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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編
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うーん……この組に馴染める自信が無いぞっ

 


「ここが一組よ。ちょっと担任を呼ぶわね」

「は、はい」


 一階の一年一組と書かれた教室に案内され、案内中の担任を呼んで軽く説明していた。私は教室の中が気になって覗いてみると、みんな一斉に私を見たからビビって顔を引っ込めた。

 なんか……視線が怖かったな。


「じゃあルナード、終わったら職員室に居るから来てね」

「わ、わかりました」


「初めましてルナード君、担任のヘクトルです。中に入りましょうか」

 男の担任かぁ……嫌だなぁ。

 担任に案内され、凄く注目されている……とりあえず挨拶した方が良いかな?


「よ、よろしくお願いします。ルナード・エリスタです」

「君の席は……一番後ろの奥、あそこです」


 挨拶しても特に反応無し。

 人数は二十人くらいで……反応無いからきっと、偉い子ばっかりなんだな。目を付けられないようにしなさいって母に言われたから、最初は大人しくしていよう。


「入学式に遅刻? あり得ないわね」

 なんか……席に向かう途中で青い髪の子にハッキリ聞こえる声で言われた。

 これは、私に言っているのかな……まぁ遅刻したのは私だけだし。


「ふーん、遅刻した上にセイラン様を無視だなんて良い度胸ね」

「ほんとね、無視だなんて最低。エリスタって聞いた事無いわ」

「きっと田舎の貧乏貴族よ。あの地味な鞄見てよ」


 無視している訳じゃないんだけれど……まぁ良いや、それよりも私は疲れているんだよね……エリスタから走って来たから。きっとみんなは家が近いから疲れていないんだろうけれどさぁ……


「よーし、続きを話しまーす。ルナード君は後でまた説明が行くから安心して下さいねー」


 席に座り、担任の話を聞いているけれど、なんか寮とか食堂とかの説明……寮あんの? 私も寮に入りたい! 寮に入れば平日は特訓しなくても良さそう! 食堂もあるのか……お金、いるのかな? でもあんまりお金無いからな……

 時間はお昼前だったので、直ぐに話は終わってお昼休憩の時間がやって来た。

 みんなゾロゾロと食堂へ向かって行く……お弁当じゃないんだ。

 あっ、先頭に座っていた黄色い髪の女子が近付いて来た。ピンと立った猫耳が素敵……触りたい。


「ねえねえ、どうして遅刻したにゃ?」

「あっ、家が遠くて……」


「ふーん、気を付けにゃさいにゃ。セイラン様はだらしない奴が嫌いみたいだからにゃ」

「ありがとう。あの……セイラン様って?」


「えーっ……知らにゃい?」

「うん、王都に来たの今日が始めてだから」


 周りに居た人もびっくりした表情で私を見て……有名人?

 前に座っていた茶髪の男子も、えー……って顔で私を見ていた。


「おい、こんな世間知らずが一組なんて大丈夫か? セイラン様はオレイドス公爵家のお方だぞ? いや本当に大丈夫か?」

「……オレイドスは、知っているよ……あと、偉い人って居る?」


「はぁ……教えてやらねえと俺達も巻き込まれそうだよ……良いか? この組にはセイラン様と、第一王子ディクシム・ヴァン・シンドラ様、ラミアライ侯爵家のリベッカ様を筆頭に……まぁ、そう顔を顰めるなよ。紙に書いてやるから」

「ありがとう、優しいんだね」


「私も手伝ってあげるにゃ。私はミカ・リューメイ、よろしくにゃ」

「俺はジェジェ・トーガンだ」

「私、ルナード・エリスタ。よろしくね」


 偉い人を紙に書いてくれて、ちゃんと教えてくれた。

 なんか、思っていたよりみんな優しくて嬉しかった。


「ルナードって、地味な顔にゃね」

「まぁ、生まれ付きだよ」


「ごめんごめん悪気はないにゃ。でもエリスタって、何処かで聞いたにゃ。何処にあるにゃ?」

「北に真っ直ぐ行ったら着くよ。名産は迷宮資源」


「あっ、そうにゃ。お父さんが大人になってもエリスタにだけは行くにゃって言われたっけにゃ」

「あっ、俺も聞いた事ある! エリスタには野蛮人しかいないから危険だって……あっ、ごめん」

「あー良いよ良いよ。確かに危険は多いから」


「へぇーやっぱり危険にゃんだ」

「ミカ、そろそろ食堂行かないと駄目じゃね?」


「そうだったにゃ。ルナードも来るにゃ?」

「あっ、私お弁当だから……」

「じゃあ俺達だけで行こうぜ!」


「あっ……」

 行っちゃった。

 食堂で一緒に食べたかったけれど、仕方ないか。

 気が付いたら、教室には私ともう一人だけ。もう一人は本を読んで私に興味無さそうなので、ここで食べようかな……あっ、そうだ! あそこへ行こうっ!


 ──コンコンコンコン!


「……なんじゃ?」

「お弁当食べに来ました!」


「……うん、一緒に食べるかの」


 学院長室でお昼は食べよう。

 眠そうな目で迎え入れてくれた幼女の部屋に入り、ソファーに座ってお弁当を広げた……おぉ、唐揚げにハンバーグ、母は気合いが入っているな。

 幼女もお弁当らしく、私の隣に座ってピンクの包みに入ったお弁当を広げた。のり弁だった。


「お弁当は、学院長が作っているんですか?」

「いや、家政婦を雇っていての……お主、ここでは眼鏡を取ってくれぬか? 癒しが欲しいでの」


「良いですよ」

 眼鏡を取った瞬間、幼女が私にくっ付いてお弁当を食べ始めた。


「あぁ……今日は一段と弁当が美味いのぅ……」

「気が付いたら一人だったので、来てしまいましたが……また来てもいいですか?」


「良いぞえ。可愛いおなごは大好物での!」

「……えっ、なんで女って」


 ば、バレてたぁぁ……

 初日で女ってバレるなんて……なんだかなぁ……味方という言葉を信じれば……良いか。一応親に報告しておこう。


「わっちはこれでも学院長だからの。一目で解ったぞい!」

 えっへん、と無い胸を張る姿が可愛くて堪らない。何歳なんだろうな……


「流石ですね……流石ついでに、お願い事を聞いて欲しいのですが……」

「なんじゃ? 言うてみい」


「トイレ貸して下さい!」

「あっ、うん」


 さっき、トイレに行こうとして気が付いたんだよ……ルナードで女子トイレに入れないって。


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