ナニかの因果のせいで……私は……
「あのさ、みんなイシュラの魔眼の事を知っているの?」
「いや、知っているのは……居ない、かな。親くらい」
「治療院の人は?」
「知っているのは眼の呪いだけだよ」
「じゃあさ、魔眼は私達だけの秘密にしない? 私が治したいのと……イシュラの魔眼は今は隠した方が良い魔眼だから」
「別に良いけど……話す人居ないし」
私が治したいからねっ。
きっと母やエルフィさんなら原因だったり対処法は直ぐに見付けてくれるけれど、それじゃあ私が治した事にならないし。
だって、私がイシュラの為に頑張りたいから……なんだろう、独占欲?
なんか、私がイシュラを凄く気に入ってしまったというか……他の人に踏み入られたくないというか、なんだろうよくわからない感情だ。どうせバレるけれど、言わなければみんな触れないし。
「へへっ、私イシュラの為に頑張るねっ」
「ありがとう……クルルって、可愛いよね」
「えっ、いきなりなにさ」
「いやなんか、可愛いなぁって……」
「なにー、ちゅーしたいの?」
「えっ、いっ、いやそうじゃなくてさ。可愛いし、優しいし、なんでも出来るイメージでさ、私なんかと一緒にいるのが不思議というか……」
優しくはないぞ。私の好きに動いているだけだから。
「好きだから」
「えっ」
「一緒に居るのはイシュラが好きだからだよ。可愛いのは否定しないかなーお母さん可愛いしー」
「……好きって、初めて言われたな」
ほう、お望みとあれば毎時間好きって言ってあげよう。
私の好き好きアピールはしつこいからねっ。覚悟しておきなさい。
「あっそうだ、クルルは偽名なんだ。本名はルクナだけれど、隠しているから二人きりの時だけ呼んで欲しいな」
「そうなんだ。わかったよ、ルクナ」
「……もう一回呼んで」
「ルクナ……?」
思わずぎゅーっとしてしまった。
だってなんかキュンってするんだもん。
雰囲気がイケメンだからか? でも私の好きな人はセリアだし……なんなんだろうなぁ……引き合うものがあるのかね。
「じゃあ、行こっか。はいっ」
「……えっ、恥ずかしいんだけど」
「こうしないと早く帰れないのさ。はいっ」
「ぅ、ん、わかった」
おんぶは恥ずかしいかと思うけれど、自力で走れるようになったらね。
イシュラをおんぶして、エリスタ方面へ……おっと忘れていた。アースを呼ばないと怒られる。
アースの鈴を鳴らすと、数分後に並走してきた。
おや? 私のストーキングをしていたと思ったけれど、ちゃんと活動していたのね。
『ルクたーん。男を連れ込んだらぷんぷんだおっ』
「女子ですよ。こちらの変態……げふんっ、お姉さんはアースさんだよ」
「……初めまして、イシュラです」
『よろしくー。ふーんなるほどねー。エルフィに診てもらうの?』
「いえ、私が治したいので診せません。しばらくは二人でファイアロッドの町に滞在するので」
『えーー! 私も私もー!』
「アースさんとは迷宮に潜る時だけですから」
『ぐすんっ、私は迷宮だけの関係なのね……』
「まぁ、そうなりますね」
あっ、アースがいじけた。
別に良いじゃん。どうせ彼女居るんでしょ? 知っているよ、ファイアロッドで私くらいの女の子口説いていたの。まぁ町だから小さな学校もあるし、子供も多いからね。
『アズたんは知ってるの?』
「いえ、知りません。イシュラは私が雇っている形なので、言わなくても問題無いかと思います」
『それで良いなら良いけど。アズたん寂しがるわよー』
「良いんです。私が学院で孤独だった頃に比べれば、これくらいは寂しいに入りません」
母には信頼を置いているけれど、絶対的な信頼という訳ではない。お節介が過ぎる可能性があるので、落ち着いたら紹介が望ましいのだよ。
アースから見てイシュラは好みの範囲外らしく、普通の対応だった。何か基準があるのかね?
『じゃあね……二人で迷宮に潜ったら泣くからね……』
「一層は二人で攻略しますよ。転移陣の魔力は覚えましたし」
「なんか、緊張してきた」
アースと別れ、先ずは宿探しかな。
落ち着いてイシュラと話したいし。
一応観光地だから、宿は沢山あって貴族用の豪華な宿もある。
私は貴族用の一個下のランクの高級宿に滞在する予定だ。
普通の宿だと安全面が怖いからね。
「えーっと、あれかな?」
「わぁ……凄い」
よくもまぁこんな建物を建てたなぁというような、五階建ての綺麗な宿を発見。貴族用は国の旗が立っているから、それは避けるつもり。
宿に入り、受付のお姉さんに長期滞在がしたいと告げると前払いなら出来るとの事……うぐぅ……結構お金が飛びました。
部屋は五階にあり、ベッドが二つと簡易キッチンやお風呂など充実していた。流石は高級宿だね。
「ここと、ここに…っと」
「何してるの?」
「結界だよ。魔物の魔石で部屋を囲って、危険予防だね」
「へー、凄いねー」
これで襲撃やら盗聴やら覗き防止だ。
精霊って勝手に入ってくるからね。
「よしっ、買い物に行こうっ!」
「何買うの?」
「何って、生活用品とイシュラの装備とか……」
「……やっぱり、魔物と戦うの?」
「うん。最初は初心者装備で我慢してね」
「いや、そうじゃ、わ、わかった」
「あっ、その前にシャワー浴びよ? 走ったからさっ」
「うん……先浴びて良いよ」
「何言っているのさ。一緒に入るよっ」
「ちょっ、やめてっ、脱がさないでっ!」
よいではないか、よいではないか。
一緒に入ろうよー。一人で入るの寂しいじゃん。
イシュラの上着を脱がせると……なっ!
「こ、こここれは……なに……」
「サラシ、だけど……?」
幅広の包帯を胸に巻いて、小さく見せて、いたのか……
まだ発展途上だけれど……何歳よあなた。
「イシュラって、何歳?」
「多分、十歳くらい?」
「嘘だっ、十歳でこんなにおっぱいあるなんてけしからんっ!」
「人それぞれでしょ。いや脱がさないでっ!」
そのサラシを解くなんざぁ私にとって造作もないっ!
てぃやぁー!
おぉ……素敵なおっぱい。細かい描写をお届け出来ないからすまんねっ!
ふむ、Cか。この歳で、Cか。けしからんっ!
「イシュラ、少し分けて」
「無理でしょ。ゃん、揉まないのっ、だめっ」
「良いなぁー。綺麗な形だし」
「ルクナも後五年したら大きくなるでしょ?」
「……私は貧乳になる可能性が高いんだ」
「えっと……聞いた方が良い?」
「まぁ、運命だね」
「……そう」
母は巨乳さ。
でもね、何かの因果が私を貧乳にしようとしているのだよ。
悲しきかな。
……
……
よぉっし! 自主規制だぜっ!
いやすみません普通にシャワー浴びただけです。
ナニもしていないよー。
「ところで何でサラシ巻いていたの?」
「男子の視線が嫌でさ。悪意の中にねっとりした感じが気持ち悪いから」
「あぁ、あそこはまともな男子少なそうだもんね」
「ルクナが女の子で、良かった」
「私も、イシュラが女の子で良かったよ。着替えたら行こうか」
お買い物だー……何気に誰かと買い物に行くのって、あったっけ?




