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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
ファイアロッドの大迷宮編

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つい最近まで味方だったけれど、ついつい警戒してしまう

 

『りゅきゅにゃー、抱っこー』

「チムニーちゃん、寝惚けていないで服着てください」


『ちゅきー』

「えー可愛いー」


『ちゅっちゅしてーちゅっちゅー』

「もぅ……朝からきゅんきゅんしますね」


 チムニーちゃんを抱き枕にして朝まで眠ってしまった。

 扉の隙間から覗いているアースにしっしとしてから、着替えてリビングへ……ありゃ、誰もいない。


『ルクたん、みんな出掛けちゃったよ』

「そうですか、あっちょっと学院に行ってきますね」


『ほいほい、じゃあ用事があったら呼んでちょ』

「アースさんも王都に行くのです?」


『王都周辺の調査だよ。魔物の氾濫が近い場所は私達が調べないとわかりにくいし』

「じゃあみんなで行きます?」

『あっ、私はお留守番だから』


 チムニーちゃんはお留守番なので、アースと一緒に王都へやって来た。流石は精霊王というか、強力な身体強化でいつもの半分の時間に着いたよ。

 エルリンちゃんは学校だから、私が王都に来たのは感付いた筈。

 ……最近、いや推測はよそう。


『じゃあ帰る時呼んでねー』

「はーい」


 アースを呼ぶ時は呼び鈴を鳴らしたらはぁはぁしながらやって来る。

 きっと周辺調査とか言って私のストーキングでもするのだろうね。

 先ずは……王都の幼女に会いに行くか。



「しくしく、しくしく」

「ステラちゃんどうしました?」


 零組に入り、学院長室に勝手に入ってみると幼女が私の顔を見るなり泣き出した。いや間違えた、嘘泣きし始めた。


「寂しかったねん」

「いつの間にか分体居なかったのはなんでです?」


「エルフィ・マクガレフに殺されたのじゃ……怖かったの……慰めて……しくしく、しくさんじゅうろく…」

「どうせお風呂でも覗こうとしたんですよね?」


「ぅっ……わっちの心を読むでない」

「やっぱり……」


 自業自得だと思うけれど。

 抱っこ抱っことせがんできたので、抱っこして学院長の椅子に座ってみた。ふかふかー。


「……ん? 知らない幼女の匂いがするぞえっ! 浮気じゃぁ!」

「浮気になる関係じゃありませんからね。その幼女は精霊王様ですね」


「ちゅっちゅしたのか? ちゅっちゅしたのか? おぅおぅわっちに黙ってルクぴょんとちゅっちゅったぁ精霊王と言えど黙っちゃおられんのぉ!」

「キャラぶれしないで下さいよ。ところで何か変わった事は起きました?」


 気が向いたらちゅっちゅしてあげるから。

 なんか口の周り食べかすひでぇな……めろんぱん食べた? めろんぱんって何よ。


「特に無いぞえ。ファイアロッドの実習はもうすぐあるで、それくらいかの……あっ、クベリアがわっちに優しいんじゃ。なんか気持ち悪くての……それくらいかえ?」

「そうですか……ところでそこの精霊は見えます?」


「見えるぞえ。というか最近ここに住んでおるぞ」

「そうなんですね。カエデちゃん、ここ住みやすい?」

『うんっ、お菓子いっぱいあるから好きっ』


 ニンニンポーズでポンっと現れた風の精霊カエデちゃん。忍装束がバージョンアップして花柄が素敵ね。お団子頭に私の作ったピンクのかんざしが刺さって、お洒落だな……会う度に服装違うから、もしかして沢山服持っている?


