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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編

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53/363

みんなに書いて貰った寄せ書きだよっ☆

 

 ♀×♀×♀×♀×♀


 お茶会の実習が終わった頃、リリが重い足取りで私の元にやって来た。

 目が腫れて、まるで泣き腫らしたような……リリが泣く?


「……リリ、何があったの?」

「……ル、ナードが、くっ、ぅぅ……申し訳、ありません」


「ど、どうしたの? み、みなさんまた明日会いましょう。リリ、歩ける?」

「私は、どうしたら……」


 みんなに注目されながら、リリを連れて治療室にやって来た。

 その間、リリはポロポロと涙を流して不安定な状態だった……リリがこんなになるなんて初めてで、誰か死んだのかと思い始めていた。


「痛くなかったら、私に、記憶を見せてくれない? 何があったの?」

「は、い……」


 リリの魔眼と目を合わせると……情景が頭の中に……っ! こ、これは……私も、されていた、事。


「くっ……あぁぁぁあ!」

「アルセイアさまっ!」


 前世の、記憶が……ハッキリと……

 悲しみ、憎しみ、孤独……絶望。

 ぐちゃぐちゃに混ぜ合わせて投げつけられたみたいに、負の感情が流れてきた。


『私は、この世界に居なくても……何も変わらない……生まれ変われたら……誰かに必要とされる人間に、なりたい……な……』


 私は……強く、願った。

 そうか……私が王女になったのは……願いを、叶えたから……きっと、私を不憫に思った神様が聞いてくれたのかな……


「はぁ、はぁ、はぁ、だい、じょうぶ。思い出した、だけだから……」

「今日は…もう、帰りましょう……」


「本当に、大丈夫……ルナードに、会いに行かないと……」

「ルナードは……居ませんでした」


 リリは先に会いに行ったのか。

 探して探して、見付からなくて……私の所に……リリを抱き締めると、震えていた。

 このままじゃ、まずい。リリを落ち着かせないと……


「リリ、先ずはルナードに話を聞くわ。勝手に行動して、ルナードに怒られたくないでしょ?」

「はぃ……私、ルナードの事、何も、知らない、悲しいんです、凄く」


「私だって、ルナードの事は知らない事ばかりよ。エリスタの事を調べても、よくわからないし……」

「おかしいと、思っていたんです。エリスタに、氾濫が起きていない事が……もし、ルナードが私達を知ってしまったら……嫌われて、しまうのでしょうか……」


「大丈夫……ルナードは、嫌いになんかならない」


 大丈夫の保証なんてないのに……慰めの言葉しか、出なかった。

 眼のヒビが……増えた気がする……

 もし、リリの押さえていた感情が爆発したら……魔眼が、暴走するかもしれない。

 それだけは、阻止しないと。

 でも、どうしたら良いか……わからないよ……




 ♀×♀×♀×♀×♀




 あー……重たかった。

 なんとか、家に帰ってきた。


「ルクナ、おかえりなさい。ん? それはなぁに?」

「お父さんに、みんなからの寄せ書き貰ったって自慢するんだっ」


「そっかぁ、寄せ書き……寄せ書き? 見せて?」

「うーん……お父さんに見せてからねっ」


 母が疑惑の目を向けているので、逃げるように父の元へ。

 あっ、母が後ろから付いてくる……


「おっ、ルクナおかえり。それはなんだ?」

「みんなからの寄せ書きっ。一年分貯めたんだっ!」


「おぉっ、そうなのか。ん? 一年分? 机?」

「ここから外れるように作ったのっ」


「ここを…………っ」

「…………」


 父が、フリーズした。

 次いで、母もフリーズした。

 息をするのも忘れている。黙って、次の石板を外して見せてあげた。


「「……」」

「ルナード・エリスタが居るお蔭で、二年一組は仲良しなんだ。何か問題が起きたら、みんなで解決しようって頑張っているんだよ。その中に、ルナードは居ない」


 感情を圧し殺した、低い声で伝えてあげると、父と母の肩がびくっと跳ね、ゆっくりと私に視線を向けた。

 私の目を見て、父と母が絶望したような表情をしていた。私は、どんな目をしているのだろうな。


「……ルク、ナ」

「孤独がどんなに辛いものか、しっかりと学べたよ。これを学ばせたかったんでしょ? お父さんは、これでも考え直せって言うの? 満足したでしょ?」


「こんなに……酷かった、のか……」

「ふふっ、そんな顔をしないで。私は大丈夫だから、晩御飯食べよ?」


 私はもう、おかしくなっているのかも知れない。

 あんまり悲しくないから。


「……父親、失格だ。聞いていた筈なのに、何もしてやれなかった」

「私の、せいよ……ルクナ……ごめん、なさい……」


「知ってもらいたかっただけだから、聞くのと見るのでは違うし。別にお父さんとお母さんは悪くないよ。私にこの呪いの眼鏡を渡しただけなんだから」

「っ、呪い?」


「学院長がね、友達が多い人に嫌われやすくなるんだって。これの原因が解ったから、解決したと思わない?」

「解決……する訳、無いだろ」


「良いの。お父さんとお母さんは私の為にしてくれているのは、解っている。男の振りをしているのだって、変な婚約者を作らない為だし、贅沢しないで私の為に貯金してくれているのも解っている。エリスタを離れられないのだって誰も死なせたくないからだって解っている。だから、一人でも良いの」

「るくなぁ……」


 母が私を抱き締め、ずっと謝っているけれど、私にも原因はあるとは思うよ。一組の人の名前覚えないし、身分とかどうでも良いって思っているし、誰かと仲良くなろうって思っていないから。

 でも、虐められた側が居なくなるのってなんか、おかしいとは思うから……何かはしたいね。


 その後は、暗い暗い雰囲気で晩御飯を食べる父と母を見かねて、一緒に寝ようと提案。

 落ち込みようは凄かったから、ね。

 無事、父への復讐は果たせたと思う。

 母も巻き込んでしまったけれど、知らないよりは良いでしょ。


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