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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
身辺整理編

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356/363

役目を果たした私は、必要なのだろうか……

 

「という事がありました。呪いなのかなんなのか、よくわからないんですが」

『ふふっ、人の想いというものは常識を超えるものだ。千年後のルクナにも会いたかったのかもな』


 デスちゃんに会いに行ったらルゼル様が居たので、お話聞いて下さいと言ったらあっさり時間を作ってくれた。

 デスちゃんはルゼル様の膝の上で紅茶を飲んでいるので、なんか凄い馴染んでいて素敵な絵画みたいね。

 私も膝に乗りたいわ。


「デスちゃんはどう思う? 私が居なくなってもリアちゃんとは交流あったんでしょ?」

『うん。遊びに行ったら、ママに会いたいって言ってた。丁度、ヴァンと帝国で、ノースギアを攻める時だったの。人間、欲に塗れると汚い』


「そっか……ノースギアに私の家があるって言ったもんな。ヴァンと帝国はノースギアの金鉱脈狙い?」

『うん。ヴァンは北の金鉱脈、帝国はエンテの町近くの魔法金属狙い。アークイリア、戦争、終わらせた』


「え? あの戦争を終わらせたの? どうやって?」

『ミナもライズもみんな居なくなって、ヴァン王と皇帝の前で……戦争の虚しさを説いて……自害した』


「そんな……」

『アークイリアは、平和の象徴。ヴァンの教科書、載ってる』


 知らんよ、学校行ってねえもん。

 初等部2年で休学した私の学力見せてやろうか?

 その時自害した剣がアークイリアの剣なのか……だから血が滲んで……にしてはあの剣の扱い雑じゃね?