「お菓子の減りが早いと思うたらそういう事かえ」

「お代は私が払いますよ。エルリンちゃんの精霊ですから」

『んー? 私もうルクナの精霊だよー? ふわふわのお菓子好きー』


「ふわふわ? ま、まさかっ!」


 幼女が私からヒョイッと降りて、お菓子の戸棚に走りガラッと開け……膝から崩れ落ちた。

 きっとお気に入りのお菓子だったのだろう……幼女の頬から一筋の涙が流れ落ちた。

 ん? 今カエデちゃん何か言ったような気がする。後で確認してみよう。


「カエデちゃん、食べちゃ駄目なやつだったみたいだよ」

『えー、だって美味しそうだったもん』

「ひぐぅ……かすてらが……わっちのかすてらが……並んだのに……並んだのに……」


「その、かすてらってお菓子は何処で買えるんです?」

「貴族街三丁目にある人気お菓子屋さんの週末限定商品だから開店一時間前から並んでも買えるかどうかわからない幻のお菓子なんじゃ限定味になると前日から並ぶ貴族の使いが居るくらい手に入らなくてこの前やっと休みだから頑張って並んで手に入れたのにあぁぁぁぁああぁぁあぁあぁあああぁあ!」


 すげえワンブレスでなんかぶつぶつ言っている。

 カエデちゃんは幼女の顔が面白いみたいで笑っているし……

 幻のお菓子ねぇ……お菓子作りが得意のエリクスさんに渡したら味コピして作ってくれそうだ。

 よし、今度買いに行こう。お金はあるからね。貯金が怖くて常に持ち歩くようにしているからさ。父にバレたらこっそり使われそうだし……


「あっ、カエデちゃんヴォルトに私来たよーって伝えておいて欲しいな」

『わかったー。ヴォルトのおっさんルクナ来たよー』


 風の精霊だから声が広範囲に届くのかな?

 まぁ呼んでくれたなら良いか、その内セイラン来そうだし。


「ステラちゃん、かすてらは来週私が手に入れてみせます」

「……ほんとかえ?」


「はい、幻と聞いたら気になったので」

「ぅぅ……ありがと……」


「貸し一つですよ」

「えっ……」


 えっ……じゃなくてさ、かすてら食べたの私じゃないし。

 学院長椅子に座りながら床を横に蹴ってくるくる回る……くーるくる……くーるくる……

 くーるくるしながら天井を見ていると、視界に赤い髪の人が映った……っ。


「あらルクナちゃんご機嫌ね」

「ご機嫌ですよ、クベリアさんこそ……ご機嫌そうですね」



 ……深く考えないように、しないと。勘付かれる……勘付かれたら……気不味いどころじゃない……落ち着けー、すーはーすーはー。


「うーん、そうねぇ。ご機嫌な方ね。そういえば王都で合成魔導士クルルの話題が日に日に大きくなっているわ。どうやら学院の女子達が噂を回しているみたい」

「学院の? どうしてです?」


「ほら、クルルちゃんってモテるから。お蔭で図書館は連日満員よ」

「えー、図書館行こうと思ったのに……」


 裏口とか使わせて貰えないかな?

 まぁ学院の図書館じゃなくて国立図書館でも良いのだけれど、国立図書館って入館料取られるし貸出していないから気が進まないというか……うーん……悩みどころね。


「学院長、何泣いているんですか? 仕事してください」

「ぅぐぅ……だっての……だっての……」


「はいはい昼までの書類こんなにあるじゃないですか。終わってから聞きますのでやって下さい」

「ぁぅぅ……ルクぴょんの膝に座るならやる」


「……」

「ルクぴょん……クベリアが睨むのじゃ……」

「はぁ……セイランが来るまでですよ?」


 幼女がにぱぁと笑って私の膝に乗り、ぐりぐりと尻を擦りつけてきた。幼女はスカートだからパンツ一枚隔てて太ももに伝わる柔らかい尻……指を尻の中心にやってみると、きゅっと指が挟まれた。

