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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編

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この傑作を背負って家に帰るとか……修行だと思おう

 

 ……重い。

 重たいぞ私の傑作はよぉ。身体強化魔法を全力でやってもキツいぞ。

 これを担いでエリスタへ行く?

 いやいや、何日掛かるんだ。収納鞄に入れたら壊れるし……

 うーむ……少し分解しよう。脚なんていらんし。

 脚を取って天板だけにすれば、小粋なバッグみたいに持て……腕がもげる。


『これ重いねー』

「カエデちゃん、良い方法ある?」


『なーい。頑張って』

「はいはい」


 ……背負えば良いか。

 この傑作はなんとか持って帰りたい。

 よし、土魔法で背負子を作成。

 これで……なんとかなるかな。


「……ねぇ、何しているの?」

「……息」


 誰さ、話し掛けないでよ。

 バランス調整中なんだから。


「……それ、学院の机。持ち帰るのは窃盗よ」

「学院長許可は貰っていますよ」


「嘘ね、最近怪しい人物が居ると聞いたけれど、マスクをして顔を隠しているあなたかしら」

「確かに、怪しいな」


 そこで初めて声の主を見た。

 金髪に片目が隠れた年上の女子……知らぬ人だね。

 でも、何処かで会ったような……


「……学生証を見せて」

「教師じゃない君に見せる意味あります?」


「あるわ。私は警護もしているから」

「何の?」


「アルセイア様よ」

「誰?」


「……この国の者じゃないわね。身分証が無いのなら拘束する」

「はいはい、これで良いです?」


 アルセイアって誰だよ。

 とりあえず零組クルルの学生証を投げ渡し、反応を見てみる。

 警護だから、上位貴族のお付きかな。学院に通っている所をみると、同じ年代に居る上位貴族……カサンドラ、は無いな。他の公爵家か、王族か、かな。


「零組……クルル……魔物の氾濫を抑えたのはあなた?」

「氾濫? そんなもの無かったですよ」


「いや、氾濫はあったわ。私も居たから」

「ふーん、国は訓練だって言っていたじゃないですか。もう良いですか? これを運ばなきゃいけないので」


「確かに、そうだったわね……何故、運ぶの? 理由を答えて」

「理由かぁ……折角だから見ます?」


 良い機会だ。上位階級と繋がりがある奴に、自慢の王都学院にはこんな事もあるんだぞと教えてやろう。

 背負子を降ろし、机の石板を外す。


「これはっ……」

「凄いですよね。机に書かれた悪口を重ねていて、入学してから百枚以上あります。よくもまぁこんなに貯め込んだと思います。傑作だよほんと」


「……あなたの、机?」

「いや、これは二年一組ルナード・エリスタという奴の机です」


「っ! ……酷い……こんなの……」

「アルセイアって奴に教えてあげて下さい。ルナード・エリスタが居るお蔭で、二年一組は仲良しなんだよ、ってね」


 さっ、帰ろう。

 石板を戻して……いや、返してよ。

 ぐっと引っ張っても返してくれない。無理矢理引っ張ると手を切るからさ、返してよ。


「誰が…こんな事を……」

「さぁ。とりあえず返してくれません?」


「これを……どうするの……」

「どうって、ルナードに運んでって頼まれたので知りません」


「……アルセイア様に、会ってくれない? これを見せたいの」

「は? 嫌です。そもそもアルセイアって誰ですか?」


「ヴァン王国第一王女、アルセイア・ヴァン・シンドラ様よ…」

「……」


 ちっ、第一王女かよ。

 カサンドラの好きな奴だっけ。

 無理無理。


「誰がやったのか、突き止めてくださるから……」

「ははっ、突き止めてどうする? ルナードを追い詰める気か? これ以上虐められたらどうすんだ?」


「いや……これは、許されない事だから」

「許されないとしても、ルナードは望んでいない。正義感を振りかざして人気を得たいのなら他を当たれ」


「アルセイア様はそのような者では無い!」

「だとしても、迷惑だ。ルナード・エリスタは王族を憎んでいる。勝手な事をしたらルナードに迷惑がかかる」


「っ……それは、本当?」

「もちろん。ルナードの事ならなんでも知っているからね。っと知らない人の話をしても仕方がないですね。返して」


 ギッと睨むと、手を離した。

 ったく、王族関係者は面倒だな。

 今度は通せんぼしてきた……何をそんなに必死になっている?

 いじめ反対ってか?


「ルナード・エリスタはどうして、王族を憎んでいるの?」

「はぁ……帰りたいんだがね。私があの魔物達を一人で対処したのは理由があります。あの場に居たなら解りますよね?」


「魔物の氾濫を無かった事に、したかったのよね?」

「そう。私一人で対処したから魔物の氾濫なんて無かった。これと同じ事が、エリスタで日常的に起きているらしいですよ」


「……まさか」

「エリスタ一族はたった三人で、年間二十回以上の魔物の氾濫を無かった事にしています。国がエリスタでそんなに氾濫が起きる訳が無い…数人で対処出来るなんて有り得ない…嘘だと言うから、もう諦めて無かった事にしています。憎む理由になりますよね?」


「……」

「別にこの話を信じなくても良いですよ。あと二年は、ね」


「……二年?」

「あと二年経てば、元エリスタ領で十数年振りに魔物の氾濫が起きます。嫌でも信じますよ、エリスタ一族の凄さを」


 楽しみだねぇ…本当に。

 自然と笑顔になる。

 第一王女が政治に何を言っても無駄だからね。敢えて教えてあげるんだ、この国の未来を。

 私は、やっぱり優しいな。


「それなら、尚更アルセイア様に会って欲しい」

「嫌です。二度と会わない事を祈ります」


 授業終わるの待てってか?

 嫌だよ。

 この机重いんだぞ? 運んでくれんのか?

 もう用は無いので、駆け足で学院を抜け、王都を出る。

 はっはっはー、王女の警護をする身なら追いかけられまいっ。

 うわやべっ、肩外れるっ


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