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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編

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私はご機嫌さんなのだ



ふっふっふ、上手く行った。

エルリンちゃんにかなり助けられたけれど、上手く行った!

私はご機嫌さんなのだ!

ごきげんうまいぞ!


「これは、どういう、状況なんだ……セイランちゃん、何が起きたか、説明してくれんか?」

「何が起きたかって、私のクルルが魔法で魔物を倒しただけですよ?」

「初めまして、クルルと申します」


なんか偉そうな二人と見た事のあるおっさんに一礼……なんか背後から沢山人が来たな。騎士団、魔法士団…討伐者が結構多いのは救いだな。


「じゃあ……あの、魔物達は……全て君が倒した、のか?」

「そう捉えて戴いて良いですよ。あの、討伐者さん達にお話があるので、少し良いですか?」

「あ、あぁ……」


「討伐者の皆さん、私はこの国に無実の罪を着せられた魔法使いの子供です。本日は母の願いを叶える為にこの場に来ました。母の願いは……誰も死なせない事。それを叶えられて、私は満足しております」


私の声が、風の精霊の力で全員に届いているみたいだな。

よしよし、つかみは良い感じ。

討伐者のリーダーらしき人が前に出てきた、ギルドマスターかな?


「討伐者の皆さんは、伝えて欲しいんです。魔法使いクルルは、魔物の氾濫を無かった事にした……と」

「無かった、事に?」


「はい、この国には変わった法律があります。少人数で魔物の氾濫を対処した場合、魔物の氾濫とは認められない」

「ほう、君は何が、狙いだ?」


「何も。皆さんが伝える報酬といってはなんですが……私が討伐した魔物は全て討伐者さんに差し上げます。では、私は失礼しますね。セイラン、また明日ね」

「やだ」


「今日は家に帰らないと、ね?」

「明日、絶対ね」


セイランと下手くそな芝居をしたカサンドラとはお別れ。

カサンドラは腹立つから台詞無しだ。

私は頑張ってくれたエルリンちゃんを良い子良い子しないといけないからね。


「待ってくれ! 話がしたい!」

「どうしてですか?」


「お礼がしたいんだ! 死ぬかと、思っていたから」

服装から見て、魔法士団長かな。

お礼と言われても、ねえ。


「お礼なんて、必要ありませんよ。だってこれは魔物の氾濫じゃないんですから。ちょっと多い魔物達です。お礼をする規模ではありません」

「いやどう見ても氾濫じゃないか……」


「だから、氾濫じゃないんです。国に所属している魔法士団長さんは、今ここで氾濫のお礼はしたくても出来ません。法律違反で処罰されますよ」

「法律違反になるわけが……ギーラさん?」


「フエゴ、今はやめておけ。皆が見ている」

「……くっ、本当に、あの馬鹿げた法律は機能しているのかよ……クルル殿……礼を出来ずに……申し訳ない」


何か事情がありそうだけれど、無駄な罪悪感がひょこひょこ出てくる前に消えないと……


「いえ……個別に、話すなら出来ますから……頭を上げて下さい」

「……では、クルル殿の元に伺いたい」


「そうですね……明日、オレイドス家でカサンドラさんを訪ねて下さい。では、失礼します」


悪い人では無さそうだけれど、カサンドラをクッションにしておけば良いや。

カサンドラは下手くそな芝居をした罰に使いパシリになってもらおう。

なんか騎士団長っぽい人もなんか言おうとしていたけれど、面倒だから逃走しよう。

セイランはギーラっていうおっさんが送ってくれるだろうし……じゃあさらばだ諸君! はっはっは!



……そのまま北に走っていると、馴染みの魔力が近付いて来た。


「ルークナさまぁー!」

「エルリンちゃーん!」


「素敵でしたぁー! ラブー!」

「ありがとねー」


エルリンちゃんがぽふっと抱きついてそのままチューされた。

今日は頑張ってくれたから受け入れてあげよう。流石に抱くのはここ全年齢版だから駄目だけれど、ね。


「悲願達成ですねー! ママも喜んでいますよー!」

「エルフィさんも? どうして?」


「ママはグランさんに、命を助けて貰った事があるらしいんです。だから、この国が困る事は大歓迎なんです!」

「そうだったんだ。エルフィさんは有名だから活動的になれないもんね……でも、お父さんとお母さんはなんて言うだろう……」


勝手にやっちゃったから、なんて言われるだろう……父に言うと面倒だから、母にこっそり言おう。


帰宅!


「お母さん、ただいま」

「お帰りなさい。何か良い事あった顔ね」


「へへっ、バレた? あのね、友達になりたかった子と友達…になれたの」

「前に言っていた子? 良かったじゃないっ」


「うんっ。あとね……今日、王都で魔物の氾濫が起きてさ……私が魔物の氾濫を無かった事に、したの」

「……詳しく聞かせて」


料理中だった母が手を止め、椅子に座って私の目を見た。

ちょっと怖い。


「クルルが魔物の氾濫を一人で対処したの。ごめんなさい、私はどうしても国を困らせたかった……一人で氾濫を対処出来る人間が存在するって知らしめたかった……」

「ルクナ……相談してくれたら、お母さんも行ったのに」


「ごめんなさい……でも、上手く行ったの。軍の目の前で氾濫を無かったに出来たし、誰も死ななかった。爺ちゃんみたいな本当の英雄にはなれないけれど……」

「何言っているの? 誰も死なせなかったルクナは、英雄よ。自分を誇りなさい」


「お母さん……ありがとう」

「じゃあ……小さな英雄さんがどんな事をして、どんな事を企んでいるか、お母さんに教えてくれる?」


「うんっ!」

母に、私の企みを教えた。

一応賛同して、アドバイスを沢山貰った。

流石は王族というような、回りくどい嫌がらせを沢山……


「勝負の時は、悪い女になりなさい。半端な優しさは、隙だと思いなさい。アズリーナ・レド・ノースギアの娘であるあなたなら出来るわ」

「お母さん、なんかそれ怖いよ」


「半端は駄目よという事ね。やるなら、徹底的にやらないと。お母さんも、頑張っちゃおうかな」

「なんか、凄く心強いね。じゃあさ、じゃあさっ、次の王都の氾濫はお母さんも来てよっ。死神が生きていたなんて面白そうじゃない?」


「……そうね。アズライナは冥府より舞い戻って来た……良いわね」


母がノリノリだ。良いね、良い感じに国が荒れると思う。



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