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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編

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私も時間があれば優雅にティータイムとやらを堪能したいよ

 


「遅くならないようにするわね」

「じゃあ、ここで待っているね」


 セイランがオレイドス家に行っている間、オープンカフェで待っている事にした。

 メニューは……お洒落な言葉でよくわからぬ。

 とりあえずティーセットにしよう。

 店員さんを呼んでティーセットを注文し、オープンテラスから人の流れを眺めていた。

 貴族街だから、身なりの良い人が多いな。


「お待たせしましたー、ティーセットでーす」

「はい……これは?」


 可愛いクッキーが付いてきた。これは頼んでいないけれど……


「ほんの気持ちです。良かったら食べて下さい」

「ありがとうございます。あっ、これ良かったらどうぞ」


「わぁっ、素敵な髪留め。ありがとうございますっ!」


 店員さんに手を振って、再び人の流れを眺める。

 髪飾りやアクセサリーは常備している、いつ精霊ちゃんが現れるかわからないからね。

 暇な時に自作もしているし……こうボーッと眺めている時も手は動いている。慣れたもんだよ。


「あっ……クルル、さま?」

「ん? やぁグニア、調子はどうだい?」


 グニアに話しかけられた。奇遇だね。

 友達と来ているみたいで、何人か居るな。見た事ある奴居るし……グニアは相変わらずお洒落だね。紫色の髪を、三つ編みにして……リボンみたいにしている。そのヘアアレンジどうやんのさ、凄えな。


「はい、あの……先日はすみませんでした……」

「あぁ、元気になったなら良いさ。君の友達が待っているから、私に構わず行って良いよ」


「いや、あの、折角ですから、ご一緒したいです」

「良いの良いのほら行って。私のせいで友達が嫌な思いをしたら申し訳ないから、気を使わなくて良いんだよ」


「……本当に、優しい方、ですね。それなのに私は……」

「あの件は許したじゃないか。ほらっ、行っておいで」


 グニアの視線が私の手元に行った。

 まぁ手を止めていないから、気になるよね。


「もう少しだけ……お願いします……学院には、もう来ないのですか?」

「学院は週末だけ零組に居るから週に一日か二日程度かな」


「そう、ですか……私の、せい、ですよね」

「一応、休学は前々から決めていたんだ。私はあと二年で平民になるから、やりたい事が山積みでね」


「それでも、あの、償いは、したいです」


 元気が無いな……やっぱり呪いの反動で心にダメージが大きいのかな。私に対する罪悪感が強い。大人しすぎるグニアって、こいつ誰? って思うよね。


「償いと言ってもね。謝ってもらったから、充分といえば充分だし……」

「そう、ですか……」


 しゅんっとされてしまったけれど、特にして欲しい事は……あるな。でもなぁ……あっ、あの親父の事聞かないと。


「とりあえず座って。ところで、あの後どうなったの? あのオッサンのその後」

「あっ、父の件もすみませんでした。父は悪知恵は働くみたいで、私の病を自分が身代わりになったという美談を作り上げていますが……特に悪さはしていません。母は、寝込んでしまいましたが……」


「そっか、私が荒らしたみたいになってしまったね」

「クルル様のせいではありませんっ。父と母は、自分の行いが返ってきただけです」


「行い、か。これからマグリット家は、どうなるかな」

「わかりません……高等部に兄が居ますが……父と似ています。何もなければそのままですが……もし、家が潰れたら、私は平民になってしまいますね」


 自嘲するように笑い、グニアは私に言った事をまた謝ってきたけれど、私はもう気にしていないし、グニアの友達とはもう二度と話す事も無いから、どうでも良いし……でも、平民になったらって思ったら、自分の力で生きていかなければならない…か。


「未来は解らないよね。そうだ、君は火属性の魔法を使っていたよね?」

「は、はい…セイラン様には遠く及びませんが…」


 しゅんっとして、近くのテーブルに座ったグニアの友達がチラ見からガン見に変わっている。

 なんか恥ずかしいから見ないでよ。しっし。

 それにしても、グニアは変わったな……やっぱり、私の呪いのせいか。


「週末は、零組に来る予定なんだ。そこで、セイランに魔法を教えている。君もどうかな?」

「……お邪魔したく、ありません。私には、その、お友達になる資格もありませんし……」


「何言っているのさ、約束したじゃん。私達は友達だよ」

「クルルさま……」


 ちょっと、断ろうとしないでよ……私は折角の友達チャンスを逃したくないんだ。

 私も一度は断ったから、これでお相子というか……もう私に対して嘘泣きなんてしないと思うし。仲良くなれそうな気がするんだよ。


「私は君に学びたい事があるんだ」

「私に、ですか?」


「よくこうやって髪飾りを作ったり、アクセサリーを作るんだけれど、流行りとか解らないから……教えてくれたら嬉しいな……って」

「……それはセイラン様に、ですか?」


「いや、違うよ。精霊様が髪飾りとか好きなんだ。私が作らないと駄目って言われるから……どうしてもデザインに限界が来るというか……だから教えて、欲しいな。駄目……かな?」

