友達って、結局なにを基準に友達なのだろうね
とりあえず、授業終わりに遠隔……げふんっ、簡易通信魔導具でセイランを呼び出してみた。
ビクッと反応する感じがなんとも……いや、使い方は知らないよ。
魔力操作をしながら雑談でもしよう。
「……クルルって、家どこ?」
「……北の方」
「王都に家は無いの?」
「無い。あっ……」
「どうしたの?」
「王都で行った事あるの、ここと討伐者ギルドだけだなって」
「なんか、それはそれで凄い。私は討伐者ギルドなんて行った事無いな」
「毎週行くけれど、別に行っても面白いものなんて無いよ」
「じゃあなんで毎週行くの?」
「友達に会えるかもしれないから」
……なに? 変な目で見ないでよ。私にだって友達は一人くらい居るさ。
「……友達、居たんだ」
「えっ……酷くない? 一人くらい居るよ」
「あっ、いやそうじゃなくて……誰かと居る絵が想像出来ないというか」
「いや、居るじゃん。今、セイランと」
「そうだけれど……クルルって、人と関わるイメージが無いの」
「確かに、一日の大半は孤独だね」
……黙らないでよ。ぼっち飯した事あるか? 寂しいぞ。友達の多い君が羨ましいと毎日思っているぞ。
「……一組に来てくれたら、クルルなら友達沢山出来るよ?」
「……今の私より孤独を背負っている奴がいるから、一組には行かない」
「……」
クルルとルナードは友達という薄い記憶を思い出したか。
ルナードを思い出して嫌そうな顔しやがって……いかんいかん今はクルルだ。
「セイランには縁の無い事だから教えてあげるよ。孤独になると、目に映る全員に嫌われている感覚に陥るんだ」
「……クルルは、嫌われてなんか無いよ」
「ありがとう。ルナードは……それを否定も肯定もしてくれる人は居ない。そう思うと、やっぱり一組には行けないや」
「ごめんね。私は……ルナード・エリスタが嫌いで…そのせいで、彼の悪評が広まって……いつも一人で……」
少しは、気に病んでくれていたのか。
ルナードを完全否定している訳ではないのなら、別に良いか。いや、元凶はセイランがルナードを嫌っている事だし……いかん今はクルルっ。
「知っている。だからと言って私はセイランを嫌いにはならない」
「……知っているのに、どうして、責めないの?」
「セイランは、何も間違った事はしていない。遅刻するなと言っているだけだ。悪いのは陰口を言っているセイランの友達だよ」
「……ありがとう。なんか、涙が出てきちゃった……はぁ……友達って、なんだろうね……」
「さぁ? 私の何百倍も友達が居るセイラン様に友達について語る口はありません」
「もぅ……性格良いのか悪いのか解らない」
私は性格悪いと思う。
ルナードを隠してクルルとしてセイランと話していても、罪悪感無いし。
「普通に悪いよ。じゃあ、時間だから終わり」
「もう帰るの?」
「うん、行きたい所があるからね」
「どこに行くの?」
「北の山に可愛いウサギの魔物が居てさ、モフモフしたいんだっ」
「……北の山?」
「そう、確かヨーレー山だっけ」
「遠い、よね? 歩いて一週間の距離よね?」
「走れば十分で着くよ」
「いやいやおかしい、十分? 本当に?」
本当だよ。エリスタなんてもっと山と川越えるよ?
「じゃあ、行く?」
「今から?」
「うん、セイランをおんぶして行けば直ぐだよ」
「……う、ん。行って、みる……かな」
歯切れの悪い返事を貰ったので、帰る準備をしてセイランと王都を出る。
因みに王都を出るのは簡単だ、入るときに簡単な目視検査があるだけ。
流石に王都内でおんぶは恥ずかしいだろうから、王都を出てしゃがむ。
「……乗って」
「……うん」
セイランをおんぶして、身体強化を掛けて走り出すと、ギュッとして来た。ちょっと怖いよね、でもセイランを送らなきゃいけないから急ぎなのだよ。我慢してくれ。
「気持ち悪くなったら言ってね」
「うん、速いね……」
「セイランも頑張ればこれくらい余裕だよ」
「無理よ。息切れしないっておかしい」
少し雑談して、ヨーレー山に到着。
確かこの辺りに……居たっ。白いウサギ。
しゃがんで、舌を鳴らすとこっちに来た……おいでー、おいでー、おいでー、よし、手が届く所に来た。そーっと撫でると、ぴょんっと私に飛び込んで来たので抱っこしてセイランの所に行った。
「見て見てー、可愛いでしょー」
「よく捕まえられ……か、可愛い……」
セイランの口元が緩んで、ウサギを撫で始めたので抱っこさせてあげると、ニヤニヤしてウサギを愛でている。
よしよし、連れて来て良かった。
撫でウサギという魔物で、文字通り撫でられるのが好きな魔物。
特に害は無いので下位の下位に指定されている。
もう一匹居ないかな……あっ発見。おいでー……おいでー……つっかまえた。
『きゅーきゅー』
「よーしよし、可愛いのう……」
「持って帰りたい……」
モフモフ……モフモフ……あっ、早く帰らないと。
「セイラン、帰るよ」
「……もうちょっと」
「また来れば良いでしょ。私はそろそろ家に帰りたいから」
「うん、わかった。クルルの家は近く?」
「山の向こうだよ。あっ、因みにエリスタはここから山を三つ越えて大きな川を渡った先だね」
「……嘘でしょ?」
「本当だよ。エリスタから毎日通うなんてルナード・エリスタは馬鹿だよねー、じゃあ乗って」
「……うん」
その後は王都に行って学院でバイバイした。
これで友達でもなんでもないって凄いよね。