 温かい……でも私の人差し指は爪が上を向いている……これじゃあ尻の柔らかさを半分しか味わえない。くるんと指を反転……指の腹を上に向けた。


「……んぅ…ん…」

「……ルクナちゃん? 何しているの?」

「何もしていませんよ?」


 この位置だと私の指が幼女の尻に挟まれているのは見えない。

 なんか緊張感漂うな……幼女が指の位置をずらそうともぞもぞし始めた。

 少し蒸れた場所に到達……ちょっと、お尻の穴は駄目よ。


「……ぅむぅ」

「……ルクナちゃん、駄目よ」

「ステラちゃん、仕事ですよ」


「……そこっ」

「……」

「あっ」

 幼女が尻をずらし……人差し指はお尻の穴を通り越して奥へ。

 奥は駄目よ、マジで、ここは健全な場所だから駄目なのよ。


「──っ、──っ」

 はいアウトー。

 音声カットします。

 案の定さんが幼女をヒョイっと持ち上げて、縄でグルグル巻きにして天井の幼女用フックに掛けた。

 ぶらーんぶらーん……幼女がぶらんぶらんしながらえへへと蕩ける表情でにやけていた。


「ルクナちゃん、学院長が調子に乗ったらぶっ飛ばして良いからね」

「まぁ私も悪いので……許してあげて下さい」


「それは駄目よ。犯罪よ?」

「貸し二つ目という事で……別に害はありませんし」


「……まぁ良いわ、吊るしている場合じゃ無いものね」


 シュンっとクベリアさんが手を振ると、ポトっと幼女が落ちた。

 もぞもぞと芋虫みたいだな……おいでー芋虫幼女ちゃん。

 もうちょっと、もうちょっと、はいよく出来ましたーわしゃわしゃー。


「ルクぴょん、わっちはルクぴょんのペットになるのじゃ」

「芋虫幼女ですかぁ、それも悪くないですね」

「おい仕事しろ幼女」


 芋虫がまとわりついて私も縛ろうとしている。絡まるからやめれ。


「お手」

「……動けん」


「おかわり」

「……出来ん」


「三回まわってルクぴょんらぶ」

「はぁ、はぁ、回れん……助けての……ルクぴょんらぶって言いたいっ!」


 縛られて床に転がりながら涙を流して哀愁漂う姿が可愛い。

 クベリアさんはこんな学院長相手に毎日大変だろうね。そりゃストレス溜まって父と……駄目だ、思考がそっちに行ってしまう、落ち着けー。

 芋虫幼女を抱っこしてなでなでして落ち着きながら、じーっと幼女を見る……ところでなんで幼女は他国の人なのに学院長なのだろう。


「ステラちゃんってこの国の人じゃないのにどうして学院長なのです?」

「んぁ? 五十年前に妖精の国でやらかしてもうての。紆余曲折してこの国で学院長をするという事になったのじゃ」


「じゃあ妖精の国では犯罪者なのです?」

「いいやわっちは人質みたいなものじゃな……わっちがこの国に居るから、妖精の国は攻められない」


「この国が攻めるような事が……なにがあったのですか?」

「まぁ大した事ではないの。仲間が人間に捕まりそうになったから殺したら、身分のある者だったというだけじゃ」


 今は禁止されているけれど、昔は妖精を捕まえて愛玩用ペットにしていたらしい。

 妖精族も様々で、小さい羽の生えた種族が人気だった。当時友好国という名目でこの国の貴族が視察に来た際に、裏で人気のある種族を捕らえて隷属魔法で縛り売っていたみたいだった。そりゃ仲間が拐われそうになったら殺すのは当然だけれど、色々難癖付けられて荒れに荒れたらしい。

 妖精王が頑張って交渉して、今の形になったらしいけれど……


「帰りたいと、思わないのですか?」

「帰っても、居場所なんて無いがの……まぁこの国と上手くやっておるから波風立てん方が良いじゃろ」


「うーん……腑に落ちませんね」

「そんなもんじゃよ。一応わっちの任期ももうすぐ終わる。それまでここで過ごすぞえ」


「終わったら、どうするんですか?」

「妖精国で自由に過ごすか流れ者になるかいな」


「そうですか……じゃあクベリアさんが学院長になるのです?」

「どうじゃろ? そこら辺は知らん」


 流れ者、か。

 幼女なら私の作戦に賛同してくれそうだけれど、この場では言えない。

 ここで言ったら、クベリアさんから父に伝わる。

 私の中でクベリアさんへの警戒心がグンっと上がっているから、下手な事は言えないな。



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