「これは断ったら、一生後悔してしまいますね……はい、喜んで、お受けします」


「ほんとっ? ありがとっ」

「……あの、どうして……いつもあの姿だったのですか?」


「理由はあるけれど、ここでは言えない。よしっ、じゃあさこのヘアピンをもっと可愛くするにはどうしたら良い?」


 赤い宝石風の三日月を土魔法で作り、ヘアピンと合体させたもの。

 女子が好きそうな感じだと思うけれど、私のセンスって母のセンスだからヴァン王国というよりノースギア寄りなのよ。


「はぁ……素敵ですね、私が言う事ありませんよ?」

「あるある、この国の流行りが解らないって言ったじゃん。今何が流行っているの? 教えて?」


「……クルル様が、凄く、可愛くて……胸が痛いです。これを二本着けたら、可愛い……かな」

「二本……そうか、ヘアピンだから一本じゃなくても良いのか。ありがとっ」


 赤、青、黄色、緑の三日月ヘアピンを二本ずつ作ってみる……ふむ……グニアで試してみよう。

 ちょいちょいと近くに来てもらい、前髪に装着してみる……赤っぽい紫の髪だから、青にして落ち着いた感じに……なった。良いね。


「……どう、ですか?」

「うん、可愛い。青だと少しクールな感じで良いね。いやでも赤でも似合うし……」


「ぅっ……そんなに、近くで言われたら……ドキドキしてしまいます」

「あっ、ごめん。あんまり触ったらいけないよね、ありがと、それはあげるよ。あっ、セイラン」


「お待たせ……あら、グニア」

「こんにちわセイラン様、今…空けますね」


 少し不機嫌なセイランが登場し、グニアがヘアピンを纏めて立とうとした所でセイランがグニアの肩を抑えてまた座らせ、隣の椅子に座った。


「なに空けようとしているのよ。少し話しましょう」

「は、はい」


「セイラン、グニアも零組に来てくれるって」

「……そう、良かったわねグニア」

「いや、あの、お邪魔、ですよね?」


「邪魔だなんて思っていないわ。むしろ歓迎する」

「……ありがとうございます」

「セイランどうしたのさ、顔が怖いよ」


「今、家に来ているのよ」

「誰が?」


「アルセイア様が」

「ふーん、そうなんだ」


 なに? 来ているから何さ。そりゃ同級生の家だって行くでしょ。ムスッとした表情を崩さないな……グニアのヘアピンに視線が行った。


「それでね、あの時の……魔物の氾濫の時の状況を知りたいって言うのよ。私も居たのを見られていて……その……クルルに会ってみたい、って」

「そう、か。直接対決をしようって言うんだな……グニアも来る?」

「えっ? いえいえいえいえ私は大丈夫ですっ。これ以上緊張したら倒れてしまいますっ。あのっクルル様ありがとうございましたっ」


 グニアが頭を下げ、友達の元に行ってしまった……セイランに気を使ったのだろうね。

 まぁ近くに居るから目は合っているんだけれど……


「カサンドラさんも居るの?」

「そりゃ、好きな人が家に来るってあたふたしていたくらいだから居るわよ。今、頑張って話していると思うわ」


「ほう……お付きの人も居るでしょ? えっと、リリだっけ」

「ええ、居るわね。兄さん、リリさんが苦手で……見ていると面白いわよ」


「まぁ、アルセイア大好きみたいなヤツだったから、カサンドラさんを敵視していそう」

「正解ね。リリさんが大きな壁で話し掛けられない男子が数多く居るらしいわ」


「じゃあ私なんか尚更敵でしょ。国嫌い発言した得体の知れない奴だよ?」

「まぁ、そうね。でも、会ったら兄さんとは違う対応だとは思うわ。じゃあ、行きましょ?」


「良いよ。すみませーん、これお代です。あっ、髪留め似合っていますよ」

 可愛い店員さんにティーセットのお金を渡し、グニアに手を振ってセイランとオレイドス家へと向かう。


「あの店員さんとグニア、似た髪留めしていたわね」

「うん、試作品だけれど喜んでくれたんだ」


「だと思った……私も、欲しいな」

「良いよー。あっ後でさ、私の家で一緒に作ろ?」


「うんっ、ありがとうっ」

「やっと可愛いセイランが笑って私は嬉しいよ」


 ピンクのヘアピンを前髪に二つ着けてあげて頭を撫でる。

 道行く人に見られて照れたセイランにベシッと叩かれ、アルセイアの事を聞きながら二度目のオレイドス家に到着した。

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