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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編
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エロい妖精とか嬉しいよね

 

 二年生って微妙なんだよなぁ。

 魔物の討伐訓練も無いし……来年になったらなったで微妙なんて言うんだろうな。

 来年の討伐訓練は三年から六年生合同だから、もしかしたらセリアと一緒の班になったりして。顔と名前知らないけれど。


「はぁ……」

「……あのさ、さっきからため息吐かないで欲しいんだけれど」


「別に良いじゃん。明日がさ……はぁ」


 明日はクベリアさんと魔法学校の視察というか魔力測定の見学。

 エルリンちゃんが居ると思ったら……何が起きるか解らない。あの子エリスタから通っているくらいだから結構強いし。

 こうして零組の教室で訓練中のセイランなんかに愚痴ってしまうくらい憂鬱なのだ。

 何回か一緒に訓練をして、打ち解けた方だと思う。

 うん、仲良くはなった。

 かなり仲良くなったという自負はある。

 友達では無いが。


「……明日? 魔力測定と身体測定よね? 何が憂鬱なのよ」

「あぁ言っていなかったけれど、私は明日魔法学校の視察に行くんだ」


「えっ……えーっ、クルルの魔法見たかったのに……」

「別に今見せてあげるよ。ほら光るゴブリン」


「そんなダサいのは見たくない。魔法学校で何をするの?」

「さぁ? クベリアさんが付いて来て欲しいって言うからホイホイ了承しちゃってさぁ……あぁ私の馬鹿」


 眼鏡していくか? いやそれこそ口の悪いエルフを王都に解き放ってしまう。


「ホイホイ……副学院長が好きなの?」

「いや、クベリアさんはお父さんの初恋の人だよ? それよりもエルリンちゃんが居るんだよなぁ……」


「何それ聞きたい。初恋の人?」

「私が初恋なんだって聞き出した時に、後ろにお母さんが居てさ……大変だったんだよね」


「ふふっ、家族は仲良いのね」

「仲は良いよ。セイランの家族は仲良い?」


「……いや、そんなにかな。兄が居るんだけれど……なんか、合わなくて」

「オレイドス家の長男……結構有名だよね。学院で一番強いって言われているらしいじゃん」


 セイランの兄は現在三年生だっけか? セリアと同じ年だった気がする。魔法の才能に愛された天才らしい。私みたいに迷宮の核から才能を貰っているタイプではなく、元々の才能が高いタイプ。

 まだ見た事は無い。


「うん、でも……なんか、ルールを守らないし、ウザいし……クルルの魔法の方が凄いわ」

「おっ、ありがとう。セイランが人の悪口を言うなんて珍しいね」


「結構言うわよ。さっきも言ったわ」

「……どこら辺に悪口があった?」


「ダサいとか……」

「褒めているじゃん」


「……あなた、やっぱりおかしいわよ」

「どこがさ。はいはい、集中が乱れているよ」


 手の平の魔力が乱れていたので、手の平をツンツンすると睨まれた。

 良いじゃんちょっとくらい触っても。あれな声はもう出ないと思うよっ。


「……エルリンって誰?」

「私のお嫁さん候補」


「は? 許嫁が居たの?」

「違うよ。私を好きになってくれる人なんてエルリンちゃんくらいだからさ」


「……やっぱり、おかしいわ。グニアだってクルルの事好きだったじゃない」

「グニア? 誰それ」


 ため息を吐かないでよ。今は私が吐いているんだから。

 その前に交友関係は聞かないものだよ、なんて私から言い始めたから良いか。


「あなたって、意外と喋るのね。もっと寡黙な人だと思った」

「元々喋るのは好きなのだよ。私だって意外とセイランと一緒に居ても気が楽だなって思っているし」


「そこは、同意ね」

「ふふふっ、ねえねえセイラーン」


「なに? 気味の悪い笑顔で見て、怖いわ」

「私達って、友達?」


「それは無い、でしょ?」

「えっ……そ、っか」


 まじか……友達になれたかなーなんて思っていたのは私だけだったのか。

 ルナードでは友達になるのは絶望的だけれど、クルルでは友達になれると思ったのに……

 うわぁ……ショック……言わなきゃ良かった。恥ずかしい……

 あぁ……まじか……そっか、そうだよね、勘違いしていたよ、あくまで魔法を教えるだけの関係だ。


「あの、ごめんなさい……そんな風に思ってくれているなんて、思わなくて……」

「いやっ、いいから! 気を使わなくて良いから! 何も言わないで!」


「……いや、私だって……その……」

「いやいやごめん、忘れてっ。なんか勝手に思い込んで馬鹿みたいだねー、はははは……」


 この学院で友達が出来るかもって期待した私が馬鹿だった。

 学院では地味遅刻眼鏡だから、例え眼鏡を取っても友達なんて出来る訳が無い。

 一年経っても友達がゼロ……零組の呪いか? あー友達……欲しかったな。

 よし、これから友達なんて簡単に出来るから切り替えよう! 

 ……いや、無理だ、胸が痛い、辛い、泣きそうだ。

 私は、セイランの友達よりも下って事か……あのグニアンよりも下……

 横の扉から覗いている幼女をひょいと持ち上げ、抱っこしながらセイランの前に座る……強がっても、とても二人きりに耐えられる状態じゃないから。


「……あの、その子は?」

「……私の癒し」

「ステラちゃんと呼んでくれの」


「ステラちゃん……? あの、もしかして……学院長ですか?」

「そうじゃ。セイラン・オレイドスや、今日はもう帰った方が良いの」


「……はい。クルル……また、ね」

「……うん」


 セイランが出て行き、幼女の抱き締める力をぎゅっと強くすると……手を伸ばして頭を撫でてくれた。


「あの子にはあの子のペースがあるでの。お主のペースだと早計だったんじゃ」

「そうですよね……はぁ……ちょっと、焦っているんですよ……」


「焦る? 何かあったのかえ?」

「あと二年くらいで私は平民になります。その前にこの学院は去るつもりなのですが……友達欲しくて……」


「あの話はアズぴょんから聞いておるからの。いつ退学するんじゃ?」

「四年生には退学しておきますよ」


「そうかえ。お主の人生じゃから止めはせぬが、わっちも遊びに行って良いかの?」

「良いですが、お仕事忙しいんですよね?」


「わっちを誰じゃと思うておる」

 ポンッと幼女の手から小さな羽の生えた幼女が出てきた……えっ、可愛い!


「ちっちゃいステラちゃんだー! きゃー可愛い!」

「わっちは妖精族じゃから、分体くらいは作れるでの」

『可愛いじゃろー!』


 ちっちゃい幼女が可愛い……なんか元気出た。

 ツンツンすると、脱ぎ始めた……なんで?


「あっ、分体になるとちょっとエロくなるのじゃ。欲しくなったじゃろ?」

「いや、母に見つかったら握り潰されますよ」


「……そう思って、お主にはくっ付けてはおらん」

「賢明ですね。少し元気が出ました、ありがとうございました」


「礼なら身体で払っての」

「母と殺し合う覚悟があるなら良いですよ」


 幼女に元気を貰ったし、今日は帰ろう。

 気持ちを切り換えて、明日も頑張るか……




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