! お前達を倒して父さんの仇を討ち、全てを取り戻す事が俺の生きる理由だ!!」


 ノーティスにとって生涯忘れられない相手となる、宿命の相手シド。

 そのシドと勇者として戦わなければならない時が、ノーティスの運命に訪れようとしていた……!

次話から新章!

リメイク版はここまでも色々違ってきましたが、ここからその違いが一気に加速します。

まだ誰も全く見た事の無い展開になるので、ブクマよろしくお願いします。

また、ここまで読んで面白いと思って頂けたら、是非★★★★★で評価してください。

ご感想もくれたら嬉しいです( ^o^)/

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