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初恋と想い出と勘違い  作者: 瀬野凜花


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38/46

38 告白

 私たち2人の視線が日記帳に集まる。


 あ、待って、そのページ、まさか。


 私が理解して拾い上げるより先に、ルーの手が日記帳をかっさらった。


「これ……」


 あああああ、本人に読まれた!


「フィーも、僕のこと」


 それ以上口にされたくなくて、両手でルーの口を覆った。

 みるみるほおが熱くなる。全身から火が出そう。


 そのページには、学園に入学してからのルーへの気持ちが綴られていた。書いた時は気持ちを整理したくて思いのままに書いたのだが、冷静になって読み返すと恥ずかしくて、でも破り取るのは気が引けて、残されていたのだ。


 ルーは笑いながら私の手を口から外した。されるがままに大人しく手を離す。

 ルーは、私の右手をすくいあげるように取った。ペリドットの瞳がとろりと甘い。


「ソフィア。好きだ。ずっと君のことを探していた」


 突然愛称ではなく「ソフィア」と呼ばれて心臓がはねた。


「私も。ルイスのことが好き」


 ルーの真似をして「ルイス」と呼ぶと、ルーは顔を赤くして左手の甲で口を覆った。仕返しは成功したようだ。

 耳まで赤い。かわいい。


「早いって思われるかもしれないけれど……」


 真っ赤な顔のままのルーと目が合う。


「僕の恋人になってくれませんか」


 私は目を見開いた。急展開に頭が追いつかない。

 それでも。

 私はルーにふわりとほほえみかけた。


「私でよければ。よろしくお願いします」


 ルーの瞳が安堵と喜びにとろけた。


 2人で幸せをかみしめる。

 ソファに並んで腰かけて、会えなかった数年を埋めるかのように、思いつく限りたくさんのことを話した。


 学園入学前のこと。髪の色が変わったこと。本当のことを打ち明けようと手紙を出したこと。エレナと友だちになったこと。学園に入学してからルーを改めて好きになったこと。


 ずっと学園入学を楽しみにしていたこと。手紙は届かなかったこと。アレン様と友だちになったこと。フィオナのこと。私のことを改めて好きになってくれたこと。


 話しているうちに、だんだんと心地よくなってくる。

 今はただ、この幸せを感じていたい。


 私はゆっくりと目を閉じた。




「フィー!」


 ソファから崩れ落ちそうになったフィーの体を、咄嗟に立ち上がって抱きとめた。

 何かあったのか、病気か、毒か。嫌な想像が頭を駆け巡る。


 焦りながら腕の中のフィーに異常がないか確かめてると、すうすうと寝息が聞こえた。


「寝ている、のか」


 寝ているだけだと分かって安心しながらも、どうすれば良いのか決めかねて呆然とする。


 その時タイミングよく控えめなノックの音が響いた。「どうぞ」と返事をすると、そろりとドアを開けて姿を見せたエレナ嬢は目を丸くした。


「さっきソフィア嬢が寝てしまったんだ。ソフィア嬢のベッドはどこ? 寝かせるよ」


「え、あ、あれよ」


 フィーを抱き上げる。揺れないようにそうっと運び、エレナ嬢が指し示したベッドに寝かせた。


「たぶん、ソフィアは昨日の夜眠れなかったの」


 フィーに毛布をかけて振り返ると、エレナ嬢は部屋を出て行った時とは対照的なおだやかな表情で僕を見ていた。


「安心したような顔で眠ってる。ありがとうございます」


 フィーはようやく、同性の友だちを得られたようだ。それも、心からフィーのことを思ってくれるすばらしい友だちを。


「こちらこそ、ありがとう。フィーを支えてくれて」


 エレナ嬢は軽く目を見張った。


「フィーって……。そうですか。話せたんですね」


「ああ。たくさん話せたよ。2人で話す時間をくれてありがとう。恋人にもなれたよ」


 こんなことを、相手から聞かれずとも自分から話してしまうなんて。


 どうやら僕は浮かれているようだ。


「早すぎない!?」


 エレナ嬢の返答に僕は苦笑した。


「何年も待っていたんだ。我慢できなかった」


「何年も待ったんだからあと少しぐらい大したことないでしょう! 我慢してくださいよ」


 エレナ嬢はふうっと息をついてすやすやと眠るフィーに目を向けた。


「でも、フィーが幸せなら、それで十分です」


 本当に、良い友人だ。フィーは人を見る目があるな。


「さて」


 エレナ嬢はドアを両手で指し示した。


「フィーの眠りの邪魔になりますので。また明日、改めてお越しください」


 僕は呆気に取られた。


「さあ」


 僕はエレナ嬢の圧に負けて、部屋を追い出された。


 自分の部屋に戻ると、アレンが開口一番に「どうなったんだよ!?」と叫んだ。


「いろいろあって、ソフィア嬢と恋人になった」


 アレンはピシリとかたまった。


「はあ? いろいろありすぎだろ。何がどうなったらソフィア嬢と恋人になれるんだよ。全部話せ」


「どこから?」


「最初からに決まってるだろ」


 少し悩んでからベッドに潜り込んだ。


「それなら、明日話すよ」


「はあ!? なんでだよ」


 アレンは文句を言っていたが、無視を決め込んだ。


 今日一日だけは、自分だけで幸せをかみしめたいんだ。

お読みいただきありがとうございます!

狙ったわけではないのですが、クリスマスイブに恋人同士になりました!

めでたい(*´꒳`*)

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