 それは置いておいて、アークイリアはまだ幼い子供を残して逝ってしまったのか……悲しい気持ちはあるけれど、友達を大事にするアークイリアらしいと思ってしまった。


「戦争を終わらせたなんて凄いよ。それだけリアちゃんの影響力は高かったのか……」

『うん、英雄の指輪のお蔭で、本当の英雄になれた。ママに凄く、感謝してた。死んでからも、100年くらい屋敷に居たから、人形あげたら飛び跳ねて喜んでた』


「うん、ちょっと待って。屋敷に居たの? 幽霊で?」

『うん、ママみたいで笑えるって言ってた。幽霊出るって、みんな怖がってた。夜な夜な動く、人形も』


「そりゃあね。えー今も居るかな?」

『さぁ? ウォーエルのとこ居たから、わかんない』

『一般的に幽霊が霊体を保てるのは400から500年と聞いたな。力が強ければ1000年も可能だが……その場合幽霊から精霊等に昇華する事もあるぞ』


 精霊、か。そっとしておいてあげたいが、私に会うのが目的だったら会わないとな。じゃあコングラート家に行く時はデスちゃんも連れて行かないと。


「そうだ、デスゲートをここと繋いでも良いですか? デスちゃんが単独で行き来出来るようにしたいので」

『それは構わんが、どうやるんだ?』


「次元帰還転移陣と、黒い転移石を使ってデスゲートを強化させます。あっ、すみません断りも無しに。転移石はルゼル様の物でしたね」

『いや良いんだ。使ってくれ。ルクナ……話があるのだが……』


「はい、なんでしょうか」

『ここで会ったら、いつでも話を聞く。沢山、頼ってくれ』


「っ、はいっ! ありがとうございますっ! あっ、でも娘様に言われたからですか? 気を使わなくても良いですよ」

『我の意思だ。ルクナの事は、気に入っている。あの時はすまない、少し焦ってしまった』


 素直に嬉しいぞ。

 私を個として認めてくれたという事かな。

 腕潰された甲斐があったかしらと思っていたらルゼル様がテーブルに何かの塊を置いた。ん? でっか……マギマタイトの塊じゃん……


「すっごいですね……貴重な鉱石がこんなに……」

『我は代金としてこれで支払う。お金は余っているだろ?』


「えっ……もらい過ぎですよっ! 親指くらいでももらい過ぎなのにっ!」

『良い。決めた。貰ってくれ』


「うむぅ…………わかり、ました。デスちゃんも一緒に使おうね」

『うん。黒金様、感謝致します』

『あぁ、好きな事に使ってくれ』


 好きな事、か。正直これがあれば神気と相性良過ぎて神武器を大量生産出来てしまう。

 あんまりパワーバランスを崩壊させてしまうと戦争になるから、私の世界では慎重にいかないとなぁ……世界、世界ねぇ……


「ルゼル様は、そちらの世界の街をよく歩かれるのですか?」

『姿を変えて歩く事もあるが、どうしても目立ってしまうからたまにだな』


「そうでしたか。ルゼル様はとてもお綺麗なので、世界中の人が見惚れてしまいますもんね」

『……正直に言うとな、着られる服が無いだけだ。アクセサリーと同じく、特殊な製法のものでないとまともに着られない。少し力を解放したら破けるんだ。だからこんなドレスで出歩く奴はどうしても目立つというだけだ』


「やはり凄いドレスなのですねっ。あの……見せてもらっても良いですか?」

『良いぞ。同じようなものがあるから見てくれ』


 黒いドレス……なんか、ちっちゃくない? いや、これデスちゃんサイズじゃん。デスちゃんとお揃いのドレスじゃん。えっ、良いなぁーっ! 私もこれ欲しーいー。

 いやここでわがままを言ってしまったら駄目だ。

 特殊な製法とはなんだろうか……ん? これって妖精国のジャージ素材を選んでいる時に見た事があるような……中に織り込んである糸、これが肝か。この糸を解析……魔法金属の糸か。術式も糸に絡み付いていて、ドレスのような形状じゃないと効果が無いな。これって、マギマタイトで代用すれば他の形状でも作れそう。

 妖精国の職人にマギマタイトの糸を渡して作ってもらうか。デザインと生地はグニアに任せて、私が術式をパクって魔陣武器を作る要領で組めば良い。

 ふっふっふ、良いものを視させてもらった。新しい防具が出来るぞ。


「ルゼル様、私がルゼル様の服を作ってもよろしいでしょうか……この生地の術式は視えたので、他の形状も出来そうです」

『あぁ、構わないが……出来そうなのか? 娘にも視て貰ったが頭がおかしくなるくらい細かい術だと言っていたぞ』


「細かい作業は得意なので、完全な歯車よりは簡単ですよ。ただ糸に術を組み込むなんて恐ろしい職人さんですね」

『これしか作れないと言われたが、助かっている。力を解放したら服が破けるなんて格好悪いからな』


「もし失敗したらと思うと緊張しますね……服のデザインの希望はありますか?」

『……じゃあ、それ』


 それ? 私の服? 白地に青いラインが入ったセイランがデザインした制服だが、ルゼル様の制服姿……やべっ、鼻血出そう。

 それなら前髪ぱっつんロングヘヤーから髪型変えて欲しいなー。ポニテとかしてくれたらまじ可愛いし。


「用事が片付いたら試作をしますので、付き合って下さいね。あと、これ良かったら……使ってみて下さい」

『これは? マギマタイトの腕輪……ルクナのやつじゃないか。貰えない』


「いえいえ半分に折って半端になっちゃったんで、神器を作ってみたんですよ。効果は2つ、両手の余計な魔力を消してくれるのと、想いを隠し味に出来る……という料理用の神器です」

『…………我の為に、作ってくれたのか?』


「試しに作っただけなので、効果があるかわかりませんが……駄目だったらすみません」

『ありがとう……早速、作ってみるよ。試食してくれるか?』


 もちろん。

 覚悟は出来ていますとも。

 ルゼル様の料理は、死線を超えるくらい不味い。

 いや唯一『おにぎり』だけはマジで美味い。おにぎりだけは。

 それ以外は盛り付けただけで生ゴブリンみたいな味がしたり焦げた岩みたいな味になったり、なんか知らないけれど料理がバグる。強過ぎるが故の悩みだが、私の神器で少しは解消出来たら嬉しい。


 ルゼル様がほんの少しだけ微笑みながら出ていき、デスちゃんも連れて行かれた。

 ……寂しいのだが。

 まぁ良いや、マギマタイトを加工しやすいように小分けにしていこう。

 ふみゅー……

 よし、後は糸にする為に細長くしていって……これ、超位魔法並みの魔力使うのどうにかならんかね。

 ……

 ……おっ、良いんじゃない? 糸にしたら細長い術式を螺旋状にくるくるくるくる。

 ふむ、糸の試作が出来た。

 にしても何時間経った? 遅くね?


 ──コンコン。

「……? はーい」

「お邪魔しまーす。あっ、ルクナちゃんっ! 会いたかったよー!」


「娘様、こんにちは。どうされたのですか?」

「試食会に参加しに来たの。そろそろ出来るみたいだから一緒に行こっ。ってその服めっちゃ可愛いっ! ノースギアに売っているの?」


「いえ、友達が作ってくれました。お洒落なんてよくわからないので、お出掛け用に着ています」

「かわいー。ルクナちゃん私と髪色一緒だから、姉妹コーデしたいなー。いいなぁー」


 確かに、銀髪同士だし姉妹コーデが出来るな……絶対似合うが、娘さんって隙あらばチューしようとしてくるからセイランみたいでやなのよ。

 でも嫌いになれないというか、なんかお姉ちゃんって感じなんだよなぁ。

 でもでも、娘さんを見て居心地が良い日と悪い日がある。ノースギアに来てくれた時は良い日だったが、今日は悪い日だ。


「……デスちゃんが許せば、ですね」

「……ぶぅー、デスちゃんさんとおかぁさんがいつも一緒だから難攻不落の要塞みたいなの。最近なんて姉妹みたいな雰囲気だし……デスちゃんさんが居るとみんな背筋が伸びるのよね」


「あーそうですよね……実は、デスちゃんはルゼル様よりも年上らしいですよ」

「へ? 年上? デスちゃんさんはルクナちゃんが作ったんでしょ?」


「器は私が作りましたが魂は違いますよ。結構有名な方なので、超お姫様のように接さないと興味を持ってくれませんし」

「……そうだったんだ……はぁ……まだ私達に興味持ってくれないもんなぁ。いつもおかぁさんがデスちゃんさんを独り占めしているし……」


 ……ルゼル様はデスちゃんの髪の手入れや服などを用意したり、進んでお世話をしてくれている。

 それはとても嬉しいのだが、服のランクが高過ぎてドン引きしている。アクセサリーは私の作ったものだからまだ心は穏やかだが、私もアクセサリーのランクを上げないとデスちゃんに見捨てられてしまうかもしれない。


 ルゼル様の家の子になったら、私のところよりも良い生活が出来るのかな……って思っただけで胸が苦しい。


「積み重ねた物が多い者同士だから、気が合うのですかね…………」

「「はぁ……」」


『……2人とも、どうした?』


 ルゼル様が迎えに来たが、肩に乗るデスちゃんとお揃いの黒いドレスだし……なんか泣きそう。

 時計の作り方も教えて、服も作ったら、私は用済みなんじゃないか……デスちゃんの方が加工上手だし、服も作れるし、私、いらない子……


『ママ? 大丈夫?』

「……ぐすっ、いや、なんでもない。お待たせしてすみません。行きましょう」

『……あぁ』


『……ママに、何したの?』

「えっ、いや何もしていないですよ?」

「デスちゃん、ちょっと色々思い出しただけだから娘様は関係ないの。気にしないで。ありがとね」


『……』

 ルゼル様の所に居るデスちゃんは、ルゼル様のもの……私という枷が無ければ、自由になれる。そう、思ってしまった。

 ……試食会が終わったら、1人で帰ろう。